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2019年11月25日

11326:日本終焉レベルの大問題。iPS細胞10億円支援打ち切りという愚行

※清澤のコメント:日本の基礎研究の衰退はよく指摘されるところ。ここでは『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年11月20日号からの抜粋記事をさらに短縮して採録。

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政府が京都大学に、iPS備蓄事業に対する年間10億円の予算を打ち切る可能性を伝えた。健康社会学者の河合薫さんは、今回の決定に至る背景には「生産性」ばかりを追求するという昨今の流れがあるとし、研究費打ち切りについては「人の命とカネを天秤にかけたようなもの」と批判した。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる) 健康社会学者(Ph.D.,保健学)、

科学の地盤沈下に拍車をかける政府の愚行

拒絶反応が起きにくい再生医療をめざす京都大学のiPS細胞の備蓄事業について、政府が、年約10億円を投じてきた予算を打ち切る可能性を京大側に伝えた。――

研究者サイドが「もうちょっとしっかり芽を育てた方が、事業が広がっていく」と訴えているのに対し、国は「今のままでいいじゃん。あとはキミたちでひとつよろしく!」と突き放した。「企業のニーズ」という体のいい言葉は、研究より商売を優先した。

このままでは日本に愛想を尽かし、優秀な頭脳はみな海外に流出してしまう。――政府決断は日本の科学力の衰退に拍車をかける。日本の科学分野の相対的な地位が年々低下する。

「Nature Index 2017 Japan」によれば、2005年からの10年間で、日本からの論文がほぼすべての分野において減少傾向にある。ネイチャー・インデックスに含まれる日本人の論文数は5年間で8.3%減少。世界全体では80%増加したのに対して、日本からは14%増。

日本の若手研究者は研究室主催者になる意欲が低く、「研究者の育成も期待できない」。

ノーベル賞を日本人が取ると、国はまるで自分たちの手柄のように振舞うが、それは先人たちが教育を大切にしてきたからこそ。大学にもたくさんのカネをつぎ込み、研究者が育つ土壌を作ってきたことが、何年もの歳月をかけてやっと今花開いている。日本のお偉い人たちは自分たちがやっていることが日本を弱体化させていることに気が付いていない。

学問に「生産性」を持ち込む愚

そもそも「生産性」という、研究と全く相容れないものを、大学という学問の場に持ち込んだのが衰退の始まりです。大学に競争原理を持ち込み、「選択と集中」だのとカネを稼ぐことに躍起になったことが、「日本の土台」を崩壊させた。「生産性命」の方たちは、勉強と学問の違いがわかっていない。

すべてのプロセスをきちんと丁寧に繰り返し行うことで、世の中に役立つものを創りだしていく。これが学問。学問に終わりはないし、研究にも終わりはない。それを成し遂げるには国の支援は必要不可欠。お金がなければ大学の研究は成り立たないし、研究者も育たない。政府には地盤沈下に拍車をかける愚行を早急に是正してほしい。

Categorised in: 社会・経済