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2019年5月4日

10686:牡牛の眼(Bull‘s eye)クロロキン網膜症のお話

清澤のコメント:以前このブログでも取り上げたプラケ二ル網膜症(8345:プラケニル(ヒドロキシクロロキン硫酸塩)の眼副作用とは?: https://www.kiyosawa.or.jp/uncategorized/44360.html)の解説記事です(https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/9/29069.html)。以前日本ではクロロキンが慢性関節リウマチに使われて、その眼合併症にこのブルズアイがあることからその使用はなされなくなりました。近年になってSLEの治療に合併症の少ない「ヒドロキシクロロキン(商品名「プラケニル」)が用いられるようになりました。合併症が少ないと言っても、同様の眼合併症は有りますので、その投与を受ける患者さんは定期的眼科検査が進められているというわけです。この疾患は全く後天性ですが、眼科医としてみると、遺伝性の黄斑ジストロフィーやスターガルト病に似ているようにも見えます。

眼球内に「もうひとつの目」? 60歳女性の網膜に異変 米国 2019年05月03日 06時00分

左右の眼の網膜の中心にある黄斑周辺にある「目」のような形の盲点(視野が欠けた部分)(Yasha S. Modi, M.D./Cole Eye Institute/ The New England Journal of Medicine ©2019)

  インド・ヒンドゥー教のシヴァ神や仏の像には、眉間に「第三の目」があることで知られるが、米オハイオ州に住む60歳の女性がある日、眼科を訪れたところ、網膜に“もうひとつの目”のようなものができていることを告げられ、衝撃を受けた! 

  マサチューセッツ内科外科学会が発行する『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に先月25日掲載された報告書によると、60歳の女性患者はある日、視界の一部が欠けて見えることに気づいてオハイオ州クリーブランドにある眼の専門医「コールアイ研究所」を受診。

  眼底検査の結果、ヤシャ・モディ医師から「網膜の中心にブルズ・アイ(Bull’s Eye)があります」と指摘された。ブルズアイとは直訳すると、「雄牛の眼」だが、この場合は「的の中心」とか「標的」「黒丸」「二重丸」という意味。検査写真を見れば、ヒトの眼に見える影が確認できる。

  実はこの女性、関節リウマチの持病があり、過去14年間、「ヒドロキシクロロキン(商品名「プラケニル」)という薬を服用していた。

  関節リウマチとは、免疫機能に異常が起こる病気で、通常は外から侵入してきた病原菌やウイルスを攻撃する免疫が、誤って自分自身の細胞や組織を破壊してしまう病気。炎症が起こり、関節が腫れたり、痛みとなって現れ、悪化すると骨や軟骨が破壊される。

定期的な眼科検診を!

日本では2015年に「全身性エリテマトーデス」の治療薬として承認されたが、網膜障害のリスクがあるとして、服用患者には定期的に眼科で検診を受けるよう指導されている(患者に配布される小冊子)

 米国では約60年前から免疫機能の調節のためにヒドロキシクロロキンが標準使用されている(日本では2015年7月に「プラケニル」が承認された)が、副作用として網膜障害を起こすリスクが知られている。患者が指摘されたブルズアイとは、網膜の中心にある直径1.5〜2ミリ程度の「黄斑(おうはん)」部分に出現した標的のような形の盲点(視野の欠損部分)のこと。 

 黄斑とは、視野の中では最も解像度が高い(最もよく見える)、カメラのフィルムに相当する重要な部分だ。ヒドロキシクロロキンには網膜細胞への毒性が指摘されており、米眼科学会のガイドラインでは、「投与開始から5〜7年を超えると、発病率が1%以上になる」として、年に1回眼科で検査を受けるよう推奨されている。

  三重大学や帝京大学などの報告(2016年)では、アジア人の場合、他に比べると、黄斑の中心だけでなく、そのまわりにも障害が起こりやすいということが指摘されており、より詳細な検査の必要性があるとされる。

  米国の60歳の女性患者の場合、症状がかなり進んでいて、左右の両目とも黄斑のまわりに二重丸の盲点(視野の欠如)があった。現時点で、ヒドロキシクロロキン網膜症は治療困難で、薬の服用をやめた後でも進行する可能性がある。この女性の場合は、関節リウマチの治療薬を別の薬に変えて半年後、眼の症状の進行が止まったという。

Categorised in: 糖尿病網膜症・加齢黄斑変性 (網膜疾患)