お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2017年7月9日

9004:東京女子医科大学病院が22億円の赤字 転落のきっかけは医療事故

東京女子医科大学病院が22億円の赤字 転落のきっかけは医療事故

  • 東京女子医科大学病院が、22億円の赤字を計上したと報じられた
  • 転落のきっかけは、2014年2月の麻酔薬大量投与の医療事故だと筆者
  • 事故により、特定機能病院の承認が取り消されたことが一因だとした

  --要旨-都内の名門私立病院が、次々と経営難に陥っている。東京都新宿区にある「東京女子医科大学病院」は、医療事故を境に、2年間で19万人も外来患者が減った。その結果、3年連続の赤字に陥り、医師への給与も満足に払えない状況となっている。だが、これは女子医大だけの問題ではない。背景には医療制度の構造的な問題がある。――■賞与は「本給部分の1.6カ月」。東京の医療が崩壊するのは、もはや時間の問題。女子医大の吉岡俊正理事長:「平成28年度の収支差額は22億円の赤字で3年連続の赤字となりました」上半期の賞与は「本給部分の1.6カ月」(前年度は2.35カ月+扶養手当2カ月)。

■2歳児に麻酔薬を大量投与

女子医大の転落のきっかけは、2014年2月、2歳の男児が麻酔薬「プロポフォール」を大量投与されて亡くなった医療事故。だが、女子医大の危機意識は希薄で、派閥抗争に明け暮れた。

女子医大は、医療政策の被害者という側面もある。患者は増えるのに、医療費の総額が抑制されれば、医療機関の利幅は薄くなる。この政策が続けば、やがて破綻するところがでてくる。

■女子医大は例外ではない

もっとも「被害」を受けやすいのは首都圏の病院。田舎でも、東京でも医療費は同じ。医療費を下げ続ければ、真っ先に破綻するのは、首都圏の病院。

■日本医大の経営危機の深刻さ:

日本医大は、現在も東京を代表する医療機関で、脳卒中や交通事故など一刻を争う救急患者を治療する三次医療機関の中心を担う。

日本医大が公開している財務諸表によれば、2014年度158億円の赤字。日本医大は経営再建に懸命。「人件費を削り、医療収入を増やしている。経営は改善されつつあるものの、借り入れ体質は変わらない」。

首都圏の一流病院が経営難に陥ったきっかけは2014年の消費税増税。病院は医薬品などを仕入れる際、病院は消費税を負担するが、患者には請求できない。このため消費税が「損税」となってしまう。

■開業医が優遇され、病院が割を食う

生き残るには、必死にコストをカットするしかない。病院経営での最大のコストは人件費。特に問題となるのは看護師の人件費で、一般的に高給取り。

■都内看護師の平均年収は約523万円

都内の総合病院に勤務する25歳の看護師の給与は年収にすると約550万円。

看護師の給与には大きな国内格差がある。九州や東北地方の病院が首都圏に進出しているが、これは地方病院のほうが財務力に余裕があるため。

首都圏の病院のコストを切り詰めは?。実は、もっとも切り詰めているのが医師の人件費。東京には大勢の医師がいる。特に大学の場合、教授や准教授になりたい医師は掃いて捨てるほどいる。供給が多ければ、価格は下がる。

■准教授の手取りは30万円代

40代の大学勤務医師は生活のために、アルバイトにあけくれる。そのツケは患者が払うことになる。その結果が、医療事故。

■組織改革では医療事故はなくならない

首都圏の私大病院において、医療安全対策の最大の課題は「アルバイトの合間に診療する無責任体制」。女子医大の経営を考えれば、やむを得ない。医師の給与を下げるかわりに、アルバイトを許可しなければ、やっていけない。

■東京の高度医療を担う私大病院の危機

組織論や職業倫理だけでは改善しない構造的な問題。医局員の立場にたった実効性のある対策が必要。東京の医療の中核を担っているのは、私立の大学病院。東京の高度医療は、私大病院が担っている。だが、私大病院は、経営が悪化すれば「倒産」するしかない。女子医大や日本医大は、その瀬戸際。経営者の責任追及だけでなく、患者保護の視点から建設的な議論が必要。

(医療ガバナンス研究所 理事長 上 昌広)記事から抜粋:

ーーーーー


Categorised in: 社会・経済