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2020年10月2日

12312:金相場の急騰は本物か 「ドル衰退論」に拍車 ウォールストリートジャーナル記事紹介

清澤のコメント:最近再び低迷の金価格です。比較的常識的な論説です。金相場は7-9月期に初めて、1トロイオンス=2000ドル(約21万円)の節目を突破したが、1980年初頭につけたドル建ての最高値を超えるには、その後の40年間の物価上昇分を加味したベースで、1トロイオンス=2800ドルの水準を上抜ける必要があった、という計算には思いが至りませんでした。

  ―――記事抜粋―――

By  Joe Wallace https://jp.wsj.com/articles/SB10827918526648824440904587006700720155024

2020 年 9 月 30 日 07:22 JST

 金相場の快走はまだ続くのか?

 金投資家にとって、今年は過去最高並みのリターンをもたらす「当たり年」だろう。先物価格は8月に最高値を更新。年初来では約24%値上がりしている。

 古くから「金嫌い」は多い。しかし、今年の金相場の動向は、金融史はドルなど通貨の地位低下が不可避の方向へと向かっているとの主張を勢いづける要因ともなっている。

 新型コロナウイルス危機からの景気回復支援に向け、米連邦準備制度理事会(FRB)が低金利を維持する方針を示していることで、金相場は大きな恩恵を受けている。パウエルFRB議長は8月、インフレ高進回避に向けた予防的利上げ方針を撤回すると表明した。

 FRBが向こう何年にもわたりゼロ金利政策を維持し、インフレ上振れを許容するとみられることで、実質利回りはマイナス圏に沈んだ。これは米10年債を償還まで保有した場合、インフレ調整後で損失が生じることを意味する。

 こうした状況下では、株式相場が今年、不安定な展開となる中で、金は投資家にマネーの逃避先を提供する。

 「(金は)想定外の事態に対して何らかのプロテクションを提供してきた数千年に及ぶ実績がある」。こう指摘するのは、ジョージ・ミリングスタンレー氏。「これは保有するに値する」

 金相場は7-9月期に初めて、1トロイオンス=2000ドル(約21万円)の節目を突破した。2015年から始まったとも指摘される金の強気相場は、新型コロナウイルス感染症流行で世界経済に急ブレーキがかかると、目もくらむような高値に跳ね上がった。さらに上値を追う展開もあり得るとの見方も出ている。

 1980年初頭につけた最高値を超えるには、その後の40年間の物価上昇分を加味したベースで、1トロイオンス=2800ドルの水準を上抜ける必要がある。それには8月下旬からさらに43%の値上がりが必要。インフレ調整後の金の最高値は、1980年1月21日にロンドン市場でつけた850ドル。当時は金への逃避買いが膨らんでいた。

 マイケル・スネイド氏の分析によると、過去1年間の金相場の動きは、実質利回りの動向で72%は説明がつく。残り21%は、インフレ期待の変化だという

 利回り低下はドルの押し下げを通じて、ドル建てで取引される金相場に一段の追い風を提供する。主要16通貨バスケットに対するドルの価値を示すWSJドル指数は8月まで5カ月連続の低下となっている。ドルはその後持ち直したが、金強気派はドル安圧力は今後も増大するとみる。

 金強気派の中には、世界の基軸通貨としてのドルの地位を疑問視する声も出ている。ゴールドマン・サックスは7月、とりわけ各国政府が通貨安を志向し、実質金利を過去最低まで押し下げれば、「金は最後の通貨」になると指摘している。

 債券利回りは別の意味でも金の妙味を高めている。債券の利回りと価格は逆方向に動くことから、利回りが極めて低いということは、価格は異様に高いということになる。そのため、株式相場が再び大荒れとなった場合、安全資産である国債には、もはや上値を伸ばす余地はないのではないかとの懸念がくすぶる

 ヒラリー・ティル氏は、金相場はここ数十年にリターンを安定させるという点でも好成績を収めていると述べる。同氏は、株式と釣り合いを取るため、運用担当者は金投資を検討すべきとの立場だ。

 1999年時点で、S&P500種指数に連動する株式バスケットに30%、金先物に30%、米10年債に40%を振り向けているファンドがあったと仮定する。ティル氏の分析によると、このポートフォリオでは、2019年末までの年間総合利益率が7.2%に達した。運用実績が最も悪かったのは2015年のマイナス2.3%。これに対し、株式60%、債券40%のポートフォリオでは年間総合利益率が6.6%で、2008年には投資実績がマイナス14%に沈んだ。

 しかし、金投資を推奨する数多くの説をもってしても、懐疑的な見方を崩さない向きもある。

 今年の金相場の値上がりは、デリバティブや赤字企業の株式に投機筋のマネーが流入する中で起こった。そのため金の高騰も、経験の浅い個人投資家によるリスク選好の高まりが招いたのではないか、と懐疑派はみる景気刺激策による現金支給が投資の元手になったことに加え、手軽に売買できる環境になったことで、個人投資家のリスク姿勢に拍車がかかったという。

Categorised in: 社会・経済