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2018年4月22日

9797:シンポジウム 17 眼科医療の将来を見据えて:聴講印象記

シンポジウム 17 眼科医療の将来を見据えて:聴講印象記
2018年4月21日(土) 9:00-10:30 第3会場
オーガナイザー:村上 晶(順天大)
オーガナイザー:山岸 直矢(山岸眼科医院)

眼科医清澤のコメント:眼科医療に関連する多くの人々が、眼科医療費の改定に向けて働いてくださったことがよくわかりました。私個人としては、通院の困難な遠距離に住む患者さんのフォローアップがオンライン診療でできるようになることを期待していたのですが、難病指定の患者さんに限られたので、重症筋無力症程度しか関連性のある患者さんは見つかってはおりません。2025年問題というのが年金などに関してささやかれており、社会保障が一層維持しにくくなると恐れられているようです。以下に各演者の抄録の要点を引用しております。

◎団塊世代の全てが後期高齢者となる 2025 年(平成 37年)に向けて実質的に最後の診療・介護報酬同時改定となる平成 30年度改定は、地域包括ケアシステムを推進し、医療と介護について機能分化・強化、連携の充実を図る大切な機会となる。診療報酬本体 が+0.55%と、前回より+0.06%増加したものの、薬価が▲1.65%、材料価格が▲0.09%となり、ネットで▲1.19%の引き下 げとなった。 このような背景を踏まえ今回の日本眼科学会総会では「眼科医療の将来を見据えて」と題するシンポジウムを企画し、平成 30年度 診療報酬改定の説明に加えて眼科医療の将来への方向性を検討する機会とした。 厚生労働省保険局医療課長の迫井正深先生からは、医療政策の観点から地域医療構想、疾病構造の変化、医療技術の進歩と医療保 険財政の3点についてご講演いただく。 日本医師会副会長の中川俊男先生には、改定に際して社会保障を支える財源のあり方と今後の課題についてご講演いただく。 今回の診療報酬改定について眼科の立場では日本眼科学会の村上晶先生からは主に外保連ルートによって要望された眼科診療につ いての、そして日本眼科医会の野中隆久先生からは主に日本医師会ルートによって要望された眼科在宅診療についての、それぞれ の結果を総括して今後の対策と目標についてもご講演いただく。

◎S17-1 医療政策の視点から 迫井 正深 :厚生労働省保険局医療課
わが国の医療を取り巻く現状と課題は、大きく3つの視点から整理することができる。  1つには、地域差を伴い急速に進展する少子高齢化であり、これが地域医療構想、地域包括医療ケアシステムの構築へとつながって いく。2つ目は、ケアのニーズの明らかな変化。感染症主体から生活習慣病へと疾病構造が変わり、ライフスタイルや社会環境・核家族 化による社会構造の変革への対応であり、看取りへの対応、生活視点や地域力(自助・互助)の重視とつながっていく。3点目は、科学 技術の急速な進歩、技術革新を医療にどこまで反映させることができるのか、医療保険財政との調和をどう考えるのか。効果が高いがしかし費用もかかるような医療技術、更には、ICTを活用した遠隔診療やAiの導入など、科学技術の進歩のスピードと社会保障で賄 える経済の負担能力をどのようにバランスできるのか。  これらの視点を踏まえた、我が国医療の将来像を見据えながら、眼科医療の将来をどのように展望していくのか。「地域包括ケアシス テム」と「地域医療構想」を中心とした今後の地域医療の展開、そしてこれらの具現化において求められる、かかりつけ医機能や在宅医療の充実、そして将来に向けた遠隔診療の導入。このような医療政策のトピックスとともに、私見を交えながら概観したい。

注:立場上、お答えしにくい質問も有ったようです。良い技術でも新しい技術を取り入れてそれが医療費全体の増大を呼ぶのを許す積りはないようです。ダビンチはその導入に多くの資金がかかりますが、実際に有効で導入が進んでいるのであれば、其れでも従来の料金を請求できるようにしたという例がしめされました。

