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2006年2月24日

55 虚血性視神経症

虚血性視神経症

◎虚血性視神経症は視神経乳頭(短後毛様動脈)や視神経に血液を送っている血管の血流障害によって視機能障害を起こすことによって起こる視神経疾患の総称です。
○この疾患や治療法のコンセプトもアメリカと日本では多少違っています。

○虚血性視神経症は視神経の循環障害のために片眼の視野の上半分または下半分に片寄った欠損と(その欠損が中心にかかれば)急激な視力の低下とを伴って発症します。

○眼底は多くの場合(前部虚血性視神経症ならば)視神経が白く腫れ上がって見えます。

○この蛍光眼底撮影を行うと腕網膜循環時間の延長ないし部分的な充盈欠損が観察されます。

◎この疾患は現在は病因によって1)動脈炎性と2)非動脈炎性との2群に分類されます。

1)動脈炎性虚血性視神経症は血管炎によって血流障害が起こるものです。(図:動脈炎性虚血性視神経症

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○最近は日本でも広く認知されましたが、日本で側頭動脈炎による虚血性視神経症の存在が確認されたのは実に最近のことで、1980-1990年ころには病理診断のついた動脈炎性の虚血性視神経症症例があったと言うだけで症例の報告ができるようなものでした。

久保木淳子、岡部仁、玉木光子、清澤源弘、側頭動脈炎による虚血性視神経症、神経眼科10:356-360、1993

血管炎

図:側頭動脈炎の病理写真)

○この血管炎では自己免疫現象と言って、自分の血管を自分の白血球が攻撃をする疾患でおきます。典型的なものは側頭動脈に主な炎症が見られる側頭動脈炎(temporal arteritis)です。この疾患では炎症を示す血管の組織検査で炎症性の大きな融合した細胞が見られるので巨細胞性動脈炎giant cell arteritisとも呼ばれます

○この疾患では70-80歳の女性患者が多く、発熱と強い疲労感、それに側頭部の血管の腫れと頭痛、筋肉痛などを訴え、まもなく視力が低下するなどの眼症状が現れます。

○赤沈が一時間値で年齢の半分を超えるほど(50-120mm)の亢進を示し、強い炎症反応が体内に起こっていることがわかります。

2)一方、非動脈炎性虚血性神経症は動脈硬化をきたすような高血圧、糖尿病、高脂血症などの基礎疾患がある人に多く見られます。また、disc at riskと呼ばれる視神経乳頭が生まれつき小さい人にも起き易いとされています。(図:非動脈炎性虚血性視神経症

NAION

○血管の閉塞は塞栓ないし血栓によるものと推測され、血液検査での赤沈亢進は40mm程度までです。この疾患は血管炎性のものよりやや若く60-70歳の中高年層に多く見られます。

◎この2群では病因が異なるので治療方針が異なったものとなります。

1)動脈炎性虚血性視神経症の治療では自己の免疫を抑制するのを目的として、緊急のステロイド薬の全身投与が第一に選ばれます。

○たとえば、体重1kgあたり1mg程度のプレドニン量から始めて1-2週継続し、6ヶ月かけて徐々に減量します。必要と考えればその前に、ステロイドパルスを加えることもできます。この疾患では虚血も著しいので、ステロイドが適切に使われても視機能の障害が残ることが多く、早く治療を始めないと反対の眼も発症してしまうことがあります。

2)非動脈炎性虚血性視神経症の治療
には
○循環改善薬(カルナクリン3錠など)やビタミン剤(メチコバール3錠など)、が選ばれます。

○血栓溶解の目的で大量のウロキナーゼを点滴投与したり、虚血によって生じていることが予想される組織の浮腫を軽減する目的でのステロイド(プレドニン換算80mg点滴静脈注射3日以後漸減など)を加えることも可能です。

○血小板凝集能の抑制にはプロスタグランジンE1(40μg)やアスピリン(80-325mg)の使用も考えられます。視神経鞘開窓術などの手術療法は現在ほとんど行われません。

○従来その予後は比較的不良と考えられてきましたが、4割程度の患者さんではゆっくりですが、視力と視野の改善が見られます。

○また糖尿病や高血圧などの基礎疾患への治療が重要なことはもちろんです。

参考文献
1) 三村治、新臨床神経眼科学(メディカル葵出版)

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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2) 眼科薬物治療ガイド(文光堂)
3) 神経眼科レビューマニュアル(メディカルブックサービス)

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