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2006年11月17日

212 吹き抜け骨折とは(眼窩底骨折、眼窩内壁骨折)

管理頁
再診記事は1310 眼窩底骨折 眼窩吹き抜け骨折
(管理頁)
眼窩吹き抜け骨折についての質問が3月3日午後8時過ぎから急増しました。
にあります。(こちらを読む)

眼窩吹き抜け骨折について質問をいただきました:

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質問:今年の8月5日にサーフィンの板が右目に当たり、病院へ搬送後、上瞼の縫合手術後を行いました。
診断の結果、右眼眼底骨折(注:右眼窩底骨折の誤り)と告げられ、眼球運動時痛と複視の改善を目的とし、8月x日に全身麻酔下にて整復術を行いました。

8月x日に退院し、毎月1回の通院を行っています。(検査内容:視力・眼力(?)・暗い部屋でのペンライトによる複視度検査と問診)

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ただ、完治に向けたリハビリ等の詳しい具体的な説明も無く、自然治療療法的な回復経過を待つだけのような説明しかなく、実際に3ヶ月以上経過した時点で、右目の視力は退院当初0.1だったまま現在に至り、複視についても余り改善の兆しが見られない状態が続いてます。

手術当時、主治医の眼科先生からは、かなり重度の怪我であり、通常完治まで半年位かかるが、私の場合は年単位で掛かるかも知れないし、完治する保証はできないと言われたことがあります。

現在通院する眼科について少し心配している面もあり、センカンドオピニオンの必要性を感じています。

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答:(清澤)
それは大変ですね。眼の周りの骨の窪み(眼窩)の下面、これを眼窩下壁と呼びますが、その部分の骨折です。丁度眼球の真下辺りに下に向けて眼球周囲の脂肪が噴出すような状態の骨折が起きています。

(眼底骨折というキーワードで探している方々が多いですが、それならば正しい医学用語は眼窩底骨折です。しかし、googleでも眼科骨折473,000、眼底骨折152,000件、眼窩骨折69,900 件、眼窩底骨折38,200件:眼窩吹き抜け骨折なら841,吹き抜け骨折でも958件と圧倒的に間違い単語の眼底骨折で書かれたページが多いのが実態です。ちなみに眼科、骨折ならこのページが第一位です。閑話休題。)

残念ですが、日本には眼窩骨折に伴う眼球運動の回復を助けるシステマチックなリハビリのシステムはおそらく存在しません。

ヘスチャートなどを頼りに回復の程度を患者さんに説明し、励ますしか方法がありません。(本日記載した別項目へススクリーンの項目⇒リンク、を参照。)

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すでに事故後に全身麻酔でしっかりとした整復をなされたようですので、今後は一層の眼球運動の練習を(自分流に)行って戴くことになります。

それでも複視が残る場合には、プリズムの作成と斜視手術による眼位の補正を図るといった流れになるでしょう。

斜視手術は最初の骨折補正の手術から3-6月はまっていただき、それを受けられる場合にも”今よりもましならばよしとする。”(完全な複視野解消は無理かもしれない。)という程度の患者さんの達観が得られないと、事故後の眼球運動修復への手術は手が出せません。

良かったら一度お見せください。あなたにも、現在の主治医にも良いアドバイスが差し上げられると思います。

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ここで、一般的な眼窩吹き抜け骨折(眼窩下壁骨折)の解説を加えます。

片方の眼を正面から鈍的に打撲し、その結果眼窩内の脂肪組織などが押し出される形で眼球を取り囲む顔面の骨が副鼻腔に向かって破裂するような,ないしは線状に骨折して軟部組織が挟まるものを眼窩の吹き抜け骨折と呼びます。

吹き抜け1
下に有る上顎洞に出る場合と内側壁が破れて篩骨洞に出る場合があります。

吹き抜け2CT
以前はWatersなどの撮影法でX線写真を撮ることが行われましたが、現在は冠状断でのCTを真っ先に取るのが最も的確な画像診断といえます。(図の出典)

骨の変化、眼窩内への空気の浸入や出血、外眼筋の挟まっている様子、副鼻腔への組織の押し出しなどを評価します。

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表面麻酔の元で固定ピンセットで眼球を引っ張ってみて運動制限が無いかを見るフォーストダクション(forced duction test) は行っても良いですが、その際に挟まった筋や神経それに血管をいためぬよう慎重に行う必要があります。

下壁骨折ならば眼球を下に動かす下直筋や下斜筋がはまり込んで眼球を上に向けたり、下に向けたりするのが制限されます。

また、内壁が破れれば眼球の内外転が制限されます。また、脂肪や筋などが副鼻腔に陥るために眼球が後ろに下がって眼が陥凹することも有ります。下壁骨折では眼窩下神経が損傷され、頬部、上口唇、鼻翼のしびれを生じることもあります。

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程度の軽いものであれば2週から2月程度で自然に複視の症状が軽快してしまうことがありますが、眼球陥凹2mm以上で眼球の上転が乏しく、下直筋をピンセットで引っ張った時に組織の抵抗を感じるような場合には早期に手術をする適応とされます。

私の印象としては、この手術は従来は眼科のみでも盛んに行われましたが、最近は他科と共同で眼科医が手術したり、はじめから他科に主導権を渡して治療を依頼する場合が多いようです。

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全身麻酔の後、4直筋に牽引糸を経結膜で設置して差し上げると、副鼻側からアプローチした他科の医師には牽引糸を引いてみることで眼筋の位置が副鼻腔側からも分かりますので、大いに手術の助けとなるでしょう。

下壁の大きな骨折では形成外科に依頼して、皮膚または下結膜円蓋部を切開して眼窩の骨沿いに骨膜を剥離しながら骨折部分に到り、挟まった組織をなるべく傷つけないように眼窩内に戻した後、必要であれば、シリコン板や金属のメッシュなどを骨と骨膜の間に入れて、これを眼窩組織の支えとします。

また内壁の骨折では、耳鼻科に依頼して鼻腔からの手術が好適で、内視鏡手術を用いて挟まった組織をこれも眼窩内に還納してもらうなどの方法があります。

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外傷時に筋や神経に不可逆的な損傷を生じていたり、挟まった組織が残存する場合、そして眼球を動かす組織に癒着が有る場合などでは眼球運動の障害(自覚的には複視)が残る場合があります。

眼球運動を直接肉眼的に評価するほか、ヘススクリーンで定量的に眼球運動の障害を評価することが出来ます。この方法では麻痺とそこからの回復の程度を提要的に追跡することが出来ます。

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この外傷では通常は視力や近視の程度は変わらないものなのですが、視神経に障害が加わったり、眼底や硝子体に出血などがあればそれ自体が視力低下の原因となることもあり、場合によってはこの治療が必要な場合もあります。

吹き抜けスライド
参考になるサッカーでの眼窩骨骨折のスライド⇒リンク

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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