◎S17-2 社会保障を支える財源のあり方について 中川 俊男 :日本医師会副会長
本年4月に診療報酬と介護報酬の同時改定が行われた。厳しい財政状況であるが、国民が必要とする医療・介護を過不足なく受けら れる社会を構築し、国民が安心して医療や介護を受けられるよう必要な財源をしっかりと確保しなくてはならない。医療は地域の雇用 を支える重要な分野であると共に、経済成長のためには社会保障不安の解消が必要であり、消費税増収財源を社会保障の充実、安定化 に適正に使用しなくてはならない。 現在、我が国で個人消費が低迷している要因の1 つとして、国民が将来の社会保障に不安を感じていることが指摘されている。日本医師会では社会保障の充実によって国民不安を解消することを提言している。例えば、被用者保険の保険料率には大きな格差があることから、被用者保険の保険料率を協会けんぽに合わせると、約1兆円の財源が確保できる。また、企業の内部留保を給与に還元するこ となどを通じて、社会保障が充実し、需要の創出・雇用拡大や地方創生、経済成長につながり、さらに賃金を上昇させるといった経済の 好循環を生み出し、国民不安も解消していくと考えている。あわせて、たばこ税を増税して社会保障財源とすることや、さらには高所得者や現役所得並みの高齢者からもう少しご負担をいただく応能負担を徹底するなどの改革も進めていく必要がある。  講演ではこれらの最新情勢も含めて触れることとしたい。

◎S17-3 平成30 年度診療報酬改定と眼科診療 村上 晶 :順天大、日本眼科学会
平成30 年度診療報酬改定にむけて、日本眼科学会は眼科領域の基幹学会として、眼科関連の他の外保連加盟7 学会(日本眼科医会、 日本白内障屈折矯正手術学会、日本眼科手術学会、日本緑内障学会、日本弱視斜視学会、日本網膜硝子体学会、日本角膜学会)と連携し要望項目の取りまとめをおこない、外保連と通じて厚生労働省に要望を行いました。その過程で、外保連の試案の改定や新規術式・検査の登録など多くの作業が外保連委員の尽力で行われています。極めて速いスピードで進歩する眼科医療技術にとっては、2年というサイクルは長すぎる感もあり、新しい技術をいち早く診療報酬に結び付けたいところです。既存の技術と比較して、なにをもたらすこ とができるかのエビデンスを明確に示すこと容易ではありませんが、今回は、先進医療のなかで、実績を上げている、「前眼部三次元検査」などは収載にむけて期待されているところです。この抄録を記載している12月中旬
は、中医協での熱い議論が行われている最中ですが、本シンポジウムでは今回の改定の総括と次への目標を皆さんと考えたいと思います。
清澤注:今回の改定で変更になった項目には、、、
前眼部OCT(閉塞隅角緑内障例)、空間周波数特性(白内障手術前後に限る)、妊産婦加算などが挙げられてました。

S17-4 平成30 年診療報酬改定と眼科在宅医療 野中隆久:あかしな野中眼科
(公社)日本眼科医会では以前から眼科在宅医療を推進し、会員に対して、往診を含めた在宅医療に積極的に係るように啓発を続けてきた。  現実として在宅医療に係る眼科医が少ない理由としては、「時間がない」、「対象となる患者がいない」、「在宅では十分な眼科医療ができ ない」等の理由があるが、最も障壁となっているのが、「在宅患者訪問診療料」が「一患者一医療機関」しか算定できないことである。在宅となっている患者は、内科などの他科が「在宅患者訪問診療料」をすでに算定していることがほとんどであり、眼科で算定することはできない。しかし、「往診」で対応しようとしても、緑内障や糖尿病網膜症などは定期的な診察が必要なため、「定期的な往診」は 認められていない。  そのため、平成28年の診療報酬改定に際し「在宅患者訪問診療料の複数科での算定を可能とすること」「往診の算定要件緩和」を求 めたが、ともに実現しなかった。  しかし、日本医師会からの働きかけにより、厚生労働省の理解が得られ、平成 30 年改定では「在宅患者訪問診療料の複数科での算定」の可能性が見えてきた。  本公演においては、眼科在宅医療における平成30 年診療報酬改定の結果を総括したい。
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Categorised in: 社会・経済