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2020年4月1日

11709:手のひらに輝く黄金がテロの資金源に:ブルキナファソの記事紹介です

清澤のコメント:オリンピックの選手団でもなければまず聞くこともないアフリカの小国ブルキナファソ。そこで小規模な金鉱山が営まれ、それがアフリカにおけるISの資金源になっているというお話です。「ダイヤモンドより平和が欲しい」というアフリカ反政府軍の少年兵の物語に似ています。

ーー2020年3月31日 18時15分 記事抄出ーー

黄金がよりによってテロリストの資金源になっているとしたら…。過激派組織IS=イスラミックステートが勢いを増しているアフリカの西部。そこで金の違法な採掘をしている実態が明らかになった。闇の資金ルートを追った。(ヨハネスブルク支局長 別府正一郎)

再び勢力を増すIS いまアフリカで…

去年から今年にかけ、西アフリカのニジェールやマリ、ブルキナファソといったサハラ砂漠周辺のサヘル地域の国々で治安がいっそう悪化している。攻撃をしているのは主に過激派組織IS=イスラミックステートだ。ISは中東のイラクやシリアで支配地域を失い、指導者もアメリカ軍に殺害された。しかし、サヘル地域では別の組織を立ち上げ勢いを増している。国連の調べでは、テロの被害者は2016年から3年で5倍。“金を違法に掘って、資金源にしているらしい”という話が飛び込んできた。

紛争やテロの背景には「資金源」あり

 

2000年反政府勢力が鉱山を支配し、住民たちを酷使してダイヤモンドを掘らせては、国際市場に売りさばいていた。「武装集団の背景には資金源があるはずだ」。狙いはISのテロや攻撃が特に激しくなっているブルキナファソに定めた。

ゴールドラッシュに沸くアフリカの村 

支局のある南アフリカからブルキナファソまでは飛行機を乗りついで20時間近くかかる。首都から車で2時間、とある村の奥に突然、手掘りの金の採掘場だ。土を細かくして、水と一緒に皿の中で揺らすと、光る砂金だ。わずかな量だが強い輝きを放っていた。ブルキナファソはゴールドラッシュに沸いている。手掘りの採掘場が今や国内に800か所になるという。劣悪な労働環境だが、ブルキナファソ各地の採掘場で一攫千金を求める人々の数は全土で100万人を超えるという。

黄金”に伸びるISの魔の手

しかし、この金にISの魔の手が伸びている。
ブルキナファソ政府の鉱業管理のトップ、イダニ鉱業相は金がいかに国を潤しているか説明した。「かつては綿花くらいしか輸出するものがなかったブルキナファソだが、ここ数年は大きな鉱脈も見つかり、外国資本も続々と進出している。金の産出量は今では年間50トンを超え、あっという間に綿花を抜いて輸出額のおよそ70%を占めるまでになった」しかし、私の質問がISのことに及ぶと顔が曇った。連中は、隣国に密かに持ち出して、そこで売りさばいているからだ」

政府軍も近づけない地域では、いま何が起きているのか

しかし、東部の採掘場の実態を知ろうにも、政府軍も近づけない場所に、私たちだけで出かけるわけには行かない。「近くの採掘場は過激派の戦闘員が支配している。住民たちには、自分たちに協力すれば採掘を続けさせてやると言っている。協力を拒否した住民は次々に殺されている」 まるで中東でのIS組織の恐怖による支配を再現したかのようだ。

密輸ルート”を追う 

ISの密売先として浮かび上がった隣国のトーゴ。村には金の買い取りを行っている業者がいた。「俺がしているのは人助けだ。農村の女性たちが少しでも現金を手に入れられるんだから喜ばれているよ」「そりゃ、外国人も来ているよ。多いのはブルキナファソからの人たちだ。どんな人たちかは気にしたことはない」 密輸は常態化しているのだ。

これが国境? 

国境の検問所を訪れると、国境を示す目印があるだけだ。小さな検問所はあったが職員たちは昼寝していた。ここでは誰も国境線など気にしていないようだ。

仲買人がカバンから取り出したのは…

金は仲買人の手を次から次に渡っていく。溶かされ、混ぜ合わされ、あっという間に元の産地がどこだったか分からなくなる。こうした金はさらにほかの業者の手によってスイスや中東の産油国に輸出されているという。

金を買い取る先進国側にも責任

金を買い取る先進国側も、産地の把握についてずさんだということも分かった。世界最大級の金の取引量を誇るスイス。この国の輸入統計を見ると、多い年にはトーゴから年間15トンの金を輸入していることになっている。しかし、「トーゴには、外国資本による大きな金鉱山はなく、非公式な採掘場がいくつかあるだけだ。」『トーゴ産』として輸出されている金のほとんどが実際には他国から持ち込まれたものだ。アフリカの現実が顧みられることはないまま先進国で消費されていく実態は、紛争ダイヤモンドと同じような構図に見える。

ISはいくら手に入れているのか?

いったいどれだけの金がISの資金源になっているのか。。ただ、サヘル地域で手掘りで産出される金は、あわせて年間2000億円から4500億円になるとみられる。ISが奪っているのがこの一部だとしても大きな金額だ。事態を放置すれば「第2のシリア」になる危険もある。

「紛争ゴールド」流通させない仕組みをどう作るか

 ISの台頭に危機感を強めるアメリカ軍は、2月下旬、セネガルで、イギリスやフランス、アフリカ諸国などあわせて30か国の部隊が参加する軍事演習を行った。また、フランスも部隊を派遣して掃討作戦を続けている。しかし、軍事力だけで過激派を封じ込めることはできていない。やはり重要なのは資金源を断つための国際的な取り組みだ。

Categorised in: 社会・経済