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2019年1月31日

10431:網膜疾患に関連する不定愁訴 岡本史樹先生聴講印象記

本日の東京オフサルミックセミナーは筑波大学講師の岡本史樹先生の網膜硝子体手術前後の視機能評価の話でした。黄斑前膜術前術後の視機能評価の実際が詳細に紹介され、黄斑前膜手術の適応決定には自覚的な変視の有無が重要で、視力低下を待つべきではないというように伺いました。

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黄斑前膜や網膜剥離術後に、視力は出たがゆがみが取れないなど視機能に関連した訴えが残ることが有る。

形体覚のほかにQOLに関係する物には変視、立体視、視野、不等像視、色覚などがある。

視機能検査でわかることには、変視、不等像視、コントラスト感度、立体視がある。

変視について

変視の評価にはMチャートが良い。(0-2の各視標があり、1-2分で施行可能。0.2で自覚し、0.5以上でQOLが変化する。)

ERM(黄斑上膜)手術で変視の7割は良くなるが0にはならず0.3‐0.4残る。PDR, DME,BRVO,CRVO、ERM等の手術結果提示。

ERM(黄斑上膜)の手術効果は視力改善よりも変視の減少であり、INL(網膜内層)の厚さの変化が変視に対応している。それが、偏視の手術予後を決める因子でもある。

MH(黄斑円孔):手術で変視は0.8から0.4に下がる。フルイド・カフ(fluid cuff)が大きいと術後変視が残る。半数例ではOCT正常でもゆがみを訴える。

RD(網膜剥離)では術後網膜は上下方向に変位するが、自覚区的には横方向の変視の訴えが多い。

BRVO(網膜分枝閉塞)では0.5以上の変視が85%もいる。硝子体注射で改善するが変視は残った。ERMとMHの患者で変視は改善するが、CME(類嚢胞黄斑浮腫)のある人では変視が残る傾向がある。

不等像視:左右眼で見える像の大きさが違う。大視症と小視症がある。粟屋のニューアニセイコニア(1982)で評価できる。1-3%で自覚し、3-5%で両眼視困難、5%で融像も破壊され複視を訴える。

・屈折状態にも影響される:無水晶体眼は5%、無水晶体で眼鏡なら15%の不等像視になる。不等像視は距離によっても異なり、遠方での訴えが強い。

・網膜細胞が中央に集められるとき大視症になる。ERMではこのために大視症を訴える。不等像視は手術してもあまり変わらない。不等像視に関連する網膜要素は網膜内層の厚さ(浮腫による肥厚)であり、不等像視は強く予後も悪い。

BRVO(網膜静脈分枝閉塞):硝子体注射でコントラスト感度は上昇する。視力が上がらぬ人でもコントラスト感度が上昇していることが有る。

立体視について

TST(チトマスステレオテスト:視野の測定範囲が狭い、0.7度)やTMO(視野の測定半が広い。8.5度)で評価できる。TSTは中心性網膜症では悪化する

網膜剥離術後患者では、立体視が壊れていてTSTも悪い。BRVOでもTSTは治療で改善するが6カ月してもやはり正常化はしていない。漿液性網膜剥離が術前に有る目でもTSTは悪い。

全体として①視力と視野の評価、②コントラスト感度と変視の評価、③不等像視と立体視の3段階で網膜硝子体術後の視機能は評価され、それを考えた手術が行われる必要が出てくる。

Categorised in: 糖尿病網膜症・加齢黄斑変性 (網膜疾患)