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2006年10月9日

176 第60回日本臨床眼科学会 印象記

管理頁

第60回日本臨床眼科学会に参加してきました。

雑文ですが、眼科関係の読者には多少参考になるかも知れません。

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当医院の従業員にも有用な情報が含まれていると思います。

金曜日の午前の診療を終え、留守をお願いして京都に向かいました。会場に着いたのは5時近くでしたがそれから早速学会2日目のイブニングセミナーの発表を聞きました。

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1)やさしいクリニック作り;インストラクションコース(IC2-16)

(御茶ノ水井上クリニック井上賢治先生ほか):

○眼の悪い患者さんにもよく見える床から140センチを中心に配列した院内の表示や、いすの座面の高さまで通常の43センチではなく40センチとこだわって作らせた家具などを備えた新しい井上眼科の紹介。

○清澤のコメント:ユニバーサルデザインという言葉がキーワードで、病院側でなく利用者である患者さんに参加していただいて設計前の段階から個別の事柄(色、照明、素材など)を決めてゆき、ユニバーサルデザインの認証を受けるのだそうです。

さすが日本一の民間眼科専門病院です。院長の若倉先生は今、井上眼科記念眼科歴史資料室の仕上げにかかっているそうです。

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2)そろそろ開業?、まだまだ勤務医?;イブニングセミナー8
日本眼科医会共催、安藤伸朗先生(済生会新潟第二病院)ほか。

○平均的な勤務医の労働時間は週63時間、眼科勤務医の平均年齢は37,5歳と最も若い。

○医療改革という名前で呼ばれる医師(特に勤務医への)締め付け強化の中で、中堅の眼科勤務医は疲弊し、若手医師は「立ち去り型サボタージュ」、「逃散」、「形を変えた勤務医のストライキ」に向かう姿を現しています。

○清澤のコメント;18か月前に大学の勤務医を辞して開業した私には、”すべては患者さんのためにという”額を掲げて、”自分の理想とする診療ができる場を作りたい”という思いがあります。が、思い当たるところが無いわけではありません。

○公的な病院で自己犠牲を強いられるのはもうたくさんと、各医師が病院に居なくなっているのは、何も産科、小児科、内科ばかりではないのです。

○しかし、開業しても楽になるわけではなくて、外来診療、大学での診療、老人医療センター病院での手術、この記事を書く時間や諸事務作業、駆けつけ飛び帰りの学会参加などなど含めますと、今週の当開業医の労働時間は84時間でした。

○逃避的な心情で開業を考えるならば、そのリスクは高いと思います。ことをはじめるには、自分なりの目的が必要と思います。

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3)解決 不定愁訴・不明愁訴4、眼の痛み;インストラクションコース
山田昌和(東京医療センター)、清澤源弘(私)、若倉雅登(井上眼科病院)、

○山田先生は前眼部の、私は神経眼科関連の、そして若倉先生はセネストパシーを含む眼の痛みの総論を説明しました。⇒私の発表内容のご紹介(解決 不定愁訴・不明愁訴 その御題は 眼の痛み):準備中です

清澤のコメント:大学を離れて一年も経つと、新しい臨床の写真の手持ちも乏しくなり、インターネットで探した資料も交えての苦しい発表準備となりました。辛うじて発表の活性を維持しています。なおこの講座は、そのプログラムも印刷されてから直前に他の演題との差し替えで、場所が変更になり、開始時間も早まったのに100人近い聴衆が部屋を埋めてくださって本当にうれしかったです。先の単行本に続く続編を作る話が金原出版から申しこまれていますので、若倉先生を中心に新しい出版のプロジェクトが近々できることでしょう。

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4)レセプト提出のノーハウ;インストラクションコース
山岸直矢(日本眼科医会)ほか

