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2006年10月15日

183 麻酔深度が浅いと眼球はなぜ動くのか

麻酔科プラクチス麻酔深度が浅いと眼球はなぜ動くのか
堀江長春、清澤源弘、東京医科歯科大学医歯学総合研究科眼科
(麻酔科診療プラクティス20、高崎真弓ほか編、文光堂、p224-227、2006年10月7日発行)    (管理頁

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1、眼球はカメラである
眼球はその構造がカメラにたとえられ、網膜はフィルムに相当する。

2、網膜で光は電気信号になる。
光は視細胞で電気信号に変わり、網膜内で処理されて、神経節細胞の軸索である視神経につたえられる。

3、写真の現像は脳の担当
第一次視覚領には画像が映し出され、背側経路で動きと位置の認識が、また腹側経路で形の認識がなされる。

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4、眼球運動の目的は対象物をとらえ、追いかけることである
眼球を動かす筋は各眼に6本ある。眼球運動は早い衝動性眼球運動とゆっくりした滑動性眼球運動にわけられる。

5、眼球運動の中枢制御
衝動性眼球運動には前頭眼野、傍正中橋網様体、上丘などが、また滑動性眼球運動には、V5、V5a、前頭眼野、小脳などが関与する。

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6、想起する、夢を見るとき眼が動く
映像を思い浮かべる(想起する)時には眼が動く。また夢を見るときも早い眼球の運動が見られる。

7、夢を見ているときの睡眠状態はREM睡眠
睡眠は早い眼の動きを伴うREM睡眠と、それ以外のnon-REM睡眠に分けられる。通常の睡眠では90分間隔で起きるREM睡眠がnon-REM睡眠をはさみ、4-5回の睡眠周期を繰り返す。

8、睡眠と麻酔は異なる
麻酔では麻酔薬により深い意識消失状態にコントロールされているので麻酔は睡眠とは異なる物ととらえるべきである。

9、全身麻酔時の脳波は、一般的に徐波化する
全身麻酔の脳波は一般に徐波でnon-REM睡眠時の脳波様である。

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10、眼球運動で麻酔深度を判定できるか
古典的なエーテル麻酔によるGuedelの麻酔兆候では浅い麻酔で眼球が動くとされる。
浅い麻酔時の脳波はnon-REM睡眠様であるが、現在の麻酔は筋弛緩を含むバランス麻酔である。したがって現在の全身麻酔では眼球が動くと麻酔が浅いとは言えるが、麻酔が浅いと眼球が動くとはいえない。

11、手術ではREM睡眠が抑制される
麻酔はREM睡眠も抑制する。REM睡眠は短期記憶の長期記憶への固定などにも関与しているので、麻酔に伴うREM睡眠の不足は別の問題を引き起こすかもしれない。

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清澤のコメント:
この原稿は堀江さんがほとんどを準備してくださり、出版にこぎつけました。長すぎたために、この原稿から削られた部分を補筆します。

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私は最近はもう全身麻酔の眼科手術からは離れましたが、網膜剥離などの全身麻酔が必要な手術では手術の最後近くになって、自分の手術終了の目途が立つと、眼科医は麻酔科医に”あと30分で終わりそうです”などと伝えて麻酔科医師に麻酔薬の吸入を止めて患者さんを麻酔から覚まし始めてもらいます。

この時に、予想より傷の縫い閉めなにいつもより余計に手間取ったりしますと、バッキングという呼吸に伴う”むせ”を生じて体の動きが出てしまいます。

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そうなると麻酔科医は麻酔薬を加えてもう一度麻酔を深くしてくれます。麻酔薬は血液から体の脂肪へと再配分されてしまいますから、麻酔の追加では最初の覚醒よりも長い時間が必要になります。

術者は手術終了の時刻をしっかり見通して麻酔を覚ましてもらわないと、覚醒に相当な時間がかかってしまうことになります。そうなりますと、眼科の手術が終わった後もしばらくは患者さんが呼びかけに応じて自分で呼吸が出来る様に回復するまで、麻酔科医師、眼科術者、眼科レジデントたち、看護士さん、(そして誰よりも患者さん自身を)しばらく(30-45分も)ただ待たせることになります。

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殊に眼科医と麻酔科医の息の合った手術と麻酔が必要な所以です。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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