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2020年8月9日

12162:アフターコロナはバブルになる可能性が大きい:東洋経済記事紹介

清澤のコメント;経済学者アンドリュー・W・ローが提唱した「適応的市場仮説」によると、経済ショックに対する市場の反応は、政府の政策で容易に乗り越えられた過去の経験に慣れて株の暴落率が小さくなる。こうしてコロナ後はバブル経済になる。だから楽観に馴れると大けがをするよ、という事のようです。

ーーーhttps://toyokeizai.net/articles/-/368090から抄出ーーーー

8/8(土) 6:01配信

東洋経済オンライン

「アフターコロナ」のマーケットはどうなるのか?「ある仮説」を使って考えると、見えてくるかも知れない

 今回は「コロナ後のマーケット」を考えるうえで、ある興味深い仮説を紹介することから始めよう。  それは「適応的市場仮説」である。経済学者のアンドリュー・W・ローが提唱している理論的枠組みで、市場の振る舞いや人間の行動を、環境への適応の観点から説明しようとするものだ。

■「適応的市場仮説」では人間をどう考える?   ローが最初に論文を発表したのは2004年。

 適応的市場仮説は、人間を合理的な計算装置ではなく「生物学的存在」として理解する。人間は、進化の結果としてゆっくり変化してきた生物的特徴の影響と、環境からのフィードバックを受けて思考を変化させる「思考のスピード」で変化する行動パターンの影響との二つの影響を受けながら、意思決定と行動を変化させる。後者は、過去にどのような経験があったか、直近の経験がどのようなものであったか、といった事実が辿った時間的な経路に大きく依存する。

 「適応的市場仮説」が幾つかヒントを与えてくれそうだ。  今年の3月にかけて内外の株価が急落した「コロナショック」は、株価の下げの大きさと何よりもそのスピード、そして、株価の戻りのスピードが「意外」であった。

今年の3月にかけて内外の株価が急落した「コロナショック」は、株価の下げの大きさと何よりもそのスピード、そして、株価の戻りのスピードが「意外」であった。

伝統的な金融論の意味で合理的に解釈しようとすると、市場参加者の「期待」(予想の平均)の変化が対応しなければならない。だが、この間、経済成長率見通しはほとんどがマイナス幅拡大の方向に変化していた。

アメリカでいうと、2020年のGDP成長率が3、4月時点でマイナス3%くらいと予想されていたのに対して、今はマイナス5%台の数字を予想するエコノミストが多い。

「エルズバーグのパラドックス」とは?

しかし、株価は大きく戻った。これに対して「実体経済と株価の危険な乖離だ」と警戒する論調もある。株価が戻る理由には、先進国の中央銀行の金融緩和と財政政策の後押しも小さくないと思われるのだが、これに加えて、当初は「どのくらい怖いか得体の知れないコロナ」から、現在では「厄介な感染症だが正体が見えてきたコロナ」に人々の認識が変化したことの影響があるだろう。

前掲書に「エルズバーグのパラドックス」(p75)と呼ばれる現象の説明がある。

「密」と「非接触」を巡る進化論

人間は、「社会的動物」と呼ばれることがあるように、人同士が集まろうとする傾向がある。また、人同士の距離が近い状態、多くの人がいっしょに集まる状態などを好む人が多い。

「ウィズコロナ」の状況にある現在だと、「密です!」と叱られるような状況が多くの人に好まれてきた。今回のコロナで「3密回避」や「ソーシャルディスタンシング」の必要性が繰り返し強調され、テレワークが広まるような状況に対応するうちに、他人と「密」であるよりも、「非接触」的に距離を保つほうが快適であると感じるようになった人が徐々に増えている。

満員電車の不快感はほぼ普遍的かも知れないが、コロナによってソーシャルディスタンシングが要求される期間が長引くほどに、徐々に増えてくるのではないだろうか。

社会生活やビジネスのあり方の無視できない大きさの部分がコロナによって変化するのではないだろうか。

「ウィズコロナ生活」の継続期間に注目したい。

いつの時点なのか筆者にはまだ分からないが、状況が「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」に変化する時が来るはずだ。「ウィズコロナ」の経済とマーケットは、大まかには、コロナによる活動制約と需要縮小がもたらす実物経済の「不景気」と、これを金融システムに波及させないための金融・財政の緩和政策の引っ張り合いだと要約できる。

さて、差を伴いながらも、コロナの影響が後退して、経済が「アフターコロナ」に移行すると何が起こるだろうか。

思うに、バブルが起こる可能性が相当に大きいのではないだろうか。政策面での「緩和」は急に止められないだろう。ただでさえ、金融政策では中央銀行に引き締めが遅れるバイアスがあると言われてきた。

付け加えると、サブプライム問題の際に「個人」に溜まった債務は、コロナ前には「企業」(特にアメリカ企業)で膨らみ、コロナを機に、債務を膨らませる主体が「政府」に移った。常識的に考えて、次に債務を肩代わりしてくれる移転先はないので、「アフターコロナ」では、いよいよ何十年かぶりにインフレが問題になるかも知れない。

リスクプレミアムの過剰な縮小が起こる可能性

「アフターコロナ」に移行する段階で、投資家の認識や行動はどう変化するだろうか。端的に言って、リスクプレミアムの過剰な縮小が起こるのではないか。「ショック」(≒株価の大幅下落)が、何れも主に中央銀行の政策によって救われた。こうした経験が続くと、投資家は、「株価は下がっても必ず戻る」という経験則に対する忠誠心と同時に依頼心を高め、「長期に投資していれば絶対に大丈夫だ」との思想を強化するのではないか。

『Adaptive Markets 適応的市場仮説: 危機の時代の金融常識』

この認識変化の帰結は、リスクプレミアムの縮小だ。リスクプレミアムが5%から3%に低下するなら、株価に対しては66.7%の上昇効果があっておかしくない。

仮にそうなると、長期投資の成功に「強い信念」を持って臨んだ投資家は、そのさらに将来、リスクプレミアムが平均回帰する際に、かなりの深傷を負うことになるかも知れない。

適応的市場仮説には、人間を集団に分けた適応・不適応などの分析が進むことを期待したい。念のために付け加えるが、経済的人間の適切な区分は、今や「資本家」と「労働者」ではない。資本家も時には搾取されるカモでありうることは、すでにリーマンショック時に、分かる人には分かっていたことだと思う。

Categorised in: 社会・経済