清澤のコメント;保険診療は患者さん本人から戴く診療費と医療費の支払い基金から戴く部分からなっています。

月末になると支払い基金に対して私たち開業医や病院は、保険証の番号にしたがって各患者さんの医療費の請求書を提出します。

この紙がレセプトなのですが、保険診療は予め決められたガイドラインにしたがって行われなくてはならず、個々の医師の裁量にゆだねられる部分はほとんどありません。

その請求の正当性を示すには、適切な診療であることを裏付ける的確な病名の記載が伴っていなくてはなりません。

私たち初心者の開業医が注意すべき諸所の点を注意してくださるありがたい講義でした。

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5)テクニス眼内レンズが変える「見え方の質」ー患者も見える、術者も見えるー
ランチョンセミナー20

オーガナイザー 大木孝太郎(大木眼科)

○白内障の手術が終わって、同じ1.0の矯正視力が出たといわれても、実際にはぼけた画像であったり鮮明な画像であったりの差があるという話で、要はAMO・ジャパンのテクニスという非球面の新型レンズが収差が少なくて(ボケが少なくて)よろしいですよというお話でした。

○清澤のコメント:昨年から注目の乱視を治すという眼内レンズの話では無かったです。

私はお手伝いに行く先の病院が入荷してくれているレンズを黙って使っていますが、このような新製品は、おそらく納品値段も高く、手術材料費が保険で決められている現状の中では、各病院でもなかなか使いにくいかも知れません。

○今後、同じ白内障手術でも、早くてきれいであるとか、相対的に高品質のレンズを入れているとかによって、各病院は他の病院との差別化を図るようになり、また患者さん側からも、病院が一層選ばれるようになるのでしょう。

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6)ポスター展示;ざっと一回りしてすべてのポスターを眺めました。今回私は、清水恵先生たちと共に”後頭葉梗塞により相貌失認と中枢性色覚異常を呈した一例”を発表しました。⇒リンク

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7)機械展示;これもざっと会場を回りすべての機械展示ブースを眺めました。こちらの不勉強かも知れませんが、今回は特に目新しいものはありませんでした。

(私事で恐縮ですが、機械展示場を回ると、今は亡くなった父に小学校に入るか入らないかの頃、東京の晴海埠頭の東京国際見本市に連れて行ってもらったのを思い出します。当時輸出用の木函を作る小さな町工場をしていた父は、そこで圧搾空気で連続的に釘を打つ最新式のドイツの機械を買って帰りました。)

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8)待ち行列理論と外来予約制 (新しい外来システムの理論と実際をAdherenceという言葉をKeywordに解説)

松原直樹(松原眼科)、前田秀樹(山口大経済学部)、濱田恒一(ハマダ眼科医院)

松原先生の話の要点:

患者さんが到着し(到着率λ)、待合室に滞留し、診察が行われ(診察率μ)、その後に患者さんが退去するというモデルにおいて、外来ではクリチカルな律速段階となる部分は医師の診断のステップです。

横軸に時間をとり、縦軸に到着した患者の累積人数を取ると、このカーブは最初がゆっくりで中間は早く上昇し最後には流入が減るシグモイドカーブです。それに対して診察時間は比較的コンスタントなのでこの2本のラインの乖離がある時間での待ち人数と待ち時間となります。

60分ごとの受付数を測定し、30分ごとの待ち時間をプロットすると、この関係がわかります。

有限な診療の資源を有効に使うには、一度にたくさんの患者が到着する状態を制御するのがよく、そのためには予約が有効です。

患者が不必要に待ち行列を形成しないシステムを構築し、受診しやすい環境を医療機関が作っておくことによって、患者が医療へのadheence(患者の医療への能動的参加意欲)を失わせないようにするのが予約の目的です。

濱田先生の話の要点;電子カルテに付随した予約システムの有効な利用

一日70人程度の受診規模の医院において、柔軟な予約枠を作り、コンピュータで管理する。

人での電話と窓口、電話自動応答、web予約、i-mode予約を共存するが電子的な方法は30%以下程度。

予約は10分に2枠、即ち一時間に12枠で、診療内容により1-3枠を使う。

予約外は、受診時点で残っている予約に入れる。

予約券は磁気リライトカードで、3台のカードリーダーライターを準備している。

適正な予約率は85%程度と考えていて、

システム導入当時の再診予約率は70%、初診予約率は50%であった。

それが直近では再診、初診とも85%になり、患者の診療開始までの待ち時間は平均5分程度で運営状況は良好である。

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