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2016年4月14日

7650;「パナマ文書」問題に各国が本腰を入れない理由(山田厚史)という記事

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7650「パナマ文書」の税逃れ問題に各国が本腰を入れない真の理由(山田厚史)という記事が出ています。 2016年4月14日

 タックスヘイブンに隠匿された資産の一端を暴いた「パナマ文書」が世界を震撼させている。アイスランドで首相が辞任、英国ではキャメロン首相が窮地に立たされている。ロシアのプーチンも中国の習近平も強烈なボディーブローを食った。ーー

◎「伊勢志摩でタックスヘイブン対策」も茶番に終わる公算が大
タックスヘイブンは2013年に北アイルランドで開かれたG8サミットで主要議題として取り上げられた。議事を仕切ったキャメロンは、形ばかりの対策で問題を先送りした。タックスヘイブンの裏でロンドンの金融街シティが重要な役割を演じているからである

◎ロンドン金融街シティと英政府、タックスヘイブンの密接な関係

製造業が衰退した英国は、サッチャー政権の下でシティの大改革「金融ビッグバン」に踏み切る。ーーサッチャー首相は「自己責任」を掲げ、金融の自由化に舵を切った。典型が「オフショア市場」だ。シティの銀行が扱う「海岸線の外側での取引」にサッチャーは活路を見出した。

◎名義だけがタックスヘイブンにあり、カネを運用するのはシティの投資銀行、という仕掛けだ。

 パナマ文書の漏洩元であるモサック・フォンセカ社は、「口が堅いことで知られていた」という。聞かれても言わないで済む、強い後ろ盾があった。背後には、顧客を紹介し、その財産を管理・運用する銀行が控えている。

◎英国と香港のコネクションから習近平首席らの名前も浮上

パナマ文書には、モ社が1万5600社のペーパーカンパニーの設立にかかわった記録がある、という。スイスのUBS、クレディスイス、英国のHSBCなどが関係していた。スイスの銀行は元祖タックスヘイブンである。永世中立の国家を盾に個人情報の秘匿を売りに世界から資金を集めていた。ナチに処刑されたユダヤ人の資産を独り占めにしたことや脱税協力などが問題にされ、海外のタックスヘイブンとの連携が必要となった。

◎英植民地ネットワークで中国マネーを取り込む

◎近代資本主義・民主主義からの明らかな逸脱 タックスヘイブンは金融危機とも無関係ではない

◎隠匿資金は決して眠ってはいない

高額所得者は、それなりの納税をして国家社会を支える、ということは民主主義の要ではなかったか。金持ちはタックスヘイブンで合法的に節税ができるが、中・低所得者は厳格に徴税される、という仕組みで社会は成り立つのか。勤勉と公正を大事な価値として発達してきた近代資本主義や民主主義の思想から明らかな逸脱が起きている。

「タックスヘイブン――逃げてゆく税金」(岩波新書)の著者、故・志賀櫻氏は、「タックスヘイブンは金融危機と無関係ではない」と筆者に次のように力説した。

「10兆ドルともされる隠匿資金は決して眠ってはいない。儲け口を求め世界を駆け巡り、ある時は通貨、またある時は株式に流れ込み、マネー奔流が市場を不安定にする。バブルをかき立てるのは国境を超える投機資金です」

 投機資金の暴走を抑えるため、金融機関には様々な規制が設けられている。それでは商売にならないと業者の要請を受け、サッチャー以後「規制緩和」が金融ビジネスを全開にした。合言葉は自己責任。タックスヘイブンは新自由主義経済が産んだブラックホールでもある。

 投機資金の暴走が招いた典型がリーマンショックだった。加担した銀行・証券は壊滅的打撃を受けたが、自己責任を果たせなかった。公的資金が注入され救済されたのである。

 大金持ちは税金を免れ、銀行はタックスヘイブンを利用してカネを呼び込む。隠匿された投機資金が暴走しても銀行は救われる。投入されるのは納税者のカネだ。負担はいつも中・低所得者。これでは世の中おかしくなる。

 元財務官僚として国際租税の歪みと戦ってきた志賀は昨年末、急逝した。著作の末尾に書かれた一節をここに記す。

「タックスヘイブンは、富裕層や大企業が課税から逃れて負担すべき税金を負担しないことに使われ、犯罪の収益やテロ資金の移送に使われ、巨額の投機マネーが繰り広げる狂騒の舞台にも使われている。その結果、一般の善良かつ誠実な納税者は、無用で余分な税負担を強いられ、犯罪やテロの被害者になり、挙句の果てにはマネーゲームの引き起こす損失や破たんのツケまで支払わされている」

 政治は誰が動かしているのか。パナマ文書は民主主義の在り方を問うている。

Categorised in: 社会・経済