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2020年10月2日

12315:矯正できない「病的近視」 日本人で高い発症率判明 検査と受診継続が大切

眼科医清澤のコメント:久山町スタディーという眼科のコホートスタディーがあります。この記事はそれに携わった九州大学の先生のレポートと思われます。

  ---記事抄出---

2020.10.1 16:09 日本人には近視が多い。ほとんどは眼鏡やコンタクトレンズで矯正できるが、一部に矯正できない「病的近視」があり、視力障害の原因の13%を占めるという。世界でも増加傾向にあるこうした病的な近視について、九州大グループは、福岡県久山町での大規模疫学研究を基に、日本人では発症率が高いことを突き止めた。早めの検査と受診継続を呼び掛けている。

 

  ▽1・1%
 目の網膜の中心部で視細胞が集まっている場所を「黄斑」と呼ぶ。強い近視の人では、この黄斑に組織の萎縮や血管障害などの病変が現れることは知られていたが、病気として国際的に定義されたのは5年前と比較的新しい。
 九大大学院の上田瑛美さん、二宮利治教授(衛生・公衆衛生学)、園田康平教授(眼科)のグループは2012年、研究への参加に同意が得られた40歳以上の同町民で身長、体重、体格指数(BMI)、血圧や血糖値、喫煙・飲酒・運動の習慣などのデータを取った。さらに、目の屈折率と、眼球の角膜から網膜までの長さ(眼軸長=がんじくちょう)を計測。眼底写真を撮影した。
 その時点で近視性黄斑症と診断された人を除外し、5年後の17年に2回目の目の検査ができた計2164人を分析の対象とした。初回検査時の平均年齢は62歳で、女性が57%だった。
 その結果、5年後に新たに近視性黄斑症と診断された人は24人、全体の1・1%。これは、アジア各国で報告された5年発症率0・08~0・12%より大幅に高かった。研究手法や機器の違いから一概に比較できないが、日本人がこの病気になりやすいことが示された。人種間で比較できる研究の第一歩となる成果だ。
 ▽眼軸長と加齢
 さらに研究グループは、多くの要因のうちどれが発症リスクになるかを分析したところ、眼軸長と加齢が影響しているとの結果に。性別では男性がやや発症率が高かったが、統計的には差がなかった。その他の項目は、発症率には影響していなかった。

 

 園田教授によると、近視では、レンズに当たる角膜と水晶体を通った光が、網膜よりも手前で像を結ぶ。眼軸長が長くなるほど近視の程度も強くなるのだという。
 「眼軸長が伸びると、眼球が物理的に引っ張られて、目を覆う膜に力が加わる。それが黄斑症を進展させている可能性が示唆されてきたが、眼軸長が伸びるほどリスクが高いという今回の研究結果はそれを裏付ける」と園田さんは話す。
 今回の研究結果を基に各国で同様の調査、リスク分析が進めば、この病気の特性や典型的な進行の仕方の解明につながると期待されるという。
 ▽格子模様を見る
 中年以降の強い近視の人は注意が必要だ。
 園田さんが勧めるのはまず、積極的な眼科受診だ。特に中年以降の近視が強い人は、眼軸長の測定と同時に、黄斑に障害が出やすいタイプの近視なのかどうかを診断することが大切だという。
 黄斑症が進む過程では、眼球を覆う膜の一部に新しい血管ができ、それが黄斑をゆがめる。残念ながら、病気が進んで傷んだ黄斑を治す治療は確立されていないが、この過程で新しい血管を治療する薬剤は開発され、実用化している。早いタイミングで治療を始めれば、悪化を食い止めることが期待できる。
 早期発見のためには「できれば1日1回、格子状の模様を片目で見つめること」と園田さん。縦横に直線が組み合わさった図柄を左右の目で交互に見ると、視野のゆがみに気がつきやすく、目の病気全般の早期発見にも役立つという。(共同=由藤庸二郎)

清澤注:網目模様の検査用紙をアムスラーチャート(アムスラーグリッド)といいます。加齢黄斑変性だけでなく黄斑部に変化がある病気では網目が歪んで見えます。

Categorised in: 糖尿病網膜症・加齢黄斑変性 (網膜疾患)