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2006年7月17日

124 ベーチェット病とは

ベーチェット病に関する質問を戴きました。
ベーチェット

ぶどう膜炎
5月の中ごろ、右目にまぶしい感じがあり眼科にいきました。「ぶどう膜炎」と診断されました。

炎症がありましたので、フルメトロン0.1%とリボスチン0.025%を1日4回点眼していました。

1週間後受診し炎症が治まりました。内科受診を勧められ診察の結果「ベーチェット病完全型」と診断されました

その後、朝起きると目にまぶしい感じはあります(しばらくすると治まります)たまに右目の端が光っていたり、かすむ感じが続いています。今は、リボスチン0.025%を1日4回点眼していますが、症状は治まりません。

視力は裸眼で1.2、視野検査も特に問題ありませんでした。

このままの治療で治まるのか?今後は1ヶ月に1回受診ということです(何かあったらすぐ受診ですが…)ぶどう膜炎は前部ということでした。

失明のおそれはないといわれましたが、まぶしい感じはいつまで続くのか?と思うと不安です。

よろしくお願いします。

返答: 清澤源弘

ベーチェット病に関するご相談ありがとうございます。さぞ、ご心配のことと思います。

私の勘では、このぶどう膜炎はベーチェット病ではない可能性が高いと思います。

ベーチェット病はトルコの皮膚科医ベーチェットにより1939年に報告された疾患ですが、日本にも1924年の重田辰夫の報告などそれに先立つ報告があって、決して外国から教えられて日本人が知った疾患ではありません。

1960年代に日本で急増し、其の対策として特定疾患に指定され、現在北海道大学教授を務める大野重昭先生らが大規模な調査を行いました。

口内アフタ

その研究の結果、①再発する口内炎、(口内炎の写真参照)②毛嚢炎様の皮膚の疹、③虹彩毛様体炎や網膜ぶどう膜炎を代表とする眼内の炎症、④外陰部潰瘍(男性ならば睾丸を包む皮膚、女性でも其のあたりの皮膚や粘膜の潰瘍)の4つが主症状とれ、

⑤関節炎⑥消化器症状など7つの副症状が掲げられました。
(ここでの病状の言い回しは私が易しく換えました。)

其の“病型診断の基準”では、“経過中に①~④の症状すべてが経過中に現れたもの”が完全型とされています。

そして、患者さんを内科医に照会したのが眼科医となれば、虹彩炎(ぶどう膜炎の一タイプ)の存在は間違いなしとされてしまいます。

この基準のため、眼球内にわずかな炎症(重いもの軽いものを含めて、これらをぶどう膜炎と総称するのですが、)を持つだけの物まで、患者さんがうっかりと“②~④らしき症状のすべてを示したことが一度でも有った“と問診で答えてしまうと、ベーチェット病の完全型という診断が完成してしまうのです。

確かに、其の様な症例の中に本当のベーチェット病は少なからずあるのでしょうし、また特定疾患としての診断を整えて“今後の医療費を公費負担に転嫁して患者さんの経済負担を軽減しようという様な場合“にはこの診断基準が役に立ちます。

しかし、軽い眼内の炎症に対して完全型ベーチェット病などと言われたら誰でもびっくりします。
(失明する可能性はないと言うのはそれを意識した眼科医の言葉と思われます。)

この疾患の患者さんはHLA-B5、HLA-DR5,HLA-MT2など特定の遺伝要素を持っていることが多いので、其の有無を検討することは除外診断の役に立つかも知れません。

(しかしそれが出来るのは私も関係が有る東京医科歯科大学などぶどう膜炎を専門に研究している施設に限られそうです。)

ところで、ベーチェット病の眼の症状には次のようなものがあります。

前房蓄膿

まず、角膜と虹彩の間(これを前房と呼ぶ)にさらさらとした白血球が集まった膿が溜まるタイプの虹彩毛様態炎(前房蓄膿:リンク)がよく知られています。このような重い眼内炎が繰り返されればベーチェット病を疑い始めても良いでしょう。

次に、眼の中のゼリー(硝子体)に炎症性の細胞が滲みだして強い混濁を起こす硝子体混濁が知られています。それも眼底を見て、細かい血管が見えなくなるような強い混濁が起きるものです。

最後の、網脈絡膜炎は網膜の血管に強い炎症が起きて、網膜に強い浮腫や広範な出血を起こすようなものです。

このような強い眼内の炎症の結果、緑内障、白内障、網膜剥離、視神経萎縮などの失明に直接つながる眼の変化が現れてしまうことがあります。

もし本当にそれがベーチェット病と診断されれば、病気の型に合わせてステロイドや免疫抑制剤などを含む様々な治療が行われます。

治療法は様々研究されていますが、残念ながら本当にベーチェット病であった場合は、視力0.5以上を10年間維持できる確率は前眼部型であれば80%、眼底型であれば10%とされています。

実際に患者さんを拝見しないでこれ以上踏み込んだコメントを差し上げるのは危険と思いますが、0.1%フルメトロンはステロイドとはいえ決して強いものではありません。また、リボスチンも点眼時にやや刺激感のある、花粉症などのアレルギー性結膜炎に対して普通は使われる目薬です。

これも眼科の担当医がそれほど危険な眼内炎とは思っていないことを示していると思われます。

眼内の炎症に関連した症状が残っているならば、もう少し強めのステロイド点眼を短期間使って炎症を押さえ込むか、実際に炎症があれば経口のステロイドを短期間と言う考えもあるかも知れません。

あまり考えすぎないでゆったりと治療をされるのが良いと思います

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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