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2006年3月21日

70 近視と調節緊張(学童の眼鏡)

近視と調節緊張(偽近視)、学童の眼鏡
目に入ってきた光は、眼のレンズ効果で網膜に映って、この網膜が光を感じることでものが見えています。そのときに、眼の凸レンズ効果が強すぎて、網膜よりも前に焦点を結んでしまうのがいわゆる近視です。

軸近視

確定した近視(myopia)では眼球の長さが伸びているので凹レンズで網膜上に焦点を合わす:図の出典
従ってこの近視では、その患者の眼にあった凹レンズを目の前において焦点距離を後ろに下げてやれば、網膜上にむすばれた映像を鮮明に見ることができます。

近視は眼科医が遭遇する最も多い眼の疾患ですから、神経眼科を専門とする私も毎日対応をしています。

そこで、今回は子供に多い、この近視と調節緊張の話をして見ましょう。

眼のレンズとしての強さには次の3つの要素が決定的な役割をもっています。
? 角膜表面のカーブの強さ(このカーブは強いほど近視になります。)、
? 水晶体の厚さ(レンズが厚いほど近視になります。)、そして、
?眼球の前後の長さ(近視ではこの眼軸長が伸びてきます。)

まず初期の子供の近視では、まずピントを合わせるための毛様体(もうようたい)という名前の、眼の中で水晶体の厚さを調節している筋肉が過度の近見作業などをきっかけに過緊張に陥ります。

その結果、映像が網膜よりも常に前で結像し、遠くの物をはっきりと見ることができなくなります。

この状態が調節緊張症とか仮性近視と呼ばれるもので、この段階であればミドリンMなどで眼の緊張を緩めてやることでまだ治療できる段階のものです。

その診断に、眼科医はミドリンPやサイプレジンなどの点眼薬を点眼して、30分ほど待ってから近視の程度をもう一度調べなおし、近視が減弱するかどうかを見ます。

その結果、近視が減って、その近視がこの段階の仮性近視であることがわかったら、すぐには眼鏡を処方せず、ミドリンMを処方して近視の減弱を待ちます。

しかし、このような治療を施しても、近視が進行する場合にはやがて?の眼球の前後の長さが伸び、目薬が効かない近視に固まってきたものとみなします。

この段階に入った近視ではもう目薬だけでは近視を治すことができなくなっています。

この場合の対策としては凹レンズの入った眼鏡を処方して作成してもらい必要に応じて使っていただくということになります。

その近視用のめがねを作る事を決める目途を私は、両眼で見て0.6が読めないという程度でよろしかろうか?と考えています。

その眼鏡は、強すぎないほうが近視を進めないとされていますので、仕上がりで左右眼それぞれ0.8、両眼で見て1.0くらいではどうでしょうか?。

なかには“昔、眼鏡を掛け始めたら、近視が進んだ。“と訴える患者さんも居りますが、それは作った眼鏡が過矯正(強すぎ)でないかぎり、眼鏡を掛けたこととは関係なく、近視が進む時期だったのでしょうとお答えしています。

“こんな小さな子供に眼鏡を掛けさせるなんてかわいそう”と、おっしゃる方も親御さんの中にはしばしばおります。

しかし、近視の眼鏡は単に遠くのものを見やすくするための道具です。

近視の眼鏡はもってさえいれば必要があれば使うでしょうし、使う必要がなければ(特に近くで本を読むときなどには)いつも掛けていなくても良いのです。

眼が近視で弱いから教室の前の席に座らせてくれというのも周りの児童にはきっと迷惑な話でありましょうし、ましてや、黒板の文字が読めなくて、本人が授業から置いていかれてしまうというのではまったく困ったことです。

バレーボールやサッカーなどの激しいスポーツをする児童では、小学校の高学年や中学生になる頃から通常使う眼鏡を持った上で、スポーツ時にはコンタクトレンズを用いるという方法も可能です。

