お問い合わせ

03-5677-3930WEB

ブログ

2019年3月19日

10551:「日本の医療を考える」佐藤和宏 宮城県医師会長 聴講印象記

53病診連携研究会(昭和53年卒の同級生の集会です。2019.3.16 ホテルメトロポリタン仙台)
佐藤和宏 宮城県医師会長

眼科医清澤のコメント:昭和53年ころに卒業した同級生の医師が現在は宮城県医師会役職の多数を占めています。今回は最近医師会長に就任した佐藤さんのお話を仙台まで行って聞いてきました。聴講メモを元に概要を復元してみましたが、内容に補筆いただけると幸甚です。(演者の承認を戴けました。)

日本の医療費は莫大なものであるが、対GDP比で見れば、その技術料は国際的にもそれほど大きなものではない。私的な病院は構造的にその経営が危うい。それとは違って、営利会社である大手の薬局チェーンの薬剤費用に関するプレゼンスは大きく、「社会的共通資本を市場原理に晒してはならない」という原則に基づいて論ずるならば、そこには大きな問題がある。:という辺りが要点かと思います。最近の地域医療構想と地域包括医療システムの話も他所で聞いていますが、眼科は蚊帳の外という感じです。眼科としては、仙台市も日本眼科学会のモデル事業になっている眼科健診にこれからも力を入れてゆくことになるでしょう。

--講演要旨---
① 日本の医療費は41.3兆円
薬剤費がその3割、技術料は6割である。
医師会は医療費を上げるべきだと主張しているわけではない。
医療費の5割は保険料、公費は38%、自助11%。
20年前に比べると、社会保障費は2倍になった。交付税、教育費は減少、防衛費は増加。

② 医療費の動向
増税を踏まえて示されている。
2025年における医療費予測は1985年の141兆円が、2006年では65兆円に減ってきた。過大な予測をわざと出して医療費予測を高めようとしている?
名目値:労働や、医療需要などは対GDP比で述べるべきだ。
日本の医療費は世界6位で、対GDPでは10.6%だが、日本は介護費を含むから高く見える。
もう一つの視点は、歳入と歳出のかい離であって、ワニの口に例えられる。
43.1兆円は日本の高齢化率に比べれば、やや低めかもしれない。
1%の消費税増税で2.8兆、2%なら6兆だから、此の歳入歳出差は消費税を16%増税しないと間に合わないことになる。
日本の懐具合は国がマイナス48.3兆円、会社がプラス406兆円、個人はプラス1800兆円と、国民一人当たりの貯蓄が多い資産選好である。つまり、物を買わず金をためる傾向である。

③ 今までの医療費適正化
〇医薬分業政策に則ってきた:これが大手薬局チェーン拡大を齎した。
〇療養病床削減政策:宮城県では療養病床は少なかったのだが、全国一律にこれがなされたので、大混乱をきたした。
〇特定健診、特定保健指導:そのアウトカムは?
〇地域医療構想が上流を、地域包括医療システムが下流をなす。この施策での医療費適正化は無理か?

国策に乗って肥大化した薬局チェーンには問題がある。
社会的共通資本は市場原理に晒してはならない。(宇沢弘文)
その対応:提言
1、 院内処方への回帰
2、 営利と非営利を分ける
3、 大手薬局チェーンに対する調剤加算を厳しく制限する

〇高額薬剤に関する諸問題:オプシーボ亡国論
類似薬効比較方式と原価算定方式の2つが有る。
膨大な薬剤の研究開発費は本当か?という問題。

④ 医療費の抑制は必要か?
〇現在、民間の病院に利益はない
診療報酬本体は上げるべき
保険診療のルールは?医師国家試験にも保険診療のルールを問う問題は少ない。
〇高齢者医療
演者は700人程度を看取ったが、ACP(advance care planing 脚注)となったらまた問題は出て来る。家族と十分協議の上、補液のみを行うその他の選択肢を決める。家族、医療職で相談することになるが、

清澤の付ける脚注:

演者からのメール:「清澤先生、要約を載せて頂いて、誠に有難うございます。内容は、これで十分です。皆様の何かお役に立てれば幸いです。当日は、お蔭様で、楽しい時間を過ごす事が出来ました。」

〇医薬分業:その背景には、厚生労働省が医療機関に対する処方箋料と薬局に対する調剤報酬 を高めに設定し、医薬分業を誘導した。 数字を見る限り、医薬分業 によって、薬漬けといわれた状況が改善し、医療費改善効果があるようにみえるが、これらの指標だけで医薬分業政策の効果を測ることは難しい。

〇地域医療構想と地域包括医療システム??

〇アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning)意思決定能力低下に備えての対応プロセス全体を指す。患者が治療を受けながら、将来もし自分に意思決定能力がなくなっても、自分が語ったことや、書き残したものから自分の意思が尊重され、医療スタッフや家族が、自分にとって最善の医療を選択してくれるだろうと患者が思えるようなケアを提供すること

Categorised in: 社会・経済