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2006年9月16日

162 祝:鈴木氏アイチェックチャート論文出版

JJO表紙情報量も文章も大分切り詰めて、最終的に、Murai Hを筆頭著者とするこの短報論文は、日本眼科学会の機関誌であるJapanese Journal of Ophthalmologyの掲載審査に通り(acceped for peer review)、このたび掲載(publish)していただくことができました。このHPでは最初に抄録の日本語訳、次いで私の感想、最後に英文抄録をつけています。

ECC全体図鈴木式アイチェックチャートの神経眼科疾患での感度と特異度
Jpn j Ophthalmol。 ; 50: 383-6
村井秀樹、清澤源弘、望月学、鈴木武敏

目的: 視路に障害を持つ目のスクリーニングとしての鈴木式アイチェックチャートの感度と特異度を調べる。

方法: ハンフリー視野計30-2 SITAファストプログラム(HP)で35人の神経眼科患者(65眼)の視野欠陥を確認した。 40眼に外側膝状体以前の障害(pregeniculate)があり、25眼には外側膝状体以後(postgeniculate)の病変があった。 正常対照群として、視野欠陥のない12人の患者の22眼を検査した。 すべての対象はこのハンフリー視野の異常に対応する変化があるかどうかを鈴木式アイチェックチャート(ECC)を使用して検査した。 ECCの結果がHPの調査結果と一致した群と、一致しなかった群に分けて、ハンフリー視野HPの結果に基づくECCの結果の感度と特異度を計算した。

結果: ECCの感度はpregeniculate傷害を持つ患者で87%、postgeniculate傷害を持つ患者では80%だった。アイチェックチャート ECCの特異度は91%だった。

結論: 鈴木式アイチェックチャートECCが示した高い感度と特異度は、神経眼科患者の選別で信頼できる結果を与えることを示した。
Jpn j Ophthalmol 2006年; 50: 383-386 (c)日本眼科学会

コスモス1視野異常の早期発見のために

鈴木氏アイチェックチャートは、簡便に視野障害と暗点を検出することを目的として、岩手県の開業医鈴木武敏氏により開発され、緑内障や黄斑疾患のスクリーニングに使われるチャートです。

このチャートはA3の大きさで、左右40°、上下25°の測定範囲の中に絵柄状の指標が配置されています。

固視眼とチャートの距離がほぼ40cmですとマリオット盲点が確認できるので、 その状態で周辺の指標が確認できるかどうかをチェックします。

以前、ファイザー製薬が全国版新聞の朝刊に掲載し、緑内障の自己チェックを進めたので、見たことがある読者は少なくはないと思います。

コスモス1私も数年前にこのチャートを拝見し、このチャートが半盲や中心暗点などの神経眼科疾患の診断に有効に使えることを直感しました。

しかし、鈴木武敏先生に伺ってみると、これまでにこのチャートの有効性を論じた英語の論文は緑内障のスクリーニングに対しても出版されていませんでした。

当時、東京医科歯科大学に属していた私は、このチャートの有効性を世界に広めることの重要性を感じ、開発者の鈴木武敏先生に共同研究を申しこみました。

この結果一組のチャートがまもなく医科歯科大学に届けられ、医科歯科大学の神経眼科外来で視野障害を持つ患者さんを対象に、このアイチェックチャートとハンフリー静的量的視野の結果の比較が開始されました。

コスモス1この結果は2年前の国際視野学会(鈴木らが参加)や国際神経眼科学会(村井、清澤らが参加)で発表でき、大変に好意的な反響をいただくことができました。

しかし、口頭での好意的な評価と、論文として受け容れられる(accepted)ということには大きな格差があります。

帰国後、データを再処理し、英文を整えて、英米の眼科英文雑誌に投稿しましたが、なかなか掲載していただくことはできませんでした。

JJO表紙情報量も文章も大分切り詰めて、最終的に、Murai Hを筆頭著者とするこの短報論文は、日本眼科学会の機関誌であるJapanese Journal of Ophthalmologyに通り、このたび掲載していただくことができました。

コスモス1今日では、多くの国際的な有力眼科学雑誌に日本人の論文が毎月掲載されています。そのような諸雑誌に比べれば、”JJOのインパクトファクターは微々たる物であり、たいした事は無いよ”と評価されることも多いだろうと思います。

しかし、他所からの借り物の機械を使って行った仕事ではなく、日本人がまったくゼロから考え、作りあげたチャート(検査図)を英文雑誌に掲載して世界にオリジナルな情報として発信できたことの意義は何物にも換えがたく思います。

私も胸を張って自分の関与した仕事として世界に誇れるものであると思っています。
11月に東京で行われる国際神経眼科学会では”この2年間かかって、こんな論文ができましたよ”といいながら世界の旧友にこの別刷りをお渡しするのが楽しみです。

(少ない私の経験でも、欧米の研究者は(日本とは違って)買ってきた高価な機械でなされた仕事よりもこのような独創性のある研究にこそより大きな敬意を表してくれるものです。)

GP,HP,ECC比較発売元のMEテクニカのHP(⇒リンク)では
■ 初診時にチャート検査を行うことで、本人が気付いていない視野異常を発見する機会が増えます。
■ 視野異常を自覚できるので、ハンフリーなどで行う精密視野検査への理解が深まります。
■ 専門の検査員がいなくとも検査が行えるので、眼科検診や学校検診、人間ドックなどにも使用できます。
■ 脳外科などでの対座法に変わる視野スクリーニングとしても有効です。
と紹介しています。

Jpn J Ophthalmol. ;50:383-6
Sensitivity and Specificity of New Eye Check Chart for Neuro-ophthalmological Diseases.

Hideki Murai, Motohiro Kiyosawa, Manabu Mochizuki, Taketoshi Suzuki

PURPOSE: To determine the sensitivity and specificity of a new Eye Check Chart (ECC) for screening neuro-ophthalmological patients with lesions in the visual pathways. METHODS: The Humphrey perimeter (HP) with the 30-2 SITA Fast program was used to confirm the visual field defects found in 65 eyes of 35 neuro-ophthalmological patients. Forty eyes had pregeniculate lesions, and 25 eyes had postgeniculate lesions. As controls, 22 eyes of 12 patients without visual field defects were also examined. All subjects were then examined using the eye check chart (ECC) to determine whether comparable visual field defects were detected. The eyes were separated into those in which the ECC findings agreed with the HP findings, and those in which they did not agree. Based on HP results, the sensitivity and specificity of the ECC results were calculated. RESULTS: The sensitivity of ECC was 87% in patients with pregeniculate lesions and 80% in patients with postgeniculate lesions. The overall specificity of ECC was 91%. CONCLUSION: This high sensitivity and specificity indicate that ECC can give reliable results in screening neuro-ophthalmological patients for lesions in the visual pathways. Jpn J Ophthalmol 2006;50:383-386 (c) Japanese Ophthalmological Society 2006.

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