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2020年1月3日

11418:働きがい問われる年、シニアのリストラが若者にも悪影響;記事紹介

河合 薫 健康社会学者(Ph.D.)2020年1月1日

清澤のコメント:求人広告を出して応募者が少ないことを嘆いても仕方がない。そんなことを考えている正月休みにこの記事を見つけた。従業員を処遇するうえで、心すべき点が少なからず含まれている。そういえばこのSDGs(Sustainable Development Goals)は昨年聞いたことがあった。末尾にリンクします。本文の要点を2400文字に集約してみよう。

――要旨――

 2020年には中高年が社会の大半を占める時代への対策が必要。政府は超少子高齢化社会に向き合ってきたとは言い難い。

シニア社員の相次ぐリストラは企業のゆるやかな自殺

多数社がバブル世代をターゲットに希望・早期退職を実施する。高額退職金を払ってでもシニア社員をたたき出す。政府は定年を70歳まで引き上げる方針で「今のうちに」と、シニア切りに躍起になっている。人員削減=コストカットは、“目に見えない力”を育む土壌を自らの手で壊す「企業のゆるやかな自殺」だ。成長力維持には、シニア社員も含めた全社員がエイジレスに働く就業機会を提供し、やる気を引き出す経営が必要。

長期雇用を9割超の若者が望む時代に、40代後半以上を追い出す会社を若い世代が信用するか?人口構成が変わり、仕事の質が変わり、人生で働く時間が延びた今、今までの「当たり前」が変わり時代が動く。「2020年は大きな節目」。

働きがいのある「ディーセント・ワーク」SDGs

 SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。国連の2016年から15年間の国際社会共通の目標。SDGsは、2000年の「MDGs(ミレニアム開発目標)」の達成期限を受けた新たな世界の目標。SDGsでは「誰一人取り残さない」ことを掲げ、すべての国が達成すべき目標としている。SDGsの進捗状況を各国が報告し、そのレビューが毎年行われる。

 2018年のSDGs達成ランキングで日本は15位。17目標のうち、日本で達成されたと評価したのは、「4.質の高い教育をみんなに」のみで、その他は未達成。「8.働きがいも経済成長も(ディーセント・ワーク)」は、4段階の2番目。「ディーセント・ワーク」は、働き方を考える上で極めて重要かつ価値ある概念。ILOは、「すべての人にディーセント・ワークを(Decent Work for All)」を目指す。日本では「働きがい」だが、正確には「権利が保障され、十分な収入を生み出し、適切な社会的保護が与えられる生産的な仕事」を意味する。ディーセント・ワークを展開するには、「働きがいのある人間らしい仕事」があることが基本。SDGsで働きがいのある人間らしい仕事ができる環境を整えると、個人のパフォーマンスも向上する。

働きがいの正体は何だろう

 有意味感が高まると、ストレスに対処する力、生きる力が高まっていく。ここでの働きがいは「個人」の中だけではなく、自分を取り巻く周囲との関わり方が鍵を握る。具体的には、「自分には信頼できる人がいる」「自分は他者の役に立っている」「自分を認めてくれる人がいる」「自分はここで能力を発揮できている」という気持ちを持てることが肝心。

どんな職場環境を作れば、働きがいは高まるか?日本で行われた大規模調査。「働きがい」について、「ワーク・エンゲイジメント・スコア」を用いて数値化し、得られた数値と雇用環境との関連を分析した。「ワーク・エンゲイジメント」とは、「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態」を表す概念で、具体的には「活力=仕事から活力を得ていきいきとしている」「熱意=仕事に誇りとやりがいを感じている」「没頭=仕事に熱心に取り組んでいる」の3つが揃った状態と定義される。

「働くことでエネルギーが高まる、自分の仕事に誇りを持っている、仕事に燃えている」ということ。ワーク・エンゲイジメントは特定の出来事や個人ではなく、「個人とその人の周囲環境との関わり方」を持続的に捉える。ワーク・エンゲイジメントが高い人ほど、パフォーマンスが高く、心身の健康度が高く、離職傾向が低い。

「働きがい」を数値化して調べると:ワーク・エンゲイジメント・スコア=働きがい。正社員では29歳以下の若手ほど働きがいを感じていない/役職が上がるほど働きがいが高まる/働きがいが高い企業ほど入社3年後の定着率が高まり、企業の労働生産性も上がる。

 さらに、職場環境との関係性では:

  • 職場の人間関係やコミュニケーションが円滑なほど、働きがいは高い
  • 労働時間の短縮が進み、柔軟性の高い職場ほど、働きがいは高い
  • 裁量権が高い職場ほど、働きがいは高い
  • 将来のキャリア展望が明確なほど、働きがいが高い
  • 非正規社員が差別的な扱いを受けていると感じている人ほど、働きがいが低い
  • 「心理的距離=仕事から物理的、心理的に離れている経験」「リラックス=くつろぐ経験」「コントロール=余暇時間に何をどのように行うのかを自分で決められる経験」「熟達=余暇時間を使って自己啓発に励む経験」といった休暇時間が確保できている人ほど、働きがいが高い

この結果から:働きがいには「積極的な休息」も必要不可欠。有休消化はもちろんのこと、知的好奇心を高める「自己啓発休暇」などで、働く人たちの心に「栄養」を与える重要性も示唆された。企業が厳しい状況で生き勝つには、社員に投資し、一人一人のパフォーマンスを向上させることが重要。

 働きがいを持つシニア層を切り、いったい何が生まれるのか?生産性はあくまでも、「働きがいを社員が感じた結果」高まるものなのに、社員を単なるコストとしか考えない企業の未来に何が待ち受けているというのか?

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Categorised in: 社会・経済