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2019年6月21日

10844:シグマ1受容体・網膜疾患における新しい治療標的:論文紹介

清澤のコメント:上記の論文が出ています。 偶然ですが、当時東京都老人研究所の石渡喜一先生はこの受容体に興味を持っておられ、私が指導していた中国人留学生の王維芳さんは眼におけるシグマ1受容体の分布の論文を2002年に書かせて戴きました。(⇒当該記事リンク)今回の論文にはそれが引用されたそうです。新しい論文の要旨を翻訳してみます。

注:2つのシグマ受容体サブタイプのうちの1つであるシグマ1受容体(σ1R)は、小胞体(ER)のシャペロンタンパク質で、IP3受容体を介したカルシウムシグナル伝達を調節します。 ヒトでは、σ1受容体はSIGMAR1遺伝子によってコードされています。

σ1受容体は、多くの異なる組織型において発現される膜貫通タンパク質です。 それは中枢神経系の特定の部分に特に集中しています。 それは心血管機能、統合失調症、臨床的鬱病、コカイン乱用の影響、および癌を含むいくつかの現象に関係しています。 σ1受容体に対する数百の合成化合物の結合親和性について多くのことが知られています。

σ1受容体に対する内因性リガンドは未だ決定されていませんが、トリプタミン作動性微量アミン、ならびにデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびプレグネノロンのような神経活性ステロイドはすべてこの受容体を活性化します。

今回の論文:

Sigma 1 receptor: A novel therapeutic target in retinal disease.

Prog Retin Eye Res. 2018 Nov; 67:130-149。  doi:10.1016 / j.preteyeres.2018.07.003。  EPUB 2018年8月1日 Smith SB他 

アブストラクト

網膜変性疾患は、世界中で治療不可能な失明の主な原因であり、これらの疾患に対する効果的な治療法が強く必要とされています。 網膜疾患の治療のための新規な標的は、膜貫通タンパク質Sigma 1受容体(Sig1R)です。 この謎めいたタンパク質は他のどのタンパク質とも相同性が知られていない進化的なものです。  Sig1Rはもともとオピオイド受容体であると考えられていました。 その概念は払拭されており、そしてより最近の薬理学的および分子的研究は、それが多数の生物学的機能を有する多能性モジュレーターであることを示唆しており、それらの多くは網膜疾患に関連しています。 このレビューはSig1Rの発見とSig1R遺伝子のクローニングとその結晶構造の最終的な解明につながった初期の薬理学的研究の概要を提供します。 眼におけるSig1Rの研究は1990年代後半まで報告されていませんでしたが、その時以来、網膜疾患の標的としてのSig1Rの潜在的な役割への関心が高まっています。 カルシウム調節、酸化ストレスの調節、イオンチャネル調節および分子シャペロン活性を含む、網膜におけるSig1R機能のメカニズムの解明に研究は焦点を合わせてきました。 無傷の網膜だけでなく、ミュラーグリア細胞、ミクログリア細胞、視神経乳頭星状細胞および網膜神経節細胞などの単離された網膜細胞において、機構的研究が行われてきました。 いくつかの説得力のある研究は、神経節細胞喪失ならびに光受容体細胞喪失に対する強力なインビボ神経保護効果の証拠を提供しました。  Sig1Rが存在しない網膜疾患の様々なモデルにおいて網膜構造/機能を調べた研究もまた記載されており、これらの表現型はSig1Rを発現する動物の網膜と比較して促進されることを明らかにしています。 過去20年間にわたる研究の分析からの総合的な証拠は、Sig1Rが網膜細胞ストレスの調節において重要な役割を果たしていること、そしてそれが網膜神経変性疾患における標的として非常に有望であることです。

Categorised in: 糖尿病網膜症・加齢黄斑変性 (網膜疾患)