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2019年2月11日

10459:2019年にテクノロジーが「国家主義の武器」になる:記事抄出紹介

201902100719

清澤のコメント:従来米国が主導してきたグローバリズムにタダ乗りして米国との覇権を争おうとするチャイナ・ソリューションに対して、米国ではそれを阻止しようとする動きが強まっています。この記事の要点を引用してみます。写真は朝の凍ったアスファルトの結晶模様。

◎2019年にテクノロジーが「国家主義の武器」になる、これだけの理由

米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

2018年は、米中テクノロジー対決の構図が鮮明化した1年だった。今年は、普遍的で開放的でグローバル化を促進する要因のテクノロジーが、国家主義や民族主義に奉仕する閉鎖的でローカルな「軍事的武器」へと変質してゆく。米中テック戦争でテクノロジーにまつわる自由な往来や取引を阻む「壁」が築かれる「パラダイムシフト」とは何か。 在米ジャーナリスト 岩田 太郎の記事

米中がそれぞれ“壁”を作り、テクノロジーは「国家主義の武器」に変わる

  1. 民生テクノロジーと覇権の不可分性
  2. 米国が築くテクノロジーの壁
  3. 「スパイ企業」、ファーウェイ
  4. 「自由貿易に乗っかった中国」に危機感
  5. テクノロジーが国家主義を加速する

、テック戦争、米中の“本音”

トランプ大統領の主張する「貿易赤字解消」や習近平国家主席が推進する「より開放的な自由貿易」といった言説は、覇権主張の隠れ蓑だ。 世界的支配力の源泉になるから、両国とも、次世代の民生テクノロジーの競争に勝利し、国内経済の成長を確保したい。米国は、中国の5G次世代通信規格や人工知能(AI)など最先端技術の市場を、貿易不均衡や安全保障を口実に奪い返そうとする。
 中国にとり、「自由貿易」や「一帯一路」「デジタルシルクロード」「チャイナ・ソリューション」などの平和的スローガンは、中国製プラットフォームや規格普及による世界市場支配、軍事覇権拡張のための“トロイの木馬”だ。 グローバル化促進要因の開放的テクノロジーが、国家主義や民族主義に奉仕する閉鎖的でローカルな道具へと変質してゆく。 

2、米国が築くテクノロジーの壁

米墨国境の壁より重要なのが、中国に対する「テクノロジーの壁」。 その壁に象徴的に阻まれるのが、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)。『環球時報』は、「5G分野で競争力が突出している華為を、米国が押さえ込もうとしている」と主張した。 

3、「スパイ企業」、ファーウェイ

 2018年後半には、米国の中国テック封じ込めが熾烈さを増した。米ブルームバーグ・ビジネスウィークの「米アップルや米スーパーマイクロ製品への、人民解放軍によるスパイチップ埋め込み」報道は、米世論の警戒心を高めた。華為技術には、すっかり「中国のスパイ企業」というイメージがついた。 
 2018年8月に成立した国防権限法により、米連邦政府機関は華為技術や中興通訊などの通信監視関連の機器・システム・サービスの利用、およびこれら指定企業のサービスを利用している企業との契約・取引を禁止される。 

 米国の国防権限法制定の大きな要因は、中国の国家情報法に、「いかなる組織及び個人も、国の情報活動に協力する義務を有する」との条項が存在することだとされる。  
 英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、日本では政府機関や民間通信業者による華為の通信機器の調達が取り止めになった。 排除は既成事実となった。 

中国勢は、グローバル市場や規格の制覇ではなく、本国や「一帯一路」経済圏の市場に押し込められる兆しが見えてきた。テクノロジーの世界に、欧米圏とは別の一帯一路圏という「ブロック化」が起こりつつあり、自由貿易の根幹が揺らいでいる。

4、「自由貿易に乗っかった中国」に危機感

中国の軍事的拡張が、自由貿易やグローバル化の仕組みを利用して行われている。 米国では一帯一路に軍事的な目的があると理解され、グローバル化の原則である「関与・提携・協力・同調」を基本とした米国の対中政策は終焉に近付いている。 「中国製造2025」の脅威が米論壇で語られ、中国台頭に障壁を高める対策が米国で勢いを得ている。 テクノロジーや研究者や開発者の自由な移動が制限され始めている。大学など研究機関での移民の雇用や就学も困難になりつつあり、テクノロジーは、国家主義の道具に姿を変えつつある。

5、テクノロジーが国家主義を加速する

 米国が仕掛けるテック戦争の中、習近平国家主席は、中国がテクノロジー分野で達成した功績を列挙し、「中国には困難を乗り越える能力がある」と宣言して「中国には自力更生が必要だ」と強調した。

 中国技術のグローバル化の困難さを率直に認識し、境界線内で力を蓄える構えを見せた。テクノロジーは中国人の国家主義的な感情を高める。 欧米市場から締め出された中国テック企業は、ますます一帯一路に活路を見出そうとする。 グローバリズムは意義を失い、テクノロジーは国家主義や民族主義の道具に収斂してゆく。

Categorised in: 社会・経済