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2019年5月6日

10695:今行動しなければ拡張現実はディストピアを招く;記事紹介



2019年5月04日  TechCrunch Japanから

眼科医清澤のコメント:可視的な情報とそれに関する説明情報の集積や閲覧をどうコントロールするか?という事なので、視覚情報という意味で眼にも関係しそうな記事です。どうやら拡張現実AR(★1)に関する情報を際限なく収集できるようなことをこのまま続けると、個人のプライバシーが侵害されるデストピア(★2)が起きるという事を警告しているようです。

★1)AR:拡張現実。コンピューターを利用して、現実の風景に情報を重ね合わせて表示する技術。たとえば、ヘッドマウントディスプレーを通して現実の風景を見る際に、建物の名称を表示したり、過去に存在した建物を再現表示するといった利用方法が検討されている。最近では、スマートフォン向けのサービスが登場しており、iPhoneでは「セカイカメラ」「Layar」といったアプリケーションが利用できる。これと対になる技術として仮想現実(Virtual Reality)がある。

★2)ディストピア:ディストピア(英語: dystopia)は、ユートピア(理想郷)の正反対の 「政府によって市民の自由が奪われた社会」 。 一般的には、SFなどで空想的な未来として描かれる。その内容は政治的・社会的な様々な課題を背景としている場合が多い。 

 ―――記事の要旨――

ARとは、誰もが現実そのものをリッピングし、ミキシングし、焼けるようになることを意味している。

アップルのティム・クックCEOは「気味の悪い未来は避けられる」とも言っている。業界は、今日の技術的基盤を築くために、誤ったデータ収集をしてきた。

ARに固有の新しいタイプのデータ収集はコンピュータービジョンによって生成され、機械が読み取り可能な世界の3Dマップだ。ARは、それを使って3D空間との同期や位置の確認を行う。人用ではなく機械用の、Google Earthのもっとすごいやつと考えればいい。

特に重要なのは、ARシステムを最適に運用するために、コンピュータービジョンのアルゴリズムとそのデータとを密接に結びつけ、実質的に一体化することだ。私たちは、こうした「ARクラウド」を、しばらくの間は独自のものにしておくつもりで構築してきた。

ARはあらゆるものをキャプチャーできる

保存できるデータは数多い。少なくとも、コンピュータービジョン(SLAM)マップデータは必ず含まれる。このスタックの中の低層のレイヤーは機械にとってのみ有用なものだが、レイヤーを重ねてゆくほどに、それはたちまち非常にプライベートなものと化す。

解決された技術的問題と解決が待たれるもの

自主規制に消極的な巨大プラットフォームの行いを正すには、規制を課すしかない。

ARデータに関する興味深い課題を3つ紹介。

  • マップやストリートビューのデータには「新鮮さ」が求められるが、歴史的なデータはどれほど残しておくべきか。
  • 難しいが実現可能な最大の課題は、個人が特定される情報をスマートフォンから外に出さないということだ。
  • 「プライベートクラウド」の問題もある。企業は従業員のプライベートで正確なARクラウドを欲しがることが考えられる。プライベートクラウドはプライベートサーバーで簡単に開設できる。

AR業界が解決しなければならない技術的課題

解決策がまだ見つかっていない課題の例。

  • 部屋の仕切り。ARでは「自分の空間」を正確に探知できねばならない。
  • 空間の権利を特定することは大変に難しい。
  • 複数の人間からの場所のキャプチャーを管理する場合、その最終的なモデルの所有権が誰にあるかは、大変に難しい問題。
  • ウェブにはrobots.txtファイルという概念がある。本当に難しい点は、「その場所に対して権限を持つのは誰のrobots.txtか」ということだ。

社会契約が現れ合意されることが必要

ARのプライバシー問題を解決するにあたり、大いに役立つであろうものが、いつどこでデバイスを使うのが適切かを規定する社会契約の生成。OEM各社は、カメラを使うとシャッター音が鳴るようにして世間の不安を解消しようと考えた。

業界が予測できない課題

ARは新しいメディアだ。それがどのように利用されるかは、誰も想像ができない。ARプラットフォーム企業が依存すべきはそこにある。

  1. ビジネスモデルの誘因が、データを提供してくれた人々の正しい行いに沿うようにする。
  2. 企業の価値観を伝え、データを提供してくれた人々の信頼を得る。

不気味な存在にならないよう今のAR関係者がすべきこと

ARの先駆者たちの最低限の方針を列挙する。

  1. デバイスからの個人データの持ち出し禁止。事前の許可があった場合のみ可能:
  2.  IDの暗号化。大まかなロケーションID(Wi-Fiネットワーク名など)はデバイス上で暗号化する。
  3. 位置を示すデータは物理的にその場にいるとき以外はアクセス不可。そこに物理的に入ることが社会契約によって許されるかどうか。
  4. 機械が読めるデータのみ。
  5. アプリ開発者はユーザーのデータを自分たちのサーバーで管理。
  6. データを売るのではなく利用料で利益を上げるビジネスモデル。
  7. 最初にプライバシー保護の価値観を。プライバシーに関する価値観を一般に伝える。
  8. ユーザーと開発者の所有権と管理権。
  9. 持続的な透明性と教育。
  10. 常にインフォームド・コンセント。

気味が悪い要素を排除したとしても、プラットフォームが取得したデータをハックされたり、政府機関から合法的にアクセスされる可能性があることを忘れてはいけない。

こうした問題を一発で解決する決定打はない

ブロックチェーンは、こうした問題の万能薬にはならない。とくに、基礎的なARクラウドSLAMデータセットに対しては有用ではない。

望みをどこに持つ?

ARスタートアップは、生き残るために金を稼がなければならず、Facebookが実証したように、顧客にOKをクリックするよう促しすべてを収集するビジネスモデルが有利だった。

重要なポイントは2つ。ARはあらゆるデータの取得を可能にするということ。そして、ARのユーザーエクスペリエンスを高めるためでも、プラットフォームはあらゆるデータを取得する必要はない。

コンピュータービジョンを広く分布させるARでは、どのコンピューターに見る権利を与えるかを、私たちは決めなければならない。

[原文へ](翻訳:金井哲夫)

AR will mean dystopia if we don’t act today
AR will mean dystopia if we don’t act today AR will mean dystopia if we don’t act today

Matt Miesniekshttps://jp.techcrunch.com/2019/05/04/2019-04-30-ar-will-mean-dystopia-if-we-dont-act-today/

Categorised in: 社会・経済