細胞内液はカリウムが多く、細胞外液はナトリウムが多い。血漿と間質液を含めた細胞外液を構成する陽イオンは、ほとんどナトリウム。だから出血や嘔吐などで細胞外液が失われると、脱水(細胞外液欠乏:volume depletion)になる。つまり、水とナトリウムが失われる(図2左)。

もう一方のdehydration は本来の意味での脱水で、水分だけが失われていく病態。尿崩症や利尿薬などによって血漿や間質液から水だけが失われていくと、細胞外液のナトリウム濃度が高くなり、その差を調整するために細胞内から間質液、血漿へと水分が移動していく(図2)。

図2 脱水の種類は大きく2 つ 細胞外液から水とナトリウムが失われる「volume depletion」と、細胞内外の水が欠乏する「dehydration」に分けられる。     

◎この2つの病態を改善するにはどんな輸液がいいか?

細胞外液が失われた脱水(volume depletion) は生食やリンゲル液、細胞内外の水が欠乏した脱水(dehydration)は5%ブドウ糖液がいい(次ページ図3)。

生食や乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液などは細胞外液とほぼ同じ浸透圧になるようにナトリウムやカリウム、カルシウムなどの電解質が調製されているから、電解質と水は細胞外にとどまる。電解質は細胞膜のチャンネルを通じてではない限り、細胞内に取り込まれることはない。

一方、5%ブドウ糖液(※2)は、投与後にブドウ糖が代謝されるから水だけが補充されると考えていい。ブドウ糖が代謝されると浸透圧が下がるから、血漿から間質液、細胞内に水分が入っていく。

※2 5%ブドウ糖液の浸透圧 ブドウ糖液の濃度を5%にすると浸透圧が細胞外液と等張になる。蒸留水は浸透圧がゼロであるため、点滴すると溶血してしまう。
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「脱水」は2つに大別して考える:2017/7/6  中西奈美=日経メディカル
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/cadetto/magazine/1703-t1/201707/551960.html