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2019年4月14日

10638:ある町の高い煙突 (文春文庫):読書印象記です

新田 次郎  (著)

清澤のコメント:著者は気象庁の職員を長年務めた人であり、煙の動きとか高層気象には興味を持っていたのであろうことは容易に想像できる。山岳小説のエキスパートとしても知られる、諏訪出身の作家である。農民を苦しめる公害企業に対する告発ではなく、その問題を如何にして解決しようかと協力し合った、明治から大正時代にかけての前向きな企業と地元民の青年群像であるという。この時代には周囲の事情で進学を断念するという事も少なからずあったことと思う。映画「ある町の高い煙突」として、2018年春撮影が開始され、2019年6月に公開予定だそうである。はらはらしながら読み進めたが、最後はハピーエンドであった。ちなみにこの煙害が硫酸を生成する脱硫装置の完成と設置で全く解決されたのは昭和26年のことで有ったそうである。

アマゾンの紹介文:

明治38(1905)年、買収によって茨城の地に開業した日立鉱山。やがて鉱山の宿命ともいえる煙害が発生。亜硫酸ガスが山を枯らし、農民たちの命である農作物までも奪っていく。

そこで、立ち上がったのが地元の若者・関根三郎である。郷士であった名家に生まれ、旧制一高に合格、外交官という夢に向かって進んでいた。しかし、祖父・兵馬が煙害による心労で倒れ、人生が変わる。こうして、地元住民たちと日立鉱山との苦闘のドラマが幕を開ける。

試行錯誤の末、1914年、当時としては世界一の高さを誇る155.7mの大煙突を建設し、危機を乗り切るのであった。

足尾や別子の悲劇がなぜこの日立鉱山では繰り返されなかったのか。青年たちの情熱と今日のCSR(企業の社会的責任)の原点といえる実話を基にした力作長篇。

Categorised in: 社会・経済