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2006年8月4日

135, 乳児の眼瞼皮下腫瘍(類皮嚢腫、血管腫)

乳児の眼瞼皮下腫瘍
デルモイド

眼の周りに出来る腫瘍を総称して眼窩腫瘍と呼びます。

腫瘍が、眼球の後方に出来れば眼球が前に押し出されたり、眼球の動きを邪魔して物が二重に見えたりします。

しかし、ごく浅い皮膚の近くのものですと皮下のしこりとして見つかる程度のこともあります。
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眼窩腫瘍の治療は、其の原因によって各々異なります。

良性であってすぐに切除を必要としないと判断されば、外来で定期的に経過を観察したりすることもあります。

また、本人や家族が切除を希望し、しかも其の切除を技術的に安全に行うことが可能であれば、腫瘍の切除を計画することがあります。

また、浸潤した悪性のもので安全で完全な切除が困難で有れば、放射線を掛ける治療を計画する場合も有ります。

またリンパ腫のように薬物療法が特に有効なものであれば、ステロイドや抗腫瘍剤などの薬物療法を計画したりもします。

このように、眼窩腫瘍の治療法は様々です。

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今回は、“出生直後から片方の眼瞼の皮下に小豆大の腫瘤を触れた1歳の子供”で考えられる病気を挙げ其の説明をして見ます。

眼窩腫瘍には其の発生の時期によって出生時または小児期に見られるものと成人になって見られるものがあります。

このうち、(1)過誤腫や類皮嚢胞などの“眼窩に出来る嚢胞状の病変“と(2)血管腫は典型的に出生時から見られるものです。

これに次いで、リンパ管腫や乳児の神経膠腫、黄紋筋肉種などはそれよりも少し遅い小児期の早期に見つかります。

まず(1)の“眼窩に出来る嚢胞状の病変“を簡単に述べます。

dermoid cyst
(病名)類皮嚢腫, 類皮嚢胞, 皮様嚢腫, 類皮嚢胞腫 [るいひのうしゅ, るいひのうほう, ひようのうしゅ, るいひのうほうしゅ]

epidermoid cyst
(病名)類上皮腫, 類表皮腫, 類表皮嚢胞 [るいじょうひしゅ, るいひょうひしゅ, るいひょうひのうほう]
デルモイド

(デルモイドの図の出典)

眼窩に出来る嚢胞状の病変には、様々なものがありますが、共通の特徴は腫瘤の内面が細胞で覆われていて、其の袋の中にものが溜まった構造を持っていることです。

簡単に説明しますと、その中に溜まっているのは周りの細胞が作った垢のようなものです。

嚢胞状の病変の最も代表的なのがデルモイドシスト(類皮胞胞)で眉や眉毛の辺りに出来ます。

その中には血液や垢が溜まっています。

この腫瘍は眼窩の全腫瘤の1-2%を占めます。

診断には超音波断層画像やCTなどが用いられます。

この腫瘍では、腫瘤が成長せず静かで有れば、定期的観察でもよいとされています。

しかし、腫瘍が大きくなってきたり、眼球を圧迫して乱視を起こすなら、(其の多くは表在性なので)皮膚表面からの全摘出が良いでしょう。
血 管 腫

(2)次に考えるのが血管に起源のある腫瘍です。良性の血管内皮腫、血管周囲細胞腫それに海綿状血管腫などが含まれます。

血管内皮腫はいつもというわけでは有りませんが、生後数週間で親に気づかれ、リンパ管腫は20歳までに見つかります。そして海綿状血管周囲細胞腫の発症の多くは成人になってからです。

中でも毛細血管血管腫 (capillary hemangioma),は良性の血管内皮腫とも呼ばれ、イチゴ状に見える小児に多い腫瘍です。皮膚、ことに瞼に良くみられます。

ウイリス眼科病院の病理診断が付いたシリーズでは1%しかありませんが、それは手術で切り取って調べられることが少ないからであって、実際にはもっと多く4-5%はあると考えられています。

眼の上内側の瞼の皮下に弾力性のある塊として触知され、病変の位置が浅いと紫っぽく見えます。腫瘍が皮膚を含む病変の場合には血管が赤く見えます。

この腫瘍の治療には経過観察、弱視の治療、副腎皮質の投与、放射線などがあり、症例によって最適なものが選ばれます。
ピンクノ花

生まれたばかりの小児が眼瞼の中に腫瘤を持っていた場合に考えられる病気についてお話してみました。

教科書を紐解くと、記載されている病気の種類も其の内容も多く、とても簡単にはまとめられる物ではありませんでした。それをエイヤとまとめてみたのがこの文章です。

このような疾患をお持ちのお子さんが居られましたら、眼科医にご相談ください。

この文章の作成には私が昔訓練を受けたウィルス眼科病院のJerry Shields博士が著したDiagnosis and Management of orbital tumors、Saundersを参考にしました。
Diagnosis and Management of Orbital Tumors(リンク)

ベーグルをかじりながら聞いた朝6時から8時までのシールズ先生のレジデント向けのカンファレンスが懐かしく思い出されます。(図は現在のWills eye hospital,
フィラデルフィア)Wills eye hospital

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