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2006年3月24日

73 うっ血乳頭(鬱血乳頭)、鬱積乳頭、乳頭浮腫

うっ血乳頭,,鬱積乳頭,乳頭浮腫(papilledema)、
乳頭腫脹(disc swelling)(管理頁

papilledema

うっ血乳頭は頭蓋内で脳を取り囲んでいる脳脊髄液と呼ばれる透明な液体の水圧が上昇(これを頭蓋内圧亢進と呼びます)して、その結果として眼底にある視神経乳頭がむくみを示し、やがて視力が下がる疾患です。

うっ血乳頭papilledemaは視神経の乳頭がむくんでいると言う意味での乳頭浮腫disc edema, disc swellingと同じ意味で使われますが、アメリカ学派では脳圧が高くなって起きた乳頭浮腫と言う概念に限定してこの単語を使います。

視神経の浮腫図:乳頭浮腫は脳脊髄圧による圧迫のために視神経乳頭部分で索内に細胞内小器官がたまって、一本一本が太くなった結果起きるものです。

私が神経眼科の手ほどきを受けた東北大学の桑島治三郎名誉教授は、鬱積乳頭と言う言い方をされます。これはうっ血と言う日本語が血液の流れが滞ると言う意味であり、浮腫という語は細胞間に水分がたまったものである。脳脊髄液の圧が上昇して、細胞内小器官(ミトコンドリア)が視神経の中でせき止められたこの病態にはそぐわないと言う理由によるものです。その論理はまったく正しいのですが、眼科用語集(日本眼科学会発行)が乳頭浮腫を採用しているので鬱積乳頭という言葉を使ってくださる先生は現在の日本ではあまり多くはありません。

さて、うっ血乳頭は脳腫瘍、脳膿瘍,脳の外傷による浮腫、脳内に起こった出血,脳を取り囲む膜である髄膜(脳軟膜やくも膜)の炎症としての髄膜炎,脳の周りの静脈としての海綿静脈洞における血栓症,脳自体の炎症である脳炎などでも見られます。

この視神経のうっ血乳頭では、視神経の個々の線維が圧迫を受けるので、まず、ふっと眼鏡を拭きたくなる程度の一過性の視力の低下が自覚されます。 この段階では,視覚にはほとんど影響がなく,中心の暗点も認められません。しかし視野の上で視神経の大きさを反映するマリオットの盲点は拡大しています。眼底検査で見られる網膜の静脈は充血蛇行し,視神経乳頭の充血とその辺縁がぼんやりし、さらに乳頭の中央が腫れて隆起します。視神経乳頭の周りの網膜でのわずかな出血が観察されることもあります。

この状態が続くと視野は鼻下側から視野が狭くなってきますが、視力の低下が起きるのは比較的遅く(おそらく1-3ヶ月後です)、視力を測っても初期ではあまり低下は見つけられません。

しかし、いったん視力や視野に劣化が現れますと、取り戻せない視神経萎縮の進行は以後急速に進行し、患者さんを失明させてしまうことになりますので、眼科医は脳外科などでの根本的な治療を大至急開始してもらえるように、積極的に治療を推進するような働きかけを行う必要があります。

眼科医としては、①この自覚症状で眼科を受診する患者さんを診察し、うっ血乳頭を見つける場合と、②脳外科ですでに脳腫瘍などが見つかっている患者さんの視力、視野、眼底の検査を依頼されてこの視神経のうっ血乳頭を見つける場合があります。視神経の乳頭浮腫はほとんど常に両眼性です

乳頭浮腫は頭蓋内圧亢進の徴候なので,それが見つかったらさらなる検査と処置を即刻行う必要があります。つまり、眼科でこの状態が見つけた場合には、緊急にCTやMRIなどの画像診断を行う必要があります。その画像の結果で、脳外科または神経内科、耳鼻科など最適な紹介先を見極めて、即日中に患者さんの治療を依頼します。この行く先が最適でないと、治療に大変重要な発病初期の3-4日を無意味に失うことにもなってしまいます。
malignant hypertensive retinopathy

重症の高血圧性疾患でも似た視神経の姿が見られますが、この場合には高血圧が眼の血管に直接影響したもので、脳圧は亢進していませんので別なものとして考えるべきです(図:KW4度の高血圧性網膜症の出典)。細動脈に変化がみられないことと正常の血圧であることは脳腫瘍によるうっ血乳頭と高血圧での乳頭浮腫を鑑別するのに役立ちます。

乳頭浮腫はまた,偽脳腫瘍pseudotumor cerebriと呼ばれる疾患でも起こります。この疾患は、良性脳脊髄圧亢進症と呼ばれ、日本ではやや高年齢の患者さんに現れ、脳腫瘍などの占拠性病変のない脳脊髄圧の亢進です。(私は個人的にはこの疾患を脳の静脈洞血栓症で数例経験しています。)。

アメリカではこの疾患はほとんどが、体重100キロを超えるような肥満の強い若い女性で見られ、私はおそらく心臓の機能の低下に伴って中心静脈圧が上昇して脳脊髄圧も亢進するのではないかと考えています。

日本でも食事や生活環境が急速に西欧化していますので、このような症例が今後増えると思われます。

このうっ血乳頭に似た眼底所見を示すもので別の疾患に視神経炎(⇒リンク)と虚血性視神経症(⇒リンク)があります。いずれも治療法がうっ血乳頭とは違いますから、真っ先にその診断を正しく着けることが重要です。。これらは別項目で説明しますのでその項目をご覧ください。

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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