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2006年10月18日

188 LD learning disability 学習障害

私の診療所を一人の利発な表情をした少年がお母さんと受診しました。
軽い近視があるだけで特に目の病気はなさそうですが、なんとなく落ち着きが無いのです。  (管理頁

次回眼鏡を合わせましょうと言う約束をして本日は終了にいたしましたが、診療終了後、お母さんがそのお子さんにはLDがあるというのです。

そこで本日は眼科から見たLDのお話を復習してみます。

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インターネットのフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)を眺めますと⇒リンク

学習障害と訳されています。短縮して紹介します:

学習障害(がくしゅうしょうがい、Learning Disorder, LD)は、以前は学習困難(がくしゅうこんなん、Learning Disabilities)ともいわれていました。それで私はlearning disabilityと思ったのです。

医学、心理学、教育学の各分野にまたがって研究が進められ、それぞれで若干概念が異なっています。バランス感覚を欠き、著しく体を動かすことで困難を覚えます。

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定義としてよく紹介されるものは、アメリカの連邦合同委員会が出したものであす。

「学習障害とは、聞き、話し、書き、推理する能力、算数の能力を取得したりするのが著しく困難な、さまざまな問題群の呼び名である。そのような問題は、生まれつきの中枢神経の働きの障害によるものと考えられる。 学習障害は、他のハンディキャップ(たとえば、感覚の障害、精神遅滞、社会性や情緒の障害など)や不適切な環境(文化的な違い、望ましくない教育など)からも生じるが、そのようなハンディキャップや環境から直接生じるものではない。」(1981年 学習障害に関する連邦合同委員会報告)
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学習障害は、医学的には「微細脳機能障害」と呼ばれたこともあるように、脳の機能障害からくるものとされます。その一般的な特徴には次のようなものがあります。

・落ち着いて座っていることができない。多動、過活動。
・左右の認知に問題があることから、運動下手。
・からだの平衡感覚が著しく悪い。
・また、文字を書くと左右がひっくり返った鏡映文字になる。
・情緒が不安定で、衝動的な行動に走ったりする。
・発音と聞き取りの障害。ことばが遅れる、特定の音が抜け落ちる。
・抽象的に物事を考えることができない。

ただし、LDの子は全体的な能力で劣っているとは限らず、一部の認知・運動能力の障害以外には問題がないことも多いということです。

LDの種類には次のようなものがあります。
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・読字障害(Dyslexia)特定の字などが読めず、単語の意味を取り違えたりする。
・書字表出障害(Dysgraphia)書くという作業ができない。
・計算障害(Dyscalculia)計算ができない。紙に書いてする計算も暗算も困難。
・言語障害(Language deficit)自分のことを口に出して語れない。
・聴力障害(Auditory deficit)聞いて理解ができない。背後に雑音があるとできない、言葉で語られると思い出せないなど。
・空間認知障害(Spatial organization deficit)立体的な空間、立体が理解できない。
・記憶障害(Memory deficit)時間割、歴史的な事件などを思い出せない。

• 社会スキル障害(Social skill deficit)顔の表情やボディーランゲージを読み取ることや、声の抑揚で怒っているとか馬鹿にされているといったことが理解できない。

• 注意欠陥・多動性障害(ADHD) 注意が集中できないだけでなく、ゴソゴソと動き回る。LDの中に入れていいものかどうか、議論あり。LD/ADHDと併記されることが多い。

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がこのように具体的になってきますと、側頭葉障害などで見られる大脳皮質の欠損症状の様相を深めてきますので神経眼科を専門にする私にも取り付きやすい話になってきます。

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学習障害の分類

学習障害は、LDと呼称するほうが一般的です。学習障害との呼称は、実態よりも重篤な印象を与えるためです。 従って、適切な訳語が考案されるまでは、LDの呼称を用いたほうが妥当であろうという声があります。

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このLDは、言語性LDと動作性LDに大別されます。
言語が不器用な言語性LDは、知的障害に近い印象を与えます。そのため、障害者認知がされやすく、たまに出来る領域があれば、人から評価されやすいといいます。

しかし、動作が不器用な動作性LDは、意思表示に問題がないから、障害者認知が受けにくく、なまじ言語性学習能力が高いと、「口先だけ」「生意気」との誤解を招きやすいといいます。