私は諸処の理由で患者さんにはあまりお勧めしませんが、成人に達すればレーシックやイントラレーシックなどという矯正の方法もあります。

これらは角膜の表面をレーザー光線で削って角膜表面のレンズ効果を減弱させることによって焦点を網膜上に結ばせるというものです。すべての例で、望む結果が得られるならこれも良いでしょう。

このような一般の近視とは別に、ごく一部の近視では、幼児期の段階から強い近視が進行し、眼軸が異常に長くて度の強い近視になります。眼底出血などを起こしやすい強度近視と呼ばれるこのような近視は、御茶ノ水にある東京医科歯科大学の大野京子助教授らの診療グループ(金曜日に外来を持っています)が診断と治療をしています。

また、角膜の一部が前方に突き出して強い乱視を伴う近視を発生する円錐角膜は同じ東京医科歯科大学で佐野講師が水曜日の円錐角膜外来で治療を担当していますのでご相談されるのも良いでしょう。

私は水曜日の午後に大野先生や、佐野先生の隣で、神経眼科の外来を担当しています。

◎お蔭様で無事に、開院15月の診療を無事終われますことを感謝いたします。なお、
ここをクリックいただくとお祖母ちゃんにも分かる目の病気:病名解説索引にリンクします。また、こちらから清澤眼科医院診療予約フォームへリンクします。(平成18年6月追記)

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。(清澤 源弘)(清澤眼科、清沢眼科、きよさわがんか)

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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追記:質問へのお答えと私の方針
それはまた急激な進行ですね。
寝て本を読んだとかテレビゲームに熱中したとかといった特別な事が無くても、近視は出る方には何が悪いということなく、進行はしますので、犯人探しは余り意味が無いかも知れません。
近視の程度は裸眼視力ではなくて、ジオプターで示される矯正眼鏡の強さで表すのが正しいです。例えば明るい部屋では瞳孔が小さくなるので同じ目でも焦点深度が深くなって裸眼視力は上がります。マイナス1,5デオプターの近視といった表現です。(ちなみにこのマイナスのデオプター数と裸眼視力の低下は相関はしますが、かなりばらつきます。)裸眼視力だけでなくこの近視度数を聞いて、親がその数字の増減を見るのが理想です。
すでに眼科では行われたかと思うのですが、ミドリンpという検査薬を付け、30分後に近視の度合いをもう一度見ますと、その後にも残存する軸性近視(たとえばー2.0ジオプター)と、その調節麻痺剤で減少した調節緊張(仮性近視)の成分(例えばー1.0ジオプター)を分ける事が出来ます。この仮性近視の部分(-1.0D)は毎晩ミドリンMを使うと減らす事ができる。しかし眼軸が伸びてすでに固定された部分(-2.0D)は点眼では戻しにくいという説明をされたわけです。
さて、暫く(2週間でも3か月でも良い)ミドリンMをつけて、眼鏡を作る必要が有るかどうかを見極めたうえで、本人に遠方視の困難があれば眼鏡を買ってあげてください。
私はその後も近視は進むと考えますので、近視を減らす方向に少しでも引っ張っておこうという意図で半永久的にミドリンMは続けていただきます。数年前とは違って、昨今の学童の医療費無料化でこのような子供に通院をさせる事はしやすくなってはいます。しかし、一旦眼鏡を作ると、塾やクラブが忙しいという理由で、その後の近視の進行は忘れて、もう来なくなってしまう患者さんも少なくは無いのがつらいところです。
近視は大人の年齢に入って進行が止まって固定したらたら割引価格でレーシックセンターで手術というやり方は乱暴でお薦めしません。が、逆に近視になったら眼鏡を作って終わりという診療も味気なくさびしい気がします。流行っている眼科や、仕事が多すぎる病院の眼科では、患者さんに無駄な通院をさせないという理由をつけて患者さんを切りたがるかもしれません。それはそれで私も大学病院勤務時代は通ってきた道で、やむをえない面もあるのですが。患者さんや家族とその子供の近視の増減を含めた目の成長を一緒に見て行くような診療が私の今の理想です。2008、10,22

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