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2019年6月21日

10843:人生100年時代の健康管理は医療でなく福祉:記事紹介

人生100年時代の健康管理は医療でなく福祉:記事紹介
眼科ケア7月号が届きました。89ページには上記の記事が載っています。健康寿命を延ばすにはどうすればよいかという話題で、横倉義武氏は「かかりつけ医」の普及を主張し、小泉新次郎氏はそれに「マイドクター」という名称を提唱したそうです。「医師が国民の日々の健康管理総合アドバイザーとなれば良い」とい言うのに対し、若倉氏は「健康管理アドバイザーが医師である必要はなく、健康管理アドバイザーの助手として定年後の人たちの能力を生かすというアイデアが出ても良いと言う。若倉先生が現在、作家としての活動のほかに最も力を入れている「目と心の健康相談室」のことを思うと、私は「定年後のボランティアとして健康相談室活動に参加してくれる人が現れることを大いに求めている。」ということかな?と感じました。

⇒◎目と心の健康相談室:1)広報活動・ボランティア活動: 本相談室の機能をうまく利用してもらうためには、まずその存在を必要とする方々に知っていただくことが大切です。現在、ホームページ、ちらしや広報誌発行による広報活動を行っていますが、いまだ不十分と考えております。この点に関して、ご協力いただける個人、団体を募集しております。

 

 

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記事の引用:私の提言、苦言、放言
井上限科病院名誉院長 若倉雅登

第157回人生100年時代の健康管理は医療でなく福祉
『m3.comという医療従事者専用サイトの「医療維新」という論説欄に「人生100年時代」と題しての日本医師会長の横倉義武氏と小泉進次郎衆議院議員との対談が五回にわたって掲載された。いろいろな意味で日本の医療の歴史とこれからを考えさせられる、興味深い企画であった。
人生100年時代になっているが、健康寿命を延ばすにはどうすればよいかという話題が出てくる。「かかりつけ医」の普及を主張するのは横倉氏で、「マイドクター」という名称を提唱するのが小泉氏である.いずれにせよ、医師が国民の日々の健康管理総合アドバイザーとしての役割を担えばよいということである.ただ、そうだとしても、それが内科だけで済む話ではない。やはり、視覚の健康は眼科、聴覚のそれは耳鼻咽喉科、皮膚は皮膚科、歯は歯科というふうに、自分の健康上の欠点を考えて、それぞれの診療科のマイドクターを持つというのなら、それはそれで意味があるかもしれない。しかし、国民皆保険とはいえ、それらを健康保険ですべて賄うということが正しい選択肢なのだろうか。健康管理の中身は、持病がある人の生き方を支援するという意味があると思う。もっと大事な問題は、病気とまではいえない加齢変化への対応である。アンチエイジングという話ではない、アンチで解決しない事実への対応である。外来患者をみていると、当然の加齢変化を受け入れられず、過度にその改善にこだわり、不安に陥っている人がなんと多いことかと感じる,それが楽しかるべき晩年の人生の無駄遣いにつながっている気がしてならない。もし、健康管理総合アドバイザーたる医師が、そういう健康生活の相談に正面から取り組まず、必須とはいえない薬を漫然と処方し、患者を医師に依存させて通院させ続けていれば、無駄に国民医療費を押し上げるばかりになる.
小泉氏は後で「医師には本当に医師にしかできない業務をしっかりやり、仕事や権限を抱え込まないでほしい」とも語っている。私はこれに賛成である。健康管理総合アドバイザーは必ずしも医師である必要はない。訓練を受けた保健師であったり、心理カウンセラ―であったり、ソーシャルワーカーであったり、介護福祉士であったりしてよいのではないか。健康管理センターや保健所に健康管理総合アドバイザーを置けば、地域の人にアクセスしやすい対応ができるはずで、これを福祉政策の目玉にすれば、おのずと医療費は削減され、医師は本来の仕事をすればよくなり、医師の働き方改革にもなる。一人のアドバイザーで人間の心身すべてを受け持つのは無理があるだろう。内科系だけでなく、視覚系アドバイザー、聴覚系アドバイザー、精神系アドバイザーなどがあったほうがよいが、そうした特殊アドバイザーは全国津々浦々ではなく、一定の拠点にいればよいだろう。これらアドバイザーには、さらに助手となるボランティアがいてもよい。それが第一線を引退した高齢者でも一向にかまわない。
人生100年時代なら、定年が今後延びたとしても70歳くらいだろう。その後もなお働くことが重要なこともこの対談では示唆している。この「働く」は、必ずしも稼ぐことではない。何か目的を持って自分を働かせることだ。ゴルフのシングルプレーヤーを日指すのもよい、多忙で学び損なったものを大学の聴講生として、あるいはカルチャーセンターで学び直すのもよい、ボランティアとして社会活動するのもよいのである。公的機関の福祉サービスの一つとして、たとえば健康管理アドバイザーの助手として定年後の人たちの能力を生かすというアイデアが出てもよいと思う。ボランティアもまた、生きがいにつながるからである。
横倉氏は医療には安全性と責任が付き物で、医師の指示の下で健康管理をやっていかないと、そこに問題が生じると懸念している。だが、そこはこのシステム作りに市民日線が入り、市民のボランティアが参加してくれれば、いたずらに医師ばかりが責任を負わされるなどという杞憂はないと、私は思う。

 

Categorised in: 社会・経済