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2006年8月2日

134, マーカスガン現象、Marcus Gunn jaw-winking phenomenon

医科歯科大学病院でMarcus Gunn Jaw-Winking phenomenonの質問をお受けしました。今日は其の説明をしましょう。
(図の出典ページにリンク)

JWT1JWP2

同義語に:
trigemino-oculomotor synkinesis,
synkinetic jaw-winking phenomenon,
wink reflex,
jaw-winking ptosisなどがあります。
マーカスガンはMarcus GunnであってMarcus眼ではありません。

1883年に、Marcus Gunnは顎の動きの影響を受けた瞼の動きを示す独特な先天性眼瞼下垂(瞼が下がっていること)を持つ15歳の女性を報告しました。 この共同的な“顎まばたき現象”は現在、彼の名前(マーカスガン現象)で呼ばれています。

この疾患の患者は、座った状態の安静時に様々な程度の眼瞼下垂を示します。多くは片眼ですが両眼のこともあります。

この疾患では、“顎まばたき反射”が、同じ側の外翼突筋(=顎を引き下げて口をあける筋肉)の緊張で刺激され、瞬時に眼瞼下垂のある側の瞼が正常側と同じかそれ以上に上に引き上げられます。 そして、まもなく前の下がった位置に戻ります。患者が下を向くと其の眼瞼下垂は強まります。

この異常に関連した動きが“マーカスガン現象(the jaw-winking syndrome)の特徴です。
あやめ

顎まばたき現象は口を開いたとき、あごを反対側に寄せたとき、かみ砕くとき、または水を吸う時の顎を前に押し出すときなどでにみられます。

母親はミルクを乳児に与えていて、この現象に早期に気が付きます。

遺伝的にはほとんどが孤発例(家族に発生した例がないもの)ですが、不規則な常染色体優性遺伝も見られます。

ピンクノ花

この“Marcus Gunnの顎まばたき現象“はあごと瞼が同時に動く眼瞼下垂の一形態であると考えられます。

この異常な連絡関係は運動神経である三叉神経の外翼突筋を動かす三叉神経(第5脳神経3枝の下顎神経)の運動枝成分と、上眼瞼挙筋を動かす動眼神経(第3脳神経)の運動枝の間にあります。

この異常な神経の連絡は、特定の患者に新しく出来た異常というよりも、生物としての古い時代からの進化の名残と考える人も居ます。

眼瞼下垂の50%は先天的なものです。其のおよそ5%がマーカス ガン現象を伴うとされています。

上直筋麻痺(眼球を上に向かって引っ張る筋肉で上眼瞼挙筋に接する、動眼神経上枝支配)がマーカス ガンの25%に見られ、上直筋と下斜筋(これも眼球を上に引っ張る筋肉で動眼神経に支配されている)の麻痺が25%で見られます。これらはこの患者さんでの斜視の原因となっています。

さらに不同視が5-26%で見られます。弱視(眼鏡を掛けても視力が出ないもの)も30%に見られますが、それらは斜視や不同視に関連したものです。
赤薔薇

人種によるマーカスガン現象の頻度には差がなく、男女比もほぼ同等です。
発生は出生時から起きていて、生後まもなく気づかれることが多いです。
上下の斜視が大きければ手術の適応もあります。

また、眼瞼下垂も手術の適応であり、マーカスガン現象が2mm以上なら手術も考えられるます、このマーカスガン現象が合併している事を勘案した手術の計算が必要で、そうしないとがっかりする結果になります。

白い花

患者さんとの会話で医師はマーカスガン現象が、

1) 顎の運動と上瞼の異常な運動の関連したものであることを伝える。

2) 瞼の下垂の治療の前に弱視と斜視の治療が先に選択されるべきであることを伝える。

3) 両眼の瞼の処理の可能性も含めて、多くの手術による改善法があることを伝える。
などの注意が必要です。

さて多少はマーカスガン現象があるといわれた患者さんの参考になりましたでしょうか? 

この解説のまとめには、最初の写真が乗った外国のホームページを主な参考にしました。

かわいい少年を見てお分かりのように、それ自体はそれほど不自然な印象を与えるものではありませんので、多くの斜視などもなく視力も良い場合には、保存的な(何もしないで見ておくという)治療で良いかと思われます。

清澤源弘
清澤眼科医院通信の最新ページに(リンク)

追記(2007、3,14):山村先生のページにはやや専門的な手術の適応が邦訳されています。
http://www.typepad.jp/t/trackback/1048438

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