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2006年9月3日

151, 眼瞼けいれん用のクラッチ眼鏡

クラッチ眼鏡、

赤バラ両眼の眼瞼痙攣はしばしば開瞼失行をともないます。この開瞼失行というのは本人が目を開こうとするのですが目を開くという動作が的確に開始できない状態です。しかし、いったん開くと基本的には眼瞼の下垂はありません。

この様な状態では、患者さんはしばしば片手を上瞼の端に添えて瞼を上げようとしています。

この動作は、実は瞼を持ち上げているだけではなく、瞼に自分の指先が接触する刺激を与えることで脳のレベルで瞼が開くのを助けようとしているのです。この操作をセンソリートリックと言います。

桔梗もどき最近、眼瞼けいれん患者友の会で患者さんと話させていただいたときに、“眼瞼痙攣に伴う開瞼失行症の患者さんにはクラッチ眼鏡を調整するとかなり多くの患者さんに喜んでいただける”ことに改めて気がつきました。

それで、以後、私の医院で“開瞼失行を伴う両眼の眼瞼痙攣の患者さん”が見えるたびに当医院に木曜日に手伝いに入ってくれている“霞ヶ関高田眼鏡店”所属の眼鏡技師山口さんに患者さんをおつなぎして、クラッチ眼鏡を試してもらい、8割程度というかなり良い確率で喜んで購入してもらえています。

黄色ひまわりはじめは見本をみた患者さんが、“そんな奇妙な眼鏡は勘弁願いたい”とおっしゃいますが、バネは眼鏡枠の陰に入りますし、他人も“瞼が下がるのでその装置をつけている”ことは推測してくれます。

何よりもためしにクラッチをつけた眼鏡を試した本人が、“これをつけると見やすい!”とおっしゃってくださいます。

しかも、ボトックスで眼瞼痙攣を十分にとめて、眼を閉じる力を弱めておいてこのクラッチを当てると効果は倍増します。

紫この“開瞼失行を伴う両眼の眼瞼痙攣の患者さん”というのは決して珍しいものではなくやや重症で両眼性の眼瞼痙攣のほとんどがそれです。

芙蓉私は、このクラッチ眼鏡が有効であった症例を随時蓄えていて、“開瞼失行にクラッチ眼鏡が有効なのは、瞼を持ち上げるからではなくてセンソリートリックを介する機構を刺激することよるのであろう“という報告をいずれしようかと考えています。

(しかし、すでに大学を離れて発表論文数が要らない開業の身としては、論文作成まで実現できるかどうか不安ですので、ここに印象を記載しています。)

ひまわりこの眼瞼クラッチというものは、細い弾力性の有るピアノ線でばねを作り、通常使用する眼鏡の左右片方の蝶番から枝を出して上瞼の、むしろ眉毛の外端付近を軽く持ち上げるように作った市販の簡単な装置です。

この眼瞼クラッチは、現在患者さんが使用中の眼鏡を持ってきてもらい、蝶番のねじを緩めて(必要があれば長いねじに換え)、そこにばねを挟み込むだけの簡単な構造のものですから、料金も高々片方で6000円くらいです。(通常左右両方にはいりません。)

つけ方に多少のコツが合って、眼鏡をかけてからクラッチの鼻当てを上瞼の外3分の1でむしろ眉毛に近い部分に後から引っ掛けるように装着するとよいようです。

白で中緑市販の製品には、眼鏡の鼻当てをつけたものと、細いシリコンの棒状のもので瞼全体を上げるようにした構造のものがありますが、私は鼻当ての方が有効ではないかと感じています。

ところが、私の好きな“鼻当てを瞼上げに使ったタイプ“は、製造販売元の“丸ビル高田眼鏡店“での製造が中止ということで、新たな入荷がとまってしまいました。

おそらく、製造業者ではこの装置が(眼筋無力症や動眼神経麻痺のような)眼瞼下垂の瞼を持ち上げるのに使われると考えて、シリコンバーで瞼全幅を持ち上げるタイプがよりよいと思ったから製造を中止したものと思われます。

そんなわけで、私としては丸ビル高田眼鏡店に製造の再開を要請するか、井上眼鏡店など別のルートからの入手先を探すかを決断する緊急の必要に迫られています。

murasaki以前に私たち東京医科歯科大学のグループが“開瞼失行患者の脳に見られる糖代謝分布の異常”という題で論文を書いた際に、(結局はドイツから英語の眼科雑誌で出版されましたが)複数の海外の査読委員の先生方から、“開瞼失行を論ずるならば眼瞼痙攣を伴わない開瞼失行だけを選んで調べるべきだ“という指摘を何回も受けました。

しかし、ほとんどの開瞼失行症は眼瞼痙攣に伴って起きているものなので、理屈としてはこの助言は成り立ちますが、治療の現場を知る医師にはこの指摘は的外れなのです。

現場の眼科医と、ジストニアの研究に励む大学の研究者の間には、このあたりの疾患に対する見解の相違もあるように感じています。

◎新患再来とも予約をお勧めします。電話予約が簡単ですが、ここからは夜間も使える新患診療予約フォームに⇒リンクします。http://www.kanja.jp/clinic/yoyaku.php?hosp_no=No017057

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