特に、小学校低学年までは、同世代も動作性学習能力だけを評価の対象にする為、同世代からも無能力の評価を受けやすいそうです。
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これを見ていただきますとLDの症状には読字障害など眼科に関連した症状も少なからずあることが分かります。

したがって、眼科や眼鏡を扱う人々の中からこの疾患を治療しよう、扱おうという人々が出てくる事も理解できるところです。

ところで、江戸川区の順天堂大学関連の眼科医師が集まって行う眼科の勉強会に葛南眼科研究会というものがあります。その席でご一緒させていただいた川端先生はその道の権威者です。(⇒かわばた眼科HP)

彼のホームページを開いて見ますと、LDを眼科の立場で評価し、最適な指導教育を行おうとしていることが読み取れます。下の質問を一度お試しください。

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===川端眼科HPからの引用===

 次のリストの項目に、あなた、またはお子さんの現在の様子が当てはまるかチェックしてみましょう。一見視覚と関係がなさそうなものもありますが、子どもの視覚の発達にとって欠かせない身体感覚に関連した内容も含まれています。
 問題なく発達している場合、当てはまる項目はほとんどありません。いくつかの項目に当てはまるならば、眼科検診とともに視覚認知発達検査を受けることをお勧めします。(なお学習に関連する質問に関しては、就学年齢以上の方を対象にしています。)

よくつまずく。

人の目をよく見ない。

人の顔の区別ができないことがある。

探し物をうまく見つけられない。

よく迷子になる。

左右をよく間違える。または、左右がわからない。

目の上を指などで押さえて物を見ることがある。

頭をかしげるなどして、横目で物を見ることがある。

手先を使う作業が苦手である。

自分の体を、不注意でよく周囲にぶつけたり、はさんだりする。
 (たとえば、頭を遊具にぶつける。ドアや引き出しに指をはさむ。等)

簡単にバランスを崩しやすい。
 (たとえば、片足で立っていられない。片足をあげて靴下をはけない。よく転ぶ。等)

階段や坂を歩くときに怖がって、一段ずつ降りたり、柱や手すりをたよりにする。

ボール遊びや、それに類する体育や、お遊戯、ダンスが苦手である。

文字を覚えることが苦手である。

文字を読むのに非常に時間がかかる。

似たような文字を間違える。

小学2年生以上で、鏡文字を書く。

読書時に、行を飛ばしたり、同じところを何度も読んでしまうことがある。

図形問題が苦手である。

ーーーーーーーーー引用終了ーーーー

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そして彼が深く関与している研究グループに視覚機能研究会があります。

⇒リンク http://www.joyvision.biz/index.html

その会の北出氏によると====引用===

視覚機能とは視覚機能とは視力・眼球運動・両眼のチームワーク(輻輳と開散の事)・調節機能などの入力機能と、脳の中で視覚情報を認知・記憶・イメージする処理機能の2つを総合した機能のことをいいます。

視覚機能のどこかに問題がある場合、字を効率よく読んだり、書いたりすることや、漢字を覚えたり、図形の問題を解くこと、イメージして考えることなどが苦手になってきます。

====引用終了====

平成18年度から北出氏らは視覚機能研究会を立ち上げ、千葉県の眼科専門医の川端秀仁先生を顧問として、志のある眼科・眼鏡店のメンバーが視覚機能の問題に取り組んでいるそうです。

この取り組みは、眼鏡取り扱い業者を中心とした運動のようです。
”近視を訓練で治す”などという医学的な根拠のない訓練を行っていたグループとはまったく違い、この会の活動は根拠のある活動だと思います。

視覚に関連したLDを持つ児童に対し、(眼鏡処方は眼科医の仕事であるという意見もありますが)プリズムや調節を補う成分を加えた、正しい眼鏡を作るということは確かに実際に必要なことです。

この会の各会員の成果を示したページを拝見しますと、”微細な斜視”に合った眼鏡を作ったなど、入力面での障害を中心に扱う印象がありますが、その先での障害に対する訓練は実際意味があるが難しい物なのでしょう。

その、LDに対する訓練に関しては、教育学やリハビリテーションとも関連するところで、私がコメントするにはもう少し勉強をする必要がありそうです。

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私も視覚に関する高次脳機能障害の研究に手を染めてきたつもりで居りましたが、ひとのページを見れば見るほどに奥の深さを実感いたしました。

幸いご近所ですし、LD児童の評価などは(この部分は、私費診療のようですが)川端先生に相談するのがよさそうです。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
管理頁
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