お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2016年7月27日

7994:中東を反米親露に引っ張るトルコ(田中宇ニュースレター)を読みました。

webw160721-turkey-thumb-720xauto
「トルコにおけるクーデターの失敗は民衆が現政権を支持したというよりも、現大統領が自分の権力を強化するために、むしろ未熟なクーデター発生を黙認してつぶした。トルコ国内ではクーデターの後始末として親西欧派を排斥しており、トルコ自体も米国との距離を置いてロシアにすり寄ろうとする動きを見せている。」という解説を田中宇氏は『中東を反米親露に引っ張るトルコ』(https://tanakanews.com/160726mideast.htm)という 2016年7月26日のニュースレターで明らかにしています。西欧系のメディアも、反乱の後始末において多くの公務員などが解雇や残虐な迫害を受けているということを伝えており、実際の事態はそのようなものであるのかもしれません。
kawakami160718-thumb-720xauto

記事の要点:
 7月15日のクーデター未遂事件以来、トルコは「米国敵視」と「イスラム化」への道を猛然と進んでいる。

 トルコのエルドアン大統領は、米国亡命中のトルコ人イスラム指導者ギュレン師をクーデター画策の黒幕だと決めつけ、「ギュレンをトルコに送還しろ」と米国に喧嘩を売っている。エルドアンは、自分の独裁を批判する勢力をすべて「ギュレン派」とみなして逆批判する傾向だ。

 トルコでは米国犯人説が信じられている。多くは「米国やNATOがギュレンと組んでクーデターを起こそうとした」と思っている。トルコの政府と世論は、クーデター後「米国批判」から「米国敵視」へと、一線を越えて進んでいる。

▼喧嘩を売って米国の弱さを露呈させる

 エルドアンは最近、昨秋から仲が悪かったロシアと仲直りしており、米国(NATO)と組むよりロシアと組んだ方が得策と考え始めている。

 トルコが米国をなめてかかって喧嘩を売るのは、もはや中東において、米国に追随していても利益がなく、ロシアに擦り寄った方が安保戦略上良いからだ。シリアは、完全にロシアの影響圏になった。米国に倒されかかったアサド政権がロシアの軍事進出に救われて健在で、シリア内戦はロシアとアサドの勝利になっている。米国のアサド打倒に便乗したトルコは負け組になって馬鹿を見た。

 イランは、イラクやレバノンにも強い影響力を持っており、露イランの同盟体は、中東の北半分を支配している。エジプトも、軍事政権の復権後、米国に見放されてロシアに拾われ、ロシアの傘下に入っている。アフガニスタンやパキスタンは、ロシアの盟友である中国の影響が強まっている。サウジアラビアなどペルシャ湾岸産油諸国は一応まだ親米国だが、ロシアとも関係強化している。イスラエルですら、北隣のシリアがロシアの傘下に入った昨秋来、米国を見限ってロシアに擦り寄っている。

 トルコは米国に対してより先に、欧州(EU)に対し、昨夏以来の難民危機で、相手をなめてかかるかたちでの喧嘩を売っている。EUも、トルコを非難しなかった

▼クーデターを使って親欧米派を一掃する

 エルドアンのもう一つの危険さは、クーデター後、エルドアンがトルコ社会のイスラム化を扇動することで、トルコ国内から「リベラル派」「親欧米派」を一掃しようとしている点だ。

 7月16日未明、クーデターが失敗した一因は、エルドアンを支持する無数の男たちが、未明の街頭に出て反乱軍の戦車を取り囲み、クーデターを失敗させた。意図的に政治混乱を引き起こし、それを市民パワーで乗り越えさせ、市民を指導する形で指導者が独裁的な権力を握るシナリオは、中国で毛沢東がやった文化大革命や、イランでホメイニがやったイスラム革命を思い起こさせる。

 騒ぎの最大の受益者は、稚拙な反乱軍でなく、やられかけたエルドアンと、彼に忠誠を誓うイスラム主義の政治勢力(与党AKPの支持者群)である。騒ぎの最大の敗北者は、トルコ全体のリベラル派、親欧米派である。

エルドアンを批判したり、クーデターが政府のやらせであると発言すること自体が「クーデター加担者」「売国奴(欧米のスパイ)」とみなされ、攻撃や取り締まりの対象にされている。エルドアンは、親欧米的な勢力の発言権や権威を根こそぎ剥奪している。クーデター後、エルドアンが試みる荒治療的な欧米リベラル覇権主義からの離反は、中東の新たな方向性として注目すべきである。

▼無駄だった百年の欧米擦り寄りを終わらせる
 エルドアンは、欧米の一部になることを目指してきたトルコのこの百年の世俗リベラル主義への信奉を丸ごと破壊し、百年間使われていなかったイスラムに基づく政治社会システムを再導入する試みをやろううとしている。そのための大胆な策として、今回のクーデター騒ぎが使われている。

 中東全域で、米国離れやロシアへの擦り寄りが見られる。トルコはもともとイランやサウジと友好関係にある。今回ロシアやイスラエルと和解し、今後アサドやエジプトを容認すると、トルコは中東のすべての国々と協調できる。ロシアと協力し、サウジとイラン、イランとイスラエルの対立を仲裁できる。トルコとロシア、イランが協力すれば、中東を安定化することができる。これは、欧米(英米)がこれまで中東を分断・内乱させて弱体化し、支配してきたのと全く逆の方向だ。

 トルコの反米イスラム主義が期待できるもう一つの点は、アルカイダやISISといったテロリストを一掃できるかもしれない点だ。アルカイダやISISも、トルコも、一見すると、同じ反米イスラム主義に見える。だが実態は全く異なる。アルカイダやISISは、米国(米英)が作ったテロ組織だ。
ーーーーー
清澤のコメント:いかがですか?全く正鵠を射ているようではありませんか。

Categorised in: 社会・経済