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2019年5月13日

10711:黄斑ジストロフィの診断ガイドラインとは:

清澤のコメント:日眼会誌平成31年4号に上記の記事が出ており、同じものが日眼のホームページにも出ていました。その難病指定の診断書の作成またはその目的で基幹病院に患者さんを紹介するのには一般の眼科医にとっても有用な知見が多数含まれていますので、此処に抄出再録してみます。基本的な6病型については後日このブログでも再訪したいと思います。

――抄出―――

 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班 黄斑ジストロフィの診断ガイドライン作成ワーキンググループ

Ⅰ、はじめに: 黄斑ジストロフィは,両眼の黄斑機能が進行性に低下する遺伝性網脈絡膜疾患の総称である.患者の多くは視力低下,中心視野欠損,色覚異常などを訴える.このよ うな症状に加え,さまざまな眼科検査所見を組み合わせて黄斑ジストロフィを診断することができる.――

 (指定難病では 「黄斑ジストロフィー」 として認定されている).

黄斑ジストロフィを正しく 診断し,難病認定に役立つガイドラインを作成した。

黄斑ジストロフィの中には,卵黄状黄斑ジストロフィ や Stargardt 病(スタルガルト病)のように,個別の病名をつけて診断できる疾患がある一方で,病名のつかない,いわゆる 「非定型的な黄斑ジストロフィ」 も多く存在する.――非定型的な黄斑ジ ストロフィであっても認定できるよう配慮した.――錐体(―杆体)ジストロフィ や X 連鎖性若年網膜分離症(先天網膜分離症)も黄斑ジストロフィに含めた。

黄斑ジストロフィの認定基準 (資料参照)

診断のための項目

A.症状 両眼に緩徐に進行する視力低下(急性の視力低下は除外する).

B.検査所見

① 眼底写真にて,両眼の黄斑部に対称性の萎縮性病変,黄斑分離,あるいは沈着物などがみられる.

② フルオレセイン蛍光眼底造影または眼底自発蛍光 にて,病巣部に一致した異常蛍光がみられる.

③ 電気生理学的検査にて,以下の3 つのうち1つ以上を満たす.

・全視野 ERG(特に錐体系)の反応減弱.

・多局所 ERG あるいは黄斑部局所 ERG における反応の減弱.

・眼球電図(electro-oculogram:EOG)の light peak/ dark trough 比(L/D 比)の低下. ④ OCT にて,病巣部における網膜の形態異常がみられる.

C.鑑別診断 以下の疾患を鑑別し,除外できること.

・薬物による視力低下(クロロキン,ヒドロキシクロロキン,チオリダジン,タモキシフェン,ジギタリスなど)

・外傷性,あるいは近視性網脈絡膜萎縮

・後天性網脈絡膜疾患(中心性漿液性脈絡網膜症,急性帯状潜在性網膜外層症,多発消失性白点症候群,癌関連網膜症)

・先天コロボーマ,先天黄斑低形成

・萎縮型加齢黄斑変性(高齢者にドルーゼンを伴った 黄斑萎縮を示すことで鑑別できる)

・続発性黄斑変性(糖尿病,血行障害,炎症,網膜剝離など)

D.家族歴・患者の家系内に同様の所見を有する患者が存在する.

.確定例(definite)と確実例(probable)の基準


確定例(definite):以下のいずれかに該当すれば確定例とする.

① 上記のA 項目および 4つのB 項目のうち3項目以上を満たし,かつ Cの鑑別すべき疾患が除外できるもの.

② 検査所見の特徴から,以下の 6 つの病型の診断(詳細はⅣの項を参照)を満たすもの.

・卵黄状黄斑ジストロフィ(Best 病)

・スタルガルト病

・オカルト黄斑ジストロフィ

・錐体ジストロフィ,あるいは錐体―杆体ジストロフィ

・X 連鎖性若年網膜分離症(先天網膜分離症)

・中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィ

③ 確実例(probable,以下を参照)であり,かつ Dの家族歴があるもの.

確実例(probable):以下のいずれかに該当すれば 確実例とする.

① 上記 B 項目のうち 2 項目以上を満たし,かつ C 項 目の鑑別すべき疾患が除外できるもの.

② 上記 A 項目および B 項目の1 項目を満たし,かつC項目の鑑別すべき疾患が除外できるもの.

重症度分類 視力の良好なほうの眼の矯正視力が 0.3 未満であるものを重症に分類する.

Ⅳ 各疾患の解説と診断の要件

以下本文は略(本文http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/macular_dystrophy.pdfをご参照ください。)

1、卵黄状黄斑ジストロフィ

2、Stargardt 病(スタルガルト病)

3、オカルト黄斑ジストロフィ(潜在性黄斑ジストロフィ,occultmacular dystrophy,Miyakeʼs disease)

4、錐体ジストロフィ,および錐体―杆体ジストロ フィ

5、X連鎖性若年網膜分離症(先天網膜分離症)

6、中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィ

7、上記以外の黄斑ジストロフィ,あるいは非定型的な黄斑ジストロフィ

(家族性ドルーゼ ン,North Carolina 黄斑ジストロフィ,良性輪状黄斑ジストロフィなどの多くの黄斑ジストロフィが存在する.

Ⅴ おわりに: 黄斑ジストロフィの診断について述べた.今回の手引きはあくまで現時点(2018 年)における各疾患の知見と 眼科検査技術に基づいて作成されたものであり,将来追 加あるいは変更される可能性があることを付記しておく.

清澤注:多くの網膜疾患は黄斑ジストロフィとして 難病指定を申請するということは、特に臨床を担当する眼科医として知っておくべき点かと思います。

Categorised in: 糖尿病網膜症・加齢黄斑変性 (網膜疾患)