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2020年3月1日

11570:株価急落局面で金価格も急落している「謎」:記事紹介

清澤のコメント:ヤフーニュースの個人読者最多数の記事はこれだそうです。新型コロナ肺炎の拡散で、世界の株価が急落しています。産業活動の低下を予測して、石油価格も急落です。しかるにリスクオフでは高騰するはずの円と金のうち、金がここ数日下落しているという話です。中期的なグラフではまだ高騰圏内にはいるとするのでしょう。最も安易な答えは、株の信用取引における追証の発生で現金を必要になった人が手持ちの金を売った。そうでなくとも、「短期的には大きな株安の時には金などのコモディティーも連れ安するものです」と話してくれた方も居ました。この記事の発表時刻は金曜の後場、つまり今週の東京マーケット取引終了後の時点の記事です。

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小菅努  | マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

2/28(金) 19:23

世界の株価が急落する中で、安全資産の代表格である金価格が下落する一見すると「奇妙」な現象が観測されている。指標となるNY金先物価格は、2月24日の1オンス=1,691.70ドルをピークに、28日の欧州タイムには1,630ドル水準まで急落している。27日の米株式市場ではダウ工業平均株価が過去最大の下げ幅を記録し、日経平均株価も25~28日の1週間で世界同時金融危機が発生した2008年10月以来の下げ幅を記録する中にあって、金価格が急落しているのである。

一般的な理解では、金は「安全資産」と言われるため、株価急落局面では買われることになる。株式市場から金市場に対する資金流入というのは、極めて分かり易い教科書的なロジックである。実際に、2月は株価急落環境において、米国債などと同様に金が安全性を高く評価されて買われていたことは間違いない。NY金先物価格は、2013年1月以来の高値を更新している。

では、なぜ足元では株価急落にもかかわらず、金が買われるのではなく、売られているのだろうか。考えられるのは、投資家がキャッシュなどの流動性を確保する目的で、金を売却している可能性である。

世界的に株価がパニック的な急落となる中、投資家は株式市場における含み損(=確定していない帳簿上の損失)への対応を迫られている。特に、先物取引などのデリバティブ取引では、元本以上の投資が可能なため、相場が予想の反対方向に向かうと、含み損への対応で新たなキャッシュが求められることになる。これを専門用語で「マージン・コール(追証拠金)」と言うが、追加の「マージン(証拠金)」を要求する「コール(連絡)」が来て、ポジションの維持・決済のためにキャッシュが必要となるのだ

これが現在は世界規模で発生しており、投資家は株式市場で発生した損失の穴埋めを行う必要性に迫られている。その際に、7年1ヵ月ぶりの高値圏にあり、多くの投資家が含み益を抱えている金が、売却対象になっている可能性があるのだ。

金市場を取り巻く環境をみれば、株価は急落し、米長期金利は過去最低を更新し、ドルが反落傾向を強めるなど、買い材料ばかりが目立つ状況にある。このため、金価格のファンダメンタルズは寧ろ強気に傾いており、更なる高騰相場を支持していると言える。しかし、流動性確保が最優先される局面においては、金価格に対して強気でも、金を売却せざるを得ない状況に追い込まれることもある。

実はこうした現象は世界同時金融危機の際にも観測されている。世界同時金融危機の際は、初期段階では金は安全資産として買われていた。しかし、株価がパニック的な急落を開始すると、株式市場などの損失を補填するために、金も売却されて急落したのである。これは、「有事」でも金は常に流動性を確保できる高い信頼性を有している結果であり、決して金の安全資産性が否定されている訳ではない。ただ、パニック状態に陥った際には、「安全資産」の金も売られることがある。

足元の金相場急落に関しては、最近の急ピッチな上昇相場の反動に過ぎない可能性も十分にある。しかし、仮に株価急落と歩調を合わせる形で金価格も急落する状況が継続し、本格化するのであれば、それはいわゆる「リーマンショック級」の危機が発生していることを意味することになる。株価急落がメディアでは大きく取り上げられているが、その環境下で金価格が急落していることは、極めて不気味な現象である。

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。official siteマーケットエッジ株式会社

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このような市場環境でマネーの流れは米国債一極集中傾向が続いている。既に1.1%台まで続落。もしパンデミック化すれば量的緩和再開も視野に入る。

追記:豊島逸男の手帳3月2日から抜粋

https://gold.mmc.co.jp/toshima_t/2020/03/3244.html )に曰く:

もう一つの安全資産である金は28日に1640ドル台から1570ドル台まで急落した。これはリーマンショック時と全く同じ現象だ。株価急落によりマージンコールを強いられた投資家たちが益出しの金売りで現金化を急ぐ現象だ。本当の危機の時は有事の金は「売り」なのだ。但しこの換金売りが一巡するとリーマンショックのは時は金が反騰。その当時として初の4桁1000ドル台に乗せたのである。

東京市場では日経平均2万割れが試される段階に来た。海外ヘッジファンドに揺さぶられる状況が続きそうだ。超短期筋のCTA(コモディティー・トレーディング・アドバイザー)は売りのモメンタムに乗り2万円割れを目指す。対して中期的投資スタンスのグローバルマクロ系ヘッジファンドは2万円割れを中期的買いの水準と見る傾向が強い。海外投資家の売買動向も短期マネーと中長期マネーの見極めが肝要であろう。:ということです。

再度追記:恐怖指数はリーマンショックを超えてはいませんが、ニューヨーク同時多発テロやアジア経済危機並みに世間を震え上がらせています。

Categorised in: 社会・経済