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2006年11月1日

200 変視症 歪んでみえる、(類:多視症)

医療相談 Q&A

視野の右側が大きく見える。
年齢:22 歳
性別:男性
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桔梗
▼▲質問事項▼▲

見え方に異常を感じます

私は22歳の男性です。

約1ヶ月ほど前から見え方に異常を感じるようになりました。

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症状は1ヶ月前のある朝、会社に出勤してパソコン画面を見たときに違和感を感じ、突然気がつきました。

パソコンの中の画面が少し歪んで見えたのです。それからいろいろなものが歪んで見えるようになりだしました。具体的にどのように歪んでいるかといいますと、次のような感じです。

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両目、もしくは片目(右でも左でも)で見た場合でも四角いものを見たとき、左の縦線に比べて右の縦線のほうが長く見えます。そして横線はそれに沿うように上の横線は右上がりに、下の横線は右下がりに見えます。

仮に正方形のものだとしたら右の縦線が長い台形に見えてしまうのです

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だからパソコンなどの画面の横文字なども斜めに歪んで見えます。
また本などの縦の文字を右目で見ると文字が左に膨らんだ曲線に見え、左目だとその逆に見えます。

もちろん両目で見ても違和感はあります。

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気になって、近くの総合病院で神経内科と眼科で診察を受けたのですが、原因は分かりませんでした。

神経内科では、CT、MRI(造影剤なし)を受け異常なしとのこと、ただし左の鼻に蓄膿ありということでした。

また簡単に体に異常がないかチェックしていただきましたが、少し斜視があるというだけでした。しかし、物が2重に見えるわけでもなく、他に症状が見当たらなず、私の自覚症状だけであるから分からないとのことでした。

一方、眼科では歪みの原因になるものはないとのことでした。

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ただし、たまたま左目に網膜剥離が見つかったため、手術を受けました。しかし、その手術後も症状はつづいています。

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どうしても気になってインターネットで脳腫瘍専門の先生にメールで相談してみたのですが、症状から脳腫瘍は考えにくいとのことでした。そして、後頭葉に異常があるときにこういった症状が現れるのかもしれないが、腫瘍とは考えずらいとのことでした。

症状に気づいてから特に、悪化することもよくなることもなく今にいたります。

気にしないで生活しようとは思っているのですが、物を見ずに生活することはできないので、どうしても気になってしまいます。そのせいで必要以上に物の歪みを気にするようになり、ストレスを感じています。

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ここでお聞きしたいのですが、このような症状にはどういった原因が考えられるのでしょうか。ストレスなどが原因ということも考えられるのでしょうか。

また、もし診察を受けるとしたらどういった科に受ければよいのでしょうか。たまたまインターネットで神経眼科という科を見つけため、ご相談させていただきました。

インターネットや本などでもこのような症状はのっていなくて困っています。今のところ、診察を受けた医師からは気にしないようにして様子を見るように言われていますので・・とりあえずは気にしないようにしたほうがよいのでしょうか。

長々とご質問、申し訳ありません。ご回答いただければ幸いです

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お答え(清澤源弘):

この様な症状を変視症metamorphopsiaと呼びます。

その多くは単眼性のものです。

最も普通に見られるのは、眼の中で光を感じる網膜がゆがんでいる場合です。原因になりうるものには黄斑前線維症(=網膜前膜)、中心性漿液性網脈絡膜膜症での黄斑剥離、加齢黄変変性などが挙げられます。

これらは見るべき人(眼科医師)が見れば、詳細な網膜の検査で原因を発見することが出来ます。

この様な眼の病気はそれぞれの眼に単独に現れますので、症状は眼の変化に応じて観られることになります。

したがって通常は、片方の目だけにその症状があることが多いと思われます。

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片方の目だけに症状があるのであれば、脳の病変とは考えにくく、むしろ眼底の変化を考えるべきでしょう。

但し、あなたの場合、網膜剥離または網膜裂孔が見つかったという既往歴がありますので、特に黄斑部の網膜上に繊維性の薄い膜が張って網膜を引き寄せてゆがみを感じさせる黄斑前線維症や増殖性硝子体網膜症はことに疑ってみることが出来ます。

この疾患につきましては神経眼科の専門医よりは網膜剥離を手術してくださったような網膜硝子体疾患専門の先生にゆっくりご相談ください。

この疾患であれば、病状によっては網膜上の増殖膜を硝子体手術(ビトレクトミー:眼球内の硝子体と呼ばれるゼリーを切除吸引して取り去り、網膜剥離や眼内の硝子体出血などを直すのに用いられる手術です。)によって取り除くことが出来る場合があります。

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次に、脳の視覚中枢の病変で見られる変視症は脳のどこの変化でどのように現れるのでしょうか。

私も編集委員として関与して作った眼科学体大系の神経眼科学を開いて見ますと、神経眼科学概論の中の“奇異な視覚体験”の項目の中に、それらしきものが書いてあります。

脳に原因がある場合には、ゆがんで見える画像は片眼で見ても両眼で見てもほぼ同様に現れるはずです。

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その中でも、急性の後頭葉障害の初期に数日から数週間のみ現れる”形の異常”を示すものがあります。

これは、脳病変と反対の視野で物が拡大し、重ね合わさって見えるというもので、“錯視の拡大”と呼ばれる現象です。これは大脳性変視症とも呼ばれます。

あなたの訴えに合う病気が、これである可能性も考えられます。しかし、その持続期間は長すぎるかも知れません。

この症状の原因は脳梗塞などの脳血管障害、動静脈奇形などからのわずかな出血、脳腫瘍、癲癇の焦点がこの辺りにある場合等を考えることができるでしょうが、特に原因は特定されては居ないようです。

通常のCTやMRIなどの画像診断で答が出ない場合には、脳波検査で癲癇様の脳波を探すとか、これは少し研究的になってしまいますが、PETで脳の糖代謝分布を見る、またはSPECTで脳血流を見るなどというような脳の機能を見るような方法も考えられるかも知れません。

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脳に原因がある中枢性の視覚障害ということであれば、これを診断できるのは経験を持つ限られた神経眼科専門の医師です。お近くの神経眼科医にご相談ください。

滋賀医科大学眼科の西田助教授(機能的MRIなどを研究しておられます)、または大阪日赤の柏井先生(上に引いた教科書の部分を書いているのは柏井先生です。)などにはこの珍しい症状の見立てが出来るかもしれません。

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また、11月末に東京で開かれる第16回国際神経眼科学会ではこの中枢性変視症のシンポジウムがあります。

その中で何かmetamorphopsia (変視症:形が変わって見える病気という意味)の診断や治療につながる新しい話が出てくるかも知れません。

その学会を聞いて何か役に立ちそうな話が聞かれましたら、この記事に追加を書き足しましょう。

(追加;国際学会から
シンポジウム8、多視症 polyopia
まず大阪の不二門先生がレンズや角膜に原因があっておきる多視症を解説しました。この後、慈恵の仲泊先生が多視症と変視症を起こす後頭葉に原因がある病変の症例について述べました。また大阪の池尻先生が痴呆に伴う多視症の解説をしました。大変面白い話題ではありましたが、なぜこの話題がシンポジウムひとつに取り上げられるほどに重視されたのかが今ひとつ私にはわかりませんでした。)

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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