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2020年12月13日

12500:欧州で爆売れする電気自動車の落とし穴:記事紹介です

清澤のコメント:自動車のEV化で二酸化炭素排出による地球温暖化は低減できそうだが、原子力発電への回帰などの問題もありそうです。日本では東芝と日立が原子力発電から既に撤退してしまっています。また自動車産業からの失業問題も問われます。

ーーーー12/2(水) 配信記事抄出ーーー

Wedge

(Jae Young Ju/gettyimages)

 世界の主要国は、2050年温室効果ガス純排出量ゼロに向けて一斉に走り出した。バイデン次期米大統領も大統領選時の政策綱領の中で同じ目標を打ち出した。各国首脳が温室効果ガスゼロを宣言している。

 排出ゼロ実現のためには二酸化炭素(CO2)を排出しない電気から製造する水素の利用、CO2の捕捉・貯留などの既存技術の普及に加え、カーボンリサイクル、人工光合成などの新技術も必要になるだろう。一方、既に商業化されている技術がさらに広がることも必要だ。その代表格は電池稼働の電気自動車(BEV)とプラグインハイブリットだろう。 欠点を解消するためには普及が必要だ。普及のため多くの主要国が様々なEV支援策を用意している。

温暖化対策に重要なのは運輸部門

 世界の温室効果ガスの大半を占めるのは、エネルギー、燃焼を起源とするCO2排出だ。その量は335億トン(2018年)。発電部門が最大の排出源(約40%)、次いで輸送部門排出量83億トン(25%)。自動車部門だけで排出量は61億トン(18%)、製造業部門からの排出量62億トンにほぼ並ぶ。

 日本の温室効果ガス排出量(2018年度)は、12億4000万トン。エネルギー起源CO2排出量に占める自動車のシェアは約17%。EV使用に際しては電源構成次第で充電時にCO2が排出されることになるので、発電時のCO2排出量削減が重要。バイデン次期米大統領は、2050年温室効果ガスゼロに先駆け、電力部門を2035年に脱炭素すると打ち出している。米民主党の政策綱領が再エネと並び原子力推進を打ち出しているのは、原子力抜きでは電力の脱炭素化は難しいと考えてのことだろう。

温暖化対策としてのEV導入効果

 電源構成が国ごとに異なるので、発電量当たりのCO2排出量も異なることになり、EV導入に伴うCO2排出量の削減効果も違ってくる。石炭火力比率が相対的に高い中国、インドの数値が高い。日本の排出係数も比較的高い理由は、原子力の比率が東日本大震災前の約30%から5%に低下しているためだ。

 燃費の良いハイブリッド車では、1リットル(L)当たり20kmから25km。日本での燃料費は、家庭用電気料金を基に考えるとEVのほうがHVより安くなる。欧州主要国は、今後世界の主流になるEV市場で主導権を取ることを狙いコロナ禍からの回復予算をEV導入支援にも割き、導入支援強化に動いた。

EV販売台数が爆発的に増えている欧州

 日本をはじめ多くの国はEV購入時に補助金を出している。さらに、国により自動車関連税の減額、高速道路料金減額など多くの支援策が実行されている。EV価格はICEよりも高いため金銭面での補助を行い購入を促す制度だ。  欧州主要国が競ってEV導入に注力する理由は、温暖化対策に加え主要産業である自動車産業の国際競争力強化にあるが、その背景には欧州委員会が導入している自動車メーカに対するCO2排出規制がある。BEVでは発電に伴うCO2排出量はゼロとしてEUでは計算される。PHEVでは電気で走る距離に応じた計算式により内燃機関からの排出量は少なく計算される。 欧州主要国の購入支援策と新モデル投入により、販売台数は急増している。

欧州自動車工業会によると、EV、PHEV、HVは販売台数を大きく伸ばしている。爆売れと言ってよい状態。ただし、欧州以外の市場は低迷している。中国では今年前半の販売は前年同期比マイナス25%となっている。

EV化の落とし穴

 欧州を中心に各国ともEV導入に熱心だが、落とし穴がありそうだ。全ての車が電動化に適しているわけではないので、電動化以外の技術開発も必要になる。日本の自動車からのCO2排出量では、大型トラックからの排出が約4分の1を占めている。

 最近報道されたバッテリーの発火も問題だ。韓国、米国、欧州でEV車の電池が発火し火災になった事件が相次いだ。安全性が高く充電時間が短いとされる全固体電池の実用化が待たれる。 バイデン次期米大統領は、EV製造により自動車業界で組合員の雇用を創出すると綱領で明らかにしたが、EV化により自動車の製造ラインでの組み立て工程は30%から40%減るとみられており、EV化は雇用削減につながる可能性が高い。EUの自動車製造の雇用者数は370万人、全製造業雇用の11.5%。EV化の最も大きな落とし穴は雇用が失われることかもしれない。

山本隆三 (常葉大学経営学部教授)

Categorised in: 社会・経済