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2006年1月7日

38 中心性漿液性網脈絡膜症

中心性漿液性網脈絡膜症
sentral
(図の出展http://www.stlukeseye.com/Conditions/CSCR.asp)
網膜の外側の端に相当する網膜色素上皮と呼ばれる層が持つ外網膜血液関門という機能が局所的に破綻することで起きる疾患です。central serous chorioretinopathy (CSCR)は網膜の中心で黄斑と呼ばれる部分の下で、網膜の外にある脈絡膜という層から血管の中にあるべき水がもれ出し、網膜の黄斑という中央部分が薄く剥れて水泡状に盛り上がる病気です。

25歳~50歳代の働き盛りの男性に多く見られ、ほとんどの患者では片眼におこります。精神的ないし肉体的ストレスが関与しているともいわれています。

主な自覚症状として変視症(ゆがんで見える)、小視症(小さく見える)、中心暗点(視野の中心が暗い)、視力低下(0.7くらいのわずかな低下)、色覚障害(中心視野の変化に伴う色の知覚障害)などを訴えます。

訴えを聞き、突発性で視野の中心部のわずかな部分を侵す病変を疑わせる症状であれば、この疾患を疑います。まず眼底を眼底鏡で見て、そのカラー写真を撮ります。

この検査では、網膜中心である黄斑部の網膜下にわずかな水がたまって楕円形に剥れて挙上した網膜をさがします。黄斑部網膜に穴が無いことを更に精密に確認したら、次は蛍光眼底検査(FAG)をします。

この検査は、腕の静脈にフルオレセインナトリウムという蛍光色素を注射し、 眼底の血管内に循環してきたときにカメラで眼底写真を撮る検査で、血管からの血漿の漏出が評価できます。

時に吐き気や嘔吐を催したりすることもあるので安全な場所で行なう必要があり、私は関連病院にその施行を依頼しています。

この結果、網膜色素上皮の外に組織液が漏れ出す傷が見つかり、その場所が黄斑の中心から十分に離れていれば、アルゴンレーザー光線で焼灼することができます。

この目的は症状の早期消退や再発防止です。 しかし、この疾患は自然回復傾向がしばしば見られる疾患で、凝固を行なわなくても数週から数ヶ月で回復することが多いです。

水のもれ出している場所が中心から離れている場合はレーザー光線をあてられますが、この距離が十分に取れないなどの困難がある場合には薬剤治療を試みることになります。

なお、米国では4-6月症状が持続する、再発する、反対眼に既往のあるもの、職業上迅速な改善が必要な症例とそのレーザー治療の適応は日本より慎重にきめられています。

具体的に用いられる薬剤としては循環改善薬(カルナクリン錠50、3錠/日,分3、食後)、複合ビタミン剤(ビタメジジン3カプセル/日)などがあります。

これらは対症療法として用いられ、ステロイドの使用は勧められてはいません。

経過として、90%の患者では2、3か月から半年で自然に治ってきますが、30%の患者に再発が見られます。

蛍光漏出停止後2週から1月掛けて徐々に網膜下液は吸収しますが、視機能回復は更に遅れます。

1年近くも経過が延びたり再発を繰り返すときには、すでに網膜に変化がおきて充分な視力の回復を得られない場合もあります。

鑑別を要する疾患には、加齢黄斑変性(50歳以上で網膜下に血管新生あり)、オプチックピット、網膜剥離、脈絡膜腫瘍、網膜色素上皮剥離などがあります。

参考文献;中心性症液性脈絡膜症、眼科治療薬ガイド、pp160-161、文光堂。The Willis Eye Manual,3rd Ed, Lippincott,1999 pp345-7

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