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2006年5月8日

90 赤ちゃんの寄り目(内斜視)について

[赤ちゃんの寄り目について]
内斜視乳児内斜視の図:出典
◎ 。娘さんの、左目が内側に寄る寄り目がすごく気になっているという相談を、来月3ヶ月になる娘さんのママから相談を受けました。いつも首を左ばかりに向ける向き癖もあるとのこと。

◎ 2ヶ月健診に行った際にお医者さんに心配で尋ねたところ、『月齢が低い内は寄り目の子も多いし、今の時点ではまだ何とも言えないから次回の3~4ヶ月健診まで様子を見ましょう。』と言われたそうです。

◎ でも、インターネットで色々検索してみると、“もしも斜視や斜頚だったらなるべく早い内に専門医に診てもらった方がいい。”とあったのでと、相談してくださいました。

◎ 新生児の眼位は不安定ですが、小児科の先生がおっしゃった通り、一般に生後3ヶ月になると両眼視機能が発達するので、多くの乳児ではその眼位がまっすぐになります。

◎ しかし、その時期を待たなくても診断が可能で、それ以前でも治療が開始できる、または治療を開始すべき病気である場合が少なからずあります。

◎ ですから、“多くの子供では3ヶ月で眼の向きがまっすぐに直るからそれまで斜視に気が付いても眼科専門医に見せておく必要がない”という指導は誤りです。

◎ 殊に親が眼位の異常や顔の向きの異常に気が付いている場合には、その原因を早めに乳児の診察に習熟した眼科の専門医とともに考えるべきだと思います。

◎ ちなみに、子供の目が内側によっているという状態で考えられるものがいくつかあります。それを順に説明しましょう。

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1、 (屈折性)調節性内斜視:
子供の内斜視では最も多いもので、遠視を基盤に持ち、ピントを合わそうとすると目が内側によってしまうものです。弱視の発生を避けるには比較的早くからメガネをかける治療が必要です。この可能性を考えて、自分で読んで答えてくれない乳児の目に強い遠視や強い近視がないかどうかを調べる方法があります。それが薬剤(ミドリンP、サイプレジンまたはアトロピン)を用いた屈折検査です。まず点眼薬で眼の緊張を取り、瞳も開いた状態にします。次にスキアスコピーという光源と板付きのレンズを使って近視や遠視、乱視の程度を測ります。子供の協力が期待できない乳児ではタオルに包んで抑えておいて測定をします。子供が協力してくれる3歳以上なら大人用の屈折計を使うことが出来ます。子供の診療ではなるべく子供に泣かれないで先まで検査を進めることがコツです。
また、通常の共動性の乳児内斜視の斜視角の一部がこの調節性内斜視であって、眼鏡で斜視の角度を最小にしてから残余の斜視手術を行うべき場合が少なからずあります。

外転神経
(外転神経麻痺の図の出典)
2、 外転神経麻痺では麻痺した側の眼(患眼)の外への動きが減弱するので、眼がいつも内側に寄ります。外転神経麻痺の先天性のものと、腫瘍などによる後天性の物が含まれます。この外転神経麻痺の場合には外を向かない目の向きが、反対の眼の向きにかかわらずいつも左右一定程度内向きであることが診断の助けとなります。この場合は眠り薬をミルクに混ぜて与えて眠らせ、脳のMRIを調べて脳腫瘍を除外する場合もあります。

3、 眼振を眼の内寄せで止めているもの(nysTAGSmus blocking syndrome):
この場合には良く見ると眼球の水平のゆれ(眼振)が見えるはずです。患者は自覚することがないまま、眼球のゆれを斜視を作り出すことで支え押さえることによって、視力を出そうとしているわけです。ですから、安易に眼をまっすぐにする手術をすれば、眼球の揺れが顕在化し視力も低下するわけで、斜視の手術の決定前には慎重に眼の動きを見る必要があります。

内斜視乳児内斜視の図:出典
4、 本態性乳児内斜視:角度が大きくて斜視角が安定している乳児に特有な内斜視をこう呼びます。この疾患の頻度は乳児の0.5-1%とされています。児の成長に伴い生後4ヶ月でその診断が容易になりますが、この乳児内斜視に対しては生後6月以内の超早期手術が進められる場合もありますから、その可能性があるならば親としても主治医としてもその存在は早く知りたいものです。

(Duane博士の肖像と履歴を含む出典)
Duane症例Duaneの症例の図(出典)
5、 Duane症候群;生まれつき眼球の外転が弱い特性を持つ子供が稀にいます。神経と筋肉のつながりが特有な構造になっていて、冒された眼を内側に向けようとすると、その眼球がおくに引っ込む動きをします。この疾患にあわせた手術などの治療法が選ばれます。

小さな子供に行える検査は大人とは異なって限られてはいますが、結構詳細な評価が可能です。私はこのような可能性も考えて、早めに小児を扱える眼科を受診されることをお勧めします。

江東区南砂町駅前にある私の診療所(03-5677-3930)では、まず大まかな診断をつけ、その後必要であれば手術などは私も毎水曜日に顔を出している東京医科歯科大学で斜視を担当している田中明子先生に相談しています。また複雑な眼鏡の作成などは、この医科歯科大学小児眼科グループの視能訓練士のリーダーで、日本視能訓練士協会の会長も勤めた山下牧子先生に相談するようにしています。

小さいお子さんの斜視治療の時期を失わないようになさってください

乳児内斜視の記事⇒リンク

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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