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2006年7月14日

122 外眼筋炎(眼窩筋炎) の治療

[外眼筋炎(眼窩筋炎)の治療についての質問]をいただきましたのでそれを再録し私の返事をお示しします。

くろさんからの相談  

初めてご連絡させていただきます。
外眼筋炎を治していただけるお医者様をWEBで探していましたら、清澤先生のHPを見つけました。
77歳の父が右目が動かなくなり、複視となり、病院に行ったところ、右下直筋が腫れ、外眼筋炎と診断されました。
ソルメドロールを500mg使い、3日間点滴、4日間の半減期という、1クール7日間のステロイドパルス治療を行いました。
2クール行いましたが、全く改善されず、その病院ではお手上げとなりました。
本人も非常に生活に苦労しておりますし、家族としても他に治療方法が無いかと探しております。
アドバイスをお願いいたします。
もちろん、清澤医院への通院も可能です。

ご質問ありがとうございます。
外眼筋とは眼球を動かす筋肉のことで内直筋、外直筋、上直筋、下直筋、上斜筋、下斜筋の6本(それに上眼瞼挙筋を含めても良い)が左右それぞれの眼についています。

其のうち上斜筋が滑車神経に支配され、外直筋が外転神経、それ以外の4種は動眼神経が支配しています。

これらの筋肉に特有な炎症を起こすのが外眼筋炎です。

筋肉にリンパ球を中心とする炎症細胞が浸潤し、筋肉の伸びが悪くなるために、其の筋が付着した側の眼球の動きが制限され、ものが二重に見えるという訴えをすることになります。

この疾患を診断するには、ものが二重に見えるという複視の訴えで患者さんが受診した場合、まず眼窩のCTかMRIで眼球に付着する外眼筋に肥厚があることを確認します。

外眼筋炎の診断の正しい診断をするには、眼窩内の腫瘍(原発性のものもありますし転移性のものもありますが)の除外と、副鼻腔からの蓄膿症の進展や骨折なども除外が必要です。

また、眼球を動かす、動眼神経、滑車神経、外転神経に麻痺を起こすような疾患も除外する必要があります。

筋肉と神経の接合が弱い筋無力症も除外しなくてはなりません。

このほか筋肉に原因があるとしても、筋肉の炎症以外のミオパチーと呼ばれる筋の変性をおこすような疾患も除外が必要です。

こうして眼の周りの筋肉に腫れがあって、それ以外の変化がないという場合いくつかの疾患が考えられます。

1) 甲状腺機能異常性外眼筋症(甲状腺眼症の以前の解説ページにリンク)

:まず最も多いのがこの甲状腺機能の異常に伴って見られる外眼筋の異常です。

この疾患では下直筋の侵される頻度が高いとされます。外眼筋に肥大が起きると複視と眼球突出、上眼瞼の後退を生じます。

ひどくなって筋の肥大が視神経を圧迫すると視神経が侵されて視力まで低下します。

基礎疾患である甲状腺疾患の治療を行い、次に筋の炎症の沈静化を図る治療が行われます。

それには放射線の照射が選ばれ、また種々の方法(経口投与や静脈注射など)でのステロイドの使用がおこなわれます。

其の上で、正面視での眼球の向きがずれている場合には斜視手術も考えることがあります。

甲状腺性眼症は特有の眼貌を呈すので其の診断に間違いは少なそうですが、この症例の場合にも、下直筋の腫れと言う点で十分にこの疾患も除外する必要がありそうです。

2) 外眼筋炎:外眼筋の肥大を伴う疾患の広範な呼び名であって、炎症性の疾患の総称であり、眼窩偽腫瘍とよばれるリンパ球性の炎症性疾患の一部をしめるものです。

先の項にのべた甲状腺に原因があるものなどを含む
(2a)特異的眼窩筋炎と
(2b)特発性外眼筋炎があります。

様々な原因で起きるものの総称ですから、臨床的な症状も多彩で診断基準もあいまいです。
その結果、現在は其の治療にも混乱がおきています。

2a)特異的眼窩筋炎:
急性なものでは転移性腫瘍(肺癌や乳癌など)のことがあるので注意を要します。

このほか結核、梅毒、眼窩蜂窩織炎、副鼻腔炎の波及などを考えてそれぞれを除外し、もしそれらであれば適切な特異的な治療を行うことになります。

筋の炎症の沈静を待ち、手術で眼球の向きを整えることもあります。

3b) 特発性外眼筋炎(=特発性眼窩筋炎):
これが今回質問されている病気です。
一般にこの概念のものならばステロイドによく反応するのでステロイドを使いますが、ステロイドに効果があっても、再発しやすいですから維持量を決めて1年以上の長期の管理が必要です。

メチルプレドニンの点滴での大量療法では1000ミリグラム3日がパルス療法 (500ミリグラム3日はやや少量のミニパルスで) です。

この治療では各回その効果を見て、3回程度を限度に反復して治療を繰り返して行います。

この治療は強力なのですが、今回のように無効な場合には落ち着いて其の原因を考えるのが必要でしょう。

筋の肥厚が強くて筋肉の炎症の減弱が体感されていないのか、それともステロイドの反応性が弱いものなのか(つまり病巣が古くてすでに線維化していてステロイドがもう効かないものなのか?はじめからステロイドが効かないような種類の
炎症なのか?)を考える必要がありそうです。

この疾患でも
(1)そのまま経過を見る。場合によってはそれに加えて、プリズム眼鏡または眼帯で複視の減弱や解消を図る場合があります。
(2)放射線照射およびステロイドの使用、
(3)斜視の手術などが選択肢として考えられます
もし私がこの患者さんの治療を担当するとすれば、まず既往歴と現病歴を伺い、ヘスチャートで眼球の動きの記録をします。

最も疑われるのが外眼筋炎であるとした上で、関連疾患についての採血とMRIを含む検査をしなおしてから外眼筋炎の診断を確認しなおします。

其の上で最も穏当な治療の方針を立てることになるかと思います。

私のブログにはこのテーマに関連するいくつかのページがあります。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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