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2019年4月12日

10632:階級社会化する日本社会:アンダークラスの登場:記事紹介です

清澤のコメント:月間保団連の記事抜粋です。この著者の本には興味を惹かれて先に購入してありましたが、この雑誌記事で社会の底辺に置き去りにされたアンダークラスの存在に気付きました。記事の概要を読書メモ的に勝手に抄出してみました。

階級社会化する日本社会:アンダークラスの登場

早稲田大学人間科学学術院教授 橋本 健二 月刊保団連4、P4-10. 2019, No.1292.からの清澤がつくった抄出メモです。

近年、「格差社会」は現代日本を語る上で欠かせない言葉として定着しているが、実は1980年代から格差の拡大は始まっていた。この40年はどの間に日本社会は大きく変貌しており、もはや、格差という言葉だけでは捉えきれない状況になりつつある。「階級社会」をキーワードに働く人々を階級ごとに分類し、従来の階級に当てはまらない新たな階級「アンダークラス」が形成されていることを確認するとともに、このままこの階級の拡大を放置することの危険性を述べたい。

1、格差拡大の長期的トレンド

2006年「格差社会」が流行語になった。「日本では格差が拡大しており、拡大した格差がさまざまな問題を生み出すようになっている」という認識が、定着した。

が、気がつくのが遅すぎた。格差拡大はすでに1980年ごろから始まっており、2006年までには、取り返しがつかないほどにまで深刻化していた。終戦直後、生活保護率は高水準だったが、全体的に格差は小さかった。その後、地方と中小企業が経済復興から取り残されたから、格差は一時的に拡大した。格差は1975年から1980年にかけてが底。格差拡大が再開したのは1980年前後で、格差拡大は40年近くも続き、その結果、日本の社会は大きな変質を遂げた。

2、格差拡大を助長した政府

格差拡大の指摘は、1980年代後半だったが、「日本は一億総中流の社会だ」という認識が定着していて、信じられなかった。次の時代の危機は非正規労働者の増大。1980年代まで非正規労働者の中心はパート主婦だった。それ以外の非正規労働者も、学生アルバイトと定年後の嘱託が多かった。ところがバブル景気の時代、企業は非正規雇用を、それ以外にも拡大した。企業はコスト削減のため、非正規雇用を拡大することによって調達しようとした。それがフリーターの群れ。さらなる労働の規制緩和と富裕層減税が打ち出された。

3、格差社会から新しい階級社会へ

科学的な分析用語が「階級社会」。現代資本主義社会には次のような階級がある。経済構造は、資本主義セクターと自営業セクターから成り立つ。資本主義セクターは、①資本家階級、②労働者階級、③高度な技能や組織の中の高い地位をもつ新中間階級。そして④自営業セクターには旧中間層がいる。グローバリゼーションとサービス経済化が社会変化をもたらした。

発展途上国との競争を理由に賃金を引き下げ、非正規雇用を拡大する動きが始まる。企業は労働者をまともな生活者とも、次世代の労働者を生み育てる社会の支えてともみなさなくなった。こうして、労働者階級は上下に分裂した。階級構造の底辺に、低賃金で雇用も不安定な、新しい下層階級が形成された。これをアンダークラスと呼ぶ。こうして形成されたのが「新ししい階級社会」。

4、アンダークラスの実態

アンダークラスを「パート主婦を除く非正規の労働者階級」と定義する。2012年までに無配偶者が男性で3.04倍、女性で2.55倍に増加し、全就業人口の14.9%を占める巨大な集群となった。

アンダークラスは、極めて低所得で、貧困と隣り合わせで、今の生活に強い不満を持つとともに、肉体的にも精神的にも迫い詰められている。さらに、家族を形成して子どもを産み育てるという、ひとつの生物としての基本条件すら満たすことができない状態に置かれている。

彼らをこのまま放置するならば、日本社会には教育、住宅、医療、福祉、社会保障などあらゆる領域で、計り知れない困難が生み出される。個人の自助努力に任せるなら、悲惨な結果を生むのは明らかだし、公的施策によって援助するとしたら、莫大な財源が必要になる。事態はすでに、手遅れに近づいている。アンダークラスの拡大に歯止めをかけることは、現代日本の直面する最大の政策課題である。ここれによって消費は底上げされ、景気は回復し、社会は安定と安心を取り戻す。これは豊かな人々を含めて社旗全体の利益になる。

Categorised in: 社会・経済