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2016年10月16日

8233:「ドイツ発の世界経済危機」が現実味:記事2報の紹介です

imagesSH50HHSK この次の世界経済危機は中国発か?と思っていましたが、「ドイツ銀行の破綻」がその引き金を引くかもしれないという記事が出ています。
その引き金はオクトーバー(10月)にサプライズがあってという人もいます。2つの記事を短縮して引用します。
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1)2016.10.15 連載 連載 渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」.

「ドイツ発の世界経済危機」が現実味…アメリカに潰されるドイツ 文=渡邉哲也/経済評論家.

【この記事のキーワード】CoCo債, アメリカ, ドイツ, ドイツ銀行, ヨーロッパ, 銀行.

◎ドイツ銀行の信用不安が再燃。

モーゲージ担保証券(MBS)の不正販売問題について、アメリカ司法省から最大140億ドルの罰金の支払いを求められた。

 ドイツ銀行は、ドイツ大企業のメインバンクで、ドイツ最大の銀行。最終的には40~50億ドルの支払いで合意すると見られるが、その場合はドイツ銀行が準備済みの引当金(約50億ドル)の範囲内に収まる。情報の出どころがはっきりせず、実状が見えてこない。

 構図としては、引当金内に収まる金額で解決したいドイツ銀行と、妥協したくないアメリカ当局というかたち。

ドイツ銀行の危機は自国の金融市場にとってもリスク要因である上、世界の市場を混乱させることにもなる。

◎欧州の銀行が行った“会計のマジック”

 今回のドイツ銀行の危機の背景には、ヨーロッパの金融機関全般が抱える構造的な問題がある。

 リーマン・ショック後の08年10月、ヨーロッパの金融機関は会計基準の変更を施行。保有する債権を「満期目的」と「その他」に再分類。不良債権が減少し続ける状況下であれば問題ないが、逆の場合は非常に危険な手法。ギリシャの債務危機では、この会計基準の変更で、各銀行は損失の計上を逃れることができた。

 ヨーロッパは銀行の自己資本比率規制の厳格化(バーゼル2・5)の実施を延期し、さらに厳しい「バーゼル3」の実施も大幅に延期。すべての主要銀行が自己資本の基準を満たしていなかったから。

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2)信用不安がユーロ圏全体に連鎖の危機も

 また、最大の問題は、ハイブリッド証券の一種である「CoCo債」。ハイブリッド証券とは、債券と株式の両方の顔を持つ金融商品で、状況によって債券にも株式にもなるため、銀行の自己資本に組み込むことができる。

 CoCo債は、銀行の経営が健全なときは債券として扱われ、高い利回りが期待できる。しかし、自己資本不足に陥るなどしたときは、デット・エクイティ・スワップ(DES)による株式転換や減額が行われる。

 ヨーロッパの銀行は、自己資本増強のために大量にCoCo債を発行(約1020億ドル)し、証券会社や金融機関は「安全で高利回りの商品」というふれこみで販売した。それによって、株価の下落を防ぎながら自己資本を厚くした。

 「ヨーロッパの銀行の経営は危うい構造:今年2月にドイツ銀行のCoCo債の一種「AT1債」(約46億ユーロ)が、債券から株式に転換されそうになった。これは、一種の債券のデフォルトであるため、CoCo債の信用が一気に低下することになった。

 そのため、これまで銀行の自己資本増強に使われてきたCoCo債の新規発行は難しい状態になり、「増資が必要=株式の希薄化=株安」という流れが生まれている。現実的には公的資金の注入が必要になるだろう。

 ドイツひいてはユーロ圏全体の信用不安にも連鎖しかねない。早い段階で方策を打つべきだが、ドイツ政府は救済を否定している。

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◎2016.10.16

2)ドイツ銀行「解体」危機で世界経済が混乱か…メルケル首相、「自滅」同然の救済否定

文=渡邉哲也/経済評論家.

【この記事のキーワード】アメリカ, アンゲラ・メルケル, ドイツ銀行, ヨーロッパ, 信用不安.

 前回記事では、会計基準の変更や自己資本比率規制の厳格化、そしてハイブリッド証券の一種である「CoCo債」などを通じて、ドイツ銀行が危機に陥った経緯を見てきた。

◎ヨーロッパの銀行は、ほかにも問題を抱えている。日本やアメリカとの最大の違いでもあるが、「銀証分離」がなされていない。アメリカでは、世界恐慌後の1933年に「グラス・スティーガル法」が制定され、商業銀行と投資銀行(証券)が分離することとなった。日本も、アメリカにならうかたちで商業銀行と証券会社は分離されてきた。

 しかし、ヨーロッパには銀証分離を定める法律はない。一部門が赤字になれば、被害が広範囲に及びやすい。

◎自ら問題を深刻化させるメルケル首相

 国際通貨基金(IMF)は、ドイツ銀行の一連の問題について「事業モデルが今後も実行可能であると投資家に説得する必要がある」と指摘している。

 現実的には、不良債権を買い取る「バッドバンク」と不良債権を切り離す「グッドバンク」に分割し、さらには銀証分離を行う必要がある。

 つまり、一種の「解体」。ドイツ政府は救済を否定。ドイツ側にできるのは「世界の金融市場に波及するリスク」というカードをチラつかせることぐらい。(文=渡邉哲也/経済評論家)

Categorised in: 社会・経済