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2006年10月12日

178 眼瞼けいれんとNIRS(機能的近赤外線分光法)の研究

1)機能的近赤外線分光法(fNIRS)を用いた眼瞼痙攣時眼不快の直接検出を日本医科大学の小野眞史先生が第60回日本臨床眼科学会の学術展示の涙液・ドライアイ・コンタクトレンズのセッションで報告しました。⇒リンク

このポスターの内容は次のようなものです。

(機能的近赤外線分光法(fNIRS)を用いた眼瞼痙攣時眼不快の直接検出、小野眞史(日本医大、東京歯大)、灰田宗孝(東海大神経内科)演題番号P3-20、抄録集191ページより) 

眼瞼痙攣は治療に反応しないドライアイの約3割に合併を認め、臨床では重症ドライアイと類似した開瞼困難を認める患者QOLの低い疾患です。

演者らは、ドライアイや角結膜障害の脳からfNIRS信号を得て、大脳前頭葉の活性化が眼不快感の程度に対応することを昨年の第59回臨床眼科学会で報告しています。

今回も、日立メディコ社製ETG-100を用いて同様に、眼瞼痙攣患者の前頭葉活性を測定しました。

対象は、初診時JacobiecスコアA3, B3以上の眼瞼痙攣を有してボツリヌス治療を複数回施行した経験があり、最終治療後に痙攣が出現している患者3名(男2、女1)としています。

瞬目状態を高感度カメラでモニターし、明室、暗室、およびヒアルロン酸点眼、点眼麻酔時にて毎分の開閉瞼をタスクとして各2回の開瞼を含む1クール5分間で測定していました。

明室、平常時では角結膜障害、ドライアイと同様に開瞼時に前頭葉の明らかな活性化が認められ、それらは眼瞼痙攣と同時に、暗所測定と点眼麻酔御測定にてほぼ消失したということです。

これらの結果から演者は、眼瞼における眼不快は角結膜障害やドライアイと同様に開瞼時の前頭葉の活性化として描出可能であったとしています。

また眼瞼痙攣は視覚、蝕覚刺激を軽減した条件でほぼ消失し、その時には自覚的眼不快と他覚的前頭葉活性の著明な減弱を認めたと報告しています。

清澤の感想ないしコメント:
この発表の場所にて聞くことができず、後でこの発表に気が付いたものですから質問追加ができず残念でした。統計処理にかけるのには対象数が少なすぎるにしても、大変興味深い研究であると思いました。

先の実験で角結膜の障害やドライアイに伴う眼不快感が前頭葉の活性化(果たして前頭葉のどの部分なのでしょうか?)に対応することを示しているということですから、今回の前頭葉の活性化もその”活性化”が示すものが何であるにしろ(眼瞼の運動なのか知覚的な疼痛などの不快感?)眼不快感に対応するものとしてよいのでしょう。

実は私たちのポジトロン断層法研究グループの江本も、眼瞼痙攣患者のまぶしさの症状の有無に注目して、今まで脳の糖代謝を測定した18名の患者の脳ブドウ糖代謝を検討し、眩しさの訴えの原発巣の推定を試み、視床の亢進と上丘の抑制を見ています。(⇒リンク

この演題は11月末に東京芝増上寺に行われる国際神経眼科学会の演題に提出されています。

眼瞼痙攣に伴うまぶしさと、眼瞼痙攣の不快感は別物かもしれません。

しかしf-NIRSは頭蓋の外から近赤外線を測定する方法ですから、この方法で測定できるのは脳表面の灰白質だけで、理論的にも実際にも脳深部の血流変化は測定できないのです。

今後も様々な眼瞼痙攣ないしその関連疾患での脳内の機序が比較検討されるのでしょう。解像力は低いですが、短時間で測定ができまた被爆も無く安全に測定のできる赤外線スペクトロすコピーは今後も有力な測定法であり続けると思われます。

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