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2006年10月11日

177 白内障術後の視力低下(後発白内障とハイドロビュー人工レンズの混濁)

白内障術後の視力低下(後発白内障と人工レンズの混濁)
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431白内障手術がきれいにでき、角膜や眼底にも問題が無く、一旦良い視力が得られた後で、再び視力が低下してしまうことがあります。

その原因でもっとも多いのは後発白内障と呼ばれるものです。

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後発白内障は人工水晶体を眼内で支える為に残した元の水晶体の後嚢が混濁する現象です。

水晶体嚢の上皮が代謝物質を分泌し、それが後嚢に沈着して後嚢の混濁を起こすといわれています。

424この現象は比較的若い患者さんに多く起きますので、私は良く「後ろの膜に垢がたまったのでこれを処理します。これもあなたが若いことの照明です。」と説明しています。

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実際、その解決にはYAGレーザー(ヤグレーザー)という強くて集光した光が用いられます。

この光のパルスを眼内で濁った後嚢に焦点を結ぶようにして集光して発射してやると、小さな水蒸気爆発が眼内レンズの後ろで起きて、後ろの濁った膜がうまく直ちに破れ、きれいに澄んだ光の道ができます。

423こうして数分で、術直後の矯正視力(もっとも合っためがねでの視力)1.0から0.4程度にまで下がった視力が、再び1.0に回復して患者さんにも大変喜んでいただけます。

ところが水曜日に外来を見ている医科歯科大学病院で、少し見慣れない症例を拝見しました。

よその病院で白内障の手術を数年前に受けたという症例で、眼内のレンズの表面と裏面が擦りガラス状に濁っていて、後嚢の状態も良く見えず、眼底もぼやけて見え,視力が片眼だけ0,5に低下しているのです。

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私は良く知らなかったのですが、ものをよく知っている先生によれば、ハイドロビュー(H60M)という眼内レンズの中に、眼内挿入後1-3年後に混濁するものが1%程度あったという事が報告されているというのです。

420ネットで調べてみますと、その故障の説明は2004年4月5日のイギリスの政府からの眼科医への緊急警告⇒リンク(Bausch & Lomb HYDROVIEW H60M Intraocular Lens (IOL).)にも記載があり、

日本語でもハイドロビューの許可説明書(⇒リンク)の中に、はっきり明記されていました。

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その内容は、次の通りです。

11. 本眼内レンズ(ハイドロビュー(H60M))を移植した患者で、後発白内障(PCO: posterior capsular opacities)や水晶体上皮細胞(LEC: lens epithelial cells)とは異なり、レンズ前後面に薄い皮膜として観察され、「曇り」、「細かいもや」あるいは「顆粒状混濁」と表現されるカルシウム沈着を生じ、軽度の沈着事例では後嚢及び眼底を観察できるが、重度のものでは後嚢及び眼底を観察することが困難となり、視力低下によって摘出せざるを得なかったとの報告もある。

摘出事例において、視機能低下以外にカルシウム沈着に由来する有害な臨床症状や眼内炎症性反応は確認されていない。

2005年9月末時点では、全世界に出荷された本眼内レンズ約800,000枚のうち、カルシウム沈着が認められたのが3,721眼、摘出されたのが3,024眼報告されている。

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2005年9月末時点では、本邦においてカルシウム沈着に関し767眼(677例)の報告があり、うち669眼が摘出又は摘出予定であった。

677例中231例が、糖尿病を合併していたことが確認されている。

カルシウム沈着の製品的な因子として、ガスケットから派生した低分子シリコーンが関与している可能性があり、包装変更を行った。

本邦で包装変更前の製品は1999年11月から2001年10月までに約58,500枚が出荷された。

なお、包装変更後の製品は本邦において2001年11月から2005年9月末までに約33,600枚出荷され、全世界では2005年9月末までに約523,100枚出荷されているが、カルシウム沈着事例の報告はない。

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結論として、1999年から2001年に出荷されたH60M型レンズの旧包装製品では、全世界で0.37%が、また日本では1.3%もの製品が眼内から摘出を要するほどの混濁を起こしていたということの様です。

期待した近視の程度と仕上がった近視の程度のずれが予想外に大きくて、レンズを入れ替える必要のある事態に立ち至ることは無くは無いです。

しかし、手術直後ならばともかく1-3年もの期間が過ぎますと、レンズの足が前嚢と後嚢の間に強くはさまれ固定されますので、その摘出と代わりのレンズを挿入することはそれほど容易ではないと考えられます。

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白内障手術を受けた患者さんで、手術後しばらくして視力が再び下がったと感じられた患者さんは、ぜひ再度の診察をお受けください。

また、この期間にこのレンズをお使いになった先生は、再度自分の患者さんの訴えに耳を御傾け下さい。

(また、私はこの問題に深入りしたいわけではありませんが、白内障術後の視力の再低下の問題を心配している患者さんが私をお尋ねくださるならば、妥当な治療手段を考えさせていただきます。:追記)

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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