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2021年8月1日

13021:糖尿病網膜症に初のガイドライン【時流◆糖尿病診療のone more step】記事紹介

糖尿病網膜症は現在日本の失明原因4位ですが、最近は診断と治療法の高度化に伴いその概要が変わって来ました。解説記事を抄出採録します。私の医院でも、15年前開院時の眼底カメラと倒像鏡だけの診療から、初期タイムドメインOCT導入、網膜専門医の治療参加、レーザー光凝固装置導入、硝子体注射(抗VEGF抗体)開始、OCTアンギオ導入を伴うスぺクトラルドメインOCT機種への更新と、治療環境も日々進歩しました。眼科診療所も2極化しています。今後のこの記事の続編に期待します。

   ーーーー記事の概要ーーーー

糖尿病診療のone more step -Vol.1

糖尿病網膜症に初のガイドライン【時流◆糖尿病診療のone more step】

愛知医科大学・瓶井資弘氏による解説―

Vol. 1m3.com編集部2021年7月31日 (土)配信瓶井資弘氏

 糖尿病治療薬が出そろい、心血管疾患リスクの低減を目指す管理のハードルが下がっている。一方で、最新のエビデンスや技術革新を目の前の患者に取り入れ、健康寿命の延伸を図るためには、医療現場における「one more step(あと一歩)」の工夫や診療技術が欠かせない。

第1弾は2020年12月に初めて発刊された『糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)』(以下、GL)の作成委員長を務めた瓶井資弘氏(愛知医科大学眼科学講座教授)に、GL作成の背景やポイントなどを聞いた。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・坂口恵/6月24日取材、全3回連載)

初のGL策定の背景3つの重症度分類が併記された理由

――初のGLが作成された背景を教えてください。

 糖尿病網膜症は非常に患者数の多い眼疾患の一つで、それが逆に日本でのガイドライン作成のハードルになっていました。

――今回のGLでも糖尿病網膜症重症度分類が3つ示されていて、「それぞれの分類が互いにどう対応するのか理解しておくことが異なった施設間での情報共有や病期の進行把握に重要」との記載があります。

 日本国内で使用されている重症度分類だけでも少なくとも3つが混在していたのですが、今回は国際重症度分類とDavis分類、そして日本固有の新福田分類の3つに絞りました。

――それぞれの分類の特徴や意義について教えてください。

 国際分類は、海外での学会発表や英語論文には必須。Davis分類は日本で一番使用頻度が高いと。新福田分類は治療後の症状がある程度落ち着いた人の分類などが細かく、臨床に即している。

 現状および将来を考えると、欧米で大規模臨床試験が国際分類に基づいて行われていて、国際分類を取り入れていかざるを得ない。本邦でのまとまったデータが少ないので、臨床的疑問(CQ)に基づくエビデンスレベルの評価や推奨の強さが評価できず、教科書的な内容にとどまった。

「自分の診療が適正か、振り返る機会に」

――臨床現場からは「GLが必要」という声はなかったのでしょうか。

 日本糖尿病眼学会では、日本眼科学会でいろいろな眼疾患GLの整備が進む中で、よりコモンな糖尿病網膜症のGLも必要だろうという声はあった。小椋祐一郎先生がGL作成の指示を出した。

――臨床現場では多くの眼科医がそれぞれの機関の指針に基づいて診療経験を積んでいるので、そういう声はあまり大きくなかったということか。

 これまではGLがないために、自分の診療がどの程度適正かを振り返る機会があまりなかったとも言える。ガイドラインに法的拘束力はないが、「どのような診療が今、標準的なのか」を示す意味では、意義ある内容になっている。

糖尿病網膜症の疫学の変遷他の失明原因疾患と違う怖い点

――糖尿病網膜症はかなり前から中途失明の原因上位を占める原疾患の一つですが、最近の疫学の変化は?。

 「2000年前後の比較では2000年以降、世界的に有病率が低下している」と記載した。現場でも重症例は減っている。しかし、糖尿病網膜症患者が多いのは変わらない。視力低下する患者も減っていない。失明原因としては、以前は2位だったのが、最近は緑内障や加齢黄斑変性に取って代わられ4位に下がったた。緑内障や加齢黄斑変性と糖尿病網膜症による失明には大きな違いがある。前二者と比し、糖尿病網膜症は早いと40歳代で失明することも少なくない。家族も生活が大変になる。

内科との連携による早期治療が重症例の減少に寄与

――重症例の減小に、内科での糖尿病の全身管理が改善したことが関与しているのか?。

 内科医師が糖尿病患者に眼科受診を勧める連携がこの20-30年でかなり進んだ。
 もう一つ、重症例が減った要因として、眼科でのレーザーによる網膜光凝固術がクリニックにも広く普及し、早期治療が行われやすくなった。失明高リスク例に対して行われる硝子体手術の成績向上が寄与している。以前は硝子体手術を行っても0.1が見えるか見えないか(=法的失明)くらいのレベルだったが、最近は手術後の矯正視力が平均で0.6レベルまで改善している。

OCT普及で早期から視力低下の予測が可能に

――早期治療が重症例の減少につながっている。診断については。

 今回のGLで紙面を割いたのが、糖尿病網膜症の糖尿病黄斑浮腫に関する記載。初期の単純糖尿病網膜症と呼ばれる段階でも黄斑部に浮腫だけが起こる人がいる。一方、増殖期でも黄斑部は悪くない人もいる。

 黄斑部の中心窩に浮腫が及ぶかどうかで、視力低下のリスクが判定できる。糖尿病黄斑浮腫の総数は変わってないが、高リスクの黄斑浮腫を持つ人の割合が増えている。理由として、光干渉断層計(OCT)が広く導入されてきていることが挙げられる。2000年以降、クリニックにも普及することで、全国で黄斑浮腫の検出が早く正確にできるようになってきた。糖尿病黄斑浮腫も分類が4つある。異なる分類同士の診断基準がどう違っているか、網膜専門医間でも議論があった。GLには、網膜を専門としない医師にも分かりやすいよう、詳しい画像と解説を盛り込んだ。(つづく)

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Categorised in: 糖尿病網膜症・加齢黄斑変性 (網膜疾患)