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2016年4月21日

7671:嘉山には国立がんセンターの存在価値を取り戻す明確な構想があった

d0331556_985229 前田 洋平 著 『国立がんセンターでなぜガンは治らない?―闇に葬られた改革』 文藝春秋(2015/11発売) 文春新書

『嘉山には国立がんセンターの存在価値を取り戻す明確な構想があった。

 他のナショナルセンターもふくめて統合し、国の医療の仕組みを根底から大きく変えようとしていたのだ。

 6つのナショナルセンターを統合して、財政や人事に限らず完全に独立させるという構想を抱いていた。それは、日本の医療の構図を大きく変えうるもので国立がん研究センターの理事長だからこそ成し遂げられる改革だと考えていた。』

 それまでのがんセンターは肩書きばかり多い複雑怪奇な組織、税金を使っていると思えないずさんな帳簿管理、得体の知れない工事とそれにぶら下がる業者、厚労省の意図する研究ばかりする研究者など、まさに国立がんセンターは厚労省の従属的な機関に過ぎなかった。

 しかしすべては「がん患者のために!」というスローガンを掲げ、真剣に患者に向き合う改革をセンター内で嘉山は行っていく。

 国立がんセンター時代668億円もの債務を抱えていたにもかかわらず。名称を国立がん研究センターと名称を変え嘉山が理事長に就任した改革初年度に25億円の黒字まで達成し、2010年度業務実績評価では国立高度専門医療研究センターの中で最高の評価を得るまでになっていった。

 さらに嘉山はがんや感染症など国民の健康に重大な影響がある疾患の最先端研究と治療を行う厚労省直轄の機関、国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センターの六つのナショナルセンター(NC)を統合し、現場に即した医療の実現を目指そうとした。嘉山のいる国立がん研究センターはその司令塔となる。しかしこの統合はいわゆる日本の医療のグランドデザインをこれらのNCが担うことになり、厚労省の立場がなくなってしまう。

 結局嘉山が仙石に「厚労省をぶっつぶすつもりでやってもらいたい」と依頼され、理事長に就任したのに、ここにきて嘉山の改革「厚労省が無くなってしまう」という危機感を官僚なり、その利権にぶら下がる政治家、業者の反対があり、二期目の理事長選挙に落選してしまう

清澤のコメント:

東北の血が騒ぐのを感ずる本です。

がん研の嘉山理事長は民主党政権時代の一時の夢だったのでしょうか?

眼科の先輩の若倉先生も、「短期間で潰えてしまったが、民主党政権時代の厚生行政には、自民党政権時代とは異なってそれなりに見るべき点が多かった。」ということをおっしゃいます。

 この新書版の本は、このブログの読者の皆様にはぜひおすすめしたい一冊です。
 また、嘉山先生にはご自身のペンで、ご自身の主張をまとめた一般向けのご著書も著していただきたいと思いました。

関連記事です:

2010年01月31日⇒リンク1256 嘉山孝正先生が国立がんセンター理事長に就任することが固まったそうですhttps://www.kiyosawa.or.jp/archives/51410785.html

Akbarihamed A, Kiyosawa M, Kayama T, Tamai M,: “Alternating skew on lateral gaze (Bilateral adducting hypotropia)” Neuro-ophthalmology. Volume 12, Issue 3 June 1992 , pages 141 – 145

Categorised in: 社会・経済