ハードコンタクトレンズ装用に伴う眼瞼下垂についての質問を戴きました。(管理頁)
質問;
長年コンタクトレンズを使用し,目を精一杯開けても開かず,新聞で腱膜性眼瞼下垂症という病気があることを知り昨年両目とも手術を受けました。
その後は悩まされ続けた頭痛も肩コリも見事になくなり喜んでいたのですが,最近片方の目が夜になるにつれて開きづらくなり黒目の中央まで隠れるようになり頭痛や肩コリも戻ってきました。
手術したものがまた外れたのでは?とおもいっきり目を開けるとちゃんと開きます。
この症状はどのようなことが原因なのでしょうか。よろしくお願いします。
答え:
コンタクトレンズ殊にハードレンズを長い間使っていますと、おそらくはその刺激が原因で上瞼の裏側の結膜に慢性の炎症が起き、これが眼瞼挙筋に波及して、眼瞼を引き上げる筋肉が力を失って眼瞼下垂を生じることがあります。
このコンタクトレンズによる眼瞼下垂に対して、下垂が軽ければレンズの装用中止とステロイドの点眼などを行い、下垂が酷ければ上眼瞼挙筋の短縮手術を行います。
今回の質問者ではこれが一時的には効いていたが、また足りなくなってきたということであろうと思います。
縫い付けた筋と瞼板(瞼の中核をなす軟骨状の芯)が外れてしまうということはまずありえませんので、筋の脱力がさらに進んだということでしょう。
1)まず、ハードコンタクトレンズは手術後しっかりとやめていますか?
このような場合にはハードレンズを続けることを私は薦めません。
2)このほかに筋肉の脱力が起きる眼筋無力症(重症筋無力症の1型)や内臓のがんに伴って起きる眼瞼下垂(イートンランバート症候群)などの眼瞼下垂を起こす全身疾患は確かに除外できているでしょうか?
3)物が二重に見えたり、麻痺側の瞳孔が大きかったりする動眼神経麻痺は無いことが確認できているでしょうか?
4)瞼がぴくぴくと収縮する眼瞼痙攣の軽いものが見逃されている場合もあります。
5)ごく稀ですが、肺の先端部の腫瘍などで片側の交感神経の麻痺が起き、其の一症状として瞳孔の縮瞳を伴う軽い眼瞼下垂(ホルネル症候群)が見られることも有ります。
通常はコンタクトレンズの装用による眼瞼下垂ならば、ハードレンズを止めただけで多少の改善が見られ、手術までして下垂を直せば相当期間の永続的な効果が有ることが多いです。
ほかには眼瞼下垂を悪化させる上記のような原因が特に見つからず、本人がどうしても眼瞼下垂を改善させたいということであれば、しばらく一年くらい間をおいて再手術をすることも考えられるでしょう。
一度実際に見せていただけると、物語を聞いただけでは気が付かなかったような点に気が付くことができるかも知れません。
今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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