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2016年12月4日

8378:日本一のブラック企業「病院」、人材が海外流出:記事紹介

日本一のブラック企業「病院」、人材が海外流出

低賃金でこき使われる若手医師、将来の開業もはや夢に 2016.11.25(金)という上 昌広氏の記事(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48469)が出ています。面白い着眼点と思いますのでその記事の要点と私の感想を採録させていただきます。
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◎2006年の国立保健医療科学院の研究によれば、週の平均労働時間は、20歳代の男性医師が85時間、女性医師が78時間。法定労働時間は週40時間であり、この状況は早急に見直すべきだ。しかし若手医師のサービス残業を念頭に医療システムが設計されているから、この改善は難しい。

◎低賃金でこき使われる若手医師
 給与は年功序列。大学病院の場合、20~30代の年収は300万~600万円、40~50代で800万~1000万円くらい。市中病院では、それぞれ600万~800万円、1500万円くらい。病院経営は「若手が働き、年寄りを養う」構造である。

 構造が似たのがプロ野球界だが、医師がプロ野球選手と違うのは、「現役」の勤務医よりも、「引退後」の開業医の方が収入が高いこと。しかし、最近、この戦略が通用しない。一部地域で、開業医の数が充足し、新規開業の余地がなくなったから。

◎開業する夢も消え・・・
 診療報酬が抑制されれば、物価の高い都市部ほど経営は不安定になり、都市部の勤務医は開業せず、勤務医を続ける。1990年に40.3歳だった勤務医の平均年齢は、2014年には44.2歳に上昇している。

国際聖路加病院では、労働基準監督署が入り、未払いの残業代を支払うこととなった。同病院の財務は悪化した。これが前年度まで約130億円の利益を上げていた名門病院の実態。問題の抜本解決には、医師が生み出す付加価値に給与体系を合わせるしかない。

著者は、若手医師に「男性の場合は40代以降、女性の場合は出産後のセカンドキャリアを考えるように」と指導しているという。特技を身につけること、信頼できる仲間を持つこと、および今後需要が高まる分野での仕事にチャレンジすること。特技なら白内障手術もお奨めだと。(★2)

◎若い時代に働く場所が医師の未来を左右

 大型の手術は、初期投資が大きく、施設は限られる。そのような施設のスタッフ医師の枠も、すでに飽和している。診療科と同じく、働く場所も重要。都市部の将来は暗い。病院経営は悪化し、ブラック労働が常態化し、若手医師が集まり過ぎて、経験を積めない。東北地方の太平洋側民間病院を推奨。

◎中国や東南アジアを目指す若手医師たち

 中国をはじめ、アジアで医療ニーズが高まることは言うまでもない。現在、習近平政権は医療改革の真っ只中で、規制緩和を実行中だという。(★3)

眼科開業医清澤のコメント:
記事の著者は、経歴を拝見すると立派な経歴を持つその道のエキスパートで、新聞記者が思い付きを記事にしたものではありません。

★1:確かに大学勤務時代に比べ終業時刻は早くなりました。仕事時間は毎日午前8時から午後7時ですから、空き時間はないですが、夕方7時の診療が済めば、そのあとの病棟診も、講義準備も、研究もまた研究指導も要らずです。私は好きで研究にはいまだに首を突っ込んでいて、共著なら年に数件あります。敢えて言えば、開業医は医院運営や経理に伴う心労が無視できれば、大学勤務医よりはるかに体は楽です。

★2:開業時に白内障手術の装置を自前で用意しなかったことは残念でした。当時はオープン病院の利用を考えましたが、それを継続するのはむつかしかったです。私の場合の特技は皆さんには不人気であった「神経眼科診療」でした、今はこれに助けられています。

★3:今年の夏にかつての留学生に呼ばれた招待講演に訪れた中国(上海)では、医師への経済的評価は他業種に比べて低いそうです。それではわざわざ移住する意味はなさそうです。診療には言葉の問題もありますから、先端医療ができても、現地の医師に技術を教えるまでの数年間しかアドバンテージは続かないと思うのですが如何?
 また将来大医学に残ろうというような奇特な人以外は、今の都市部在住の若い医師ならまず留学などしたがりません。田舎に行くのが嫌だというのと同様に、生活に不自由があるかもしれない外国なら、ニューヨークでも住むのは嫌だという人がほとんどでしょう。まして現在の収入よりも安い奨学金で暮らせって?というところでしょう。

Categorised in: 社会・経済