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2019年6月24日

10853:米国における医師の燃え尽き症候群の原因となる費用の推定:論文紹介

Estimating the Attributable Cost of Physician Burnout in the United States.  Han S, et al. Ann Intern Med. 2019 May 28. [Epub ahead of print]

清澤のコメント:燃え尽き症候群、バーンアウト(英: Burnout)とは、一定の生き方や関心に対して献身的に努力した人が期待した結果が得られなかった結果感じる徒労感または欲求不満。あるいは、努力の結果 目標を達成したあとに生じる虚脱感を指す場合にも用いられる。慢性的で絶え間ないストレスが持続すると、意欲を無くし、社会的に機能しなくなってしまう症状。一種の反応性うつ病とも説明される。過労が続く地位にある医師においては起こりやすいのかもしれない。

――論文要旨―――

米国における医師の燃え尽き症候群の原因となる費用の推定

 JournalAnnals of internal medicine. 2019 May 28; Shasha Han, ほか:

背景:医師の燃え尽き症候群は、臨床的および組織的なマイナスの結果と関連していますが、その経済的コストはよくわかっていません。結果として、ヘルスケアのリーダーは、医師のバーンアウトを改善するためのイニシアチブの経済的利益を正しく評価することができません。

目的:医師の離職と医師が国内(米国)レベルおよび組織レベルで診療時間を短縮することに関連するバーンアウト関連コストを見積もること。

設計:数学モデルを用いた費用対効果分析

設定:アメリカ

参加者:米国の医師の模擬人口。

測定:モデル入力は、最新の公表されている調査結果と業界レポートの結果を使用して推定されました。

結果:全国規模では、保守的なベースケースモデルは、医師の離職と臨床時間の短縮に関連する約46億ドルの費用が、米国での毎年の燃え尽きによるものであると推定しています。この推定値は、多変量確率感度分析で26億ドルから63億ドルの範囲でした。組織レベルでは、離職率と診療時間の短縮に関連した燃え尽き症候群に関連した年間の経済コストは、採用された医師1人あたり年間約7600ドルです。

制限:元データ内の無応答バイアスおよび交絡者の不完全な制御の可能性。一部のパラメーターはデータから入手できなかったため、推定する必要がありました。

医師のバーンアウトで年間50億ドルの医療費増、米研究 HealthDay News 公開日:2019/06/24

 疲労でストレスがたまった医師たちが働き続けることで、不十分な医療ケアや患者の不満、医療過誤訴訟を招き、米国の医療費を増大させている―。そんな研究結果を、シンガポール国立大学のJoel Goh氏らが「Annals of Internal Medicine」5月27日オンライン版に報告した。この研究では、米国における医師のバーンアウト(燃え尽き症候群)に起因する医療費の増加分は年間約50億ドル(5400億円)と推定されたという。

 Goh氏は、研究の背景について、「医師のバーンアウトは離職や生産性の低下と関連することが知られているが、経済的コストについてはよく分かっていなかった」と説明する。また、コストが明確でないため、医師のバーンアウト対策プログラムの経済的な効果についても明らかになっていないという。

 今回の研究は、Goh氏が米スタンフォード大学および米メイヨー・クリニック、米国医師会(AMA)の研究者たちと共同で実施したもの。研究チームは、医師の離職やバーンアウトによる診療時間の短縮に関連したコストを推定するための数学的モデルを作成し、費用対効果分析を行った。その結果、医師のバーンアウトに関連した年間コストは、施設レベルでは医師1人当たり約7,600ドル(約82万円)、国全体では30億~60億ドル(3200億~6500億円)に上ると推定された。

 Goh氏らによれば、米国では、程度に差はあるが、バーンアウトに苦しんでいる医師は少なくない。2014年には約54%がバーンアウトの症状を少なくとも一つは抱えていることが報告されている。この割合は、米国の全ての就労者の約2倍だという。――― さらに、Ellison氏は付随論評で、「現実としてバーンアウトを抱える医師はあまりにも多い」とし、「医師のバーンアウトで問題になるのは不安や抑うつ、不眠、精神的および身体的な消耗感、集中力の低下だけではない。米国では毎年、推定で300~400人の医師が自殺し、自殺率は一般人口と比べて男性で40%高く、女性では130%も高い」と述べている。その解決策として、同氏は医師主導で電子カルテを効率化することで、医師が自分の時間を取り戻し、患者との接点も増え、診療の喜びを感じられるようになるのではとの見方を示している。 [2019年5月28日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay.

Categorised in: 社会・経済