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2019年1月23日

10412:加齢黄斑変性症治療薬としての抗FGF2アプタマーとは

眼科医清澤のコメント:加齢黄斑変性の治療の鍵が新生血管の制御だけでなく、組織の線維化の制御だという話は九州大園田教授の講演(https://www.kiyosawa.or.jp/uveitis/45700.html)で聞いたことが有りました。今回の研究チームに米国の大学教授が加わった事でこの会社の株が暴騰しているという話題が次の記事。少し調べて新薬の意味を下に解説しました。

リボミック—大幅に反発、米ワシントン大の眼科学教授と契約、加齢黄斑変性症治療薬で助言:米国ワシントン大学医学部セントルイス校の眼科学・視覚科学の医師ラジェンドラ・アプテ教授とコンサルティング契約を結んだと発表している。科学顧問として現在臨床試験中のRBM-007の加齢黄斑変性症治療薬としての設計と評価に関する助言を行ってもらうという。加齢黄斑変性症は失明をもたらす病とされる。今回の契約で新薬開発が前進するとの期待から、買いが膨らんでいる。

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加齢黄斑変性症治療薬としてのRBM-007(平成30年7月のリボミック社プレスリリースから抜粋)

リボミック社が開発し、加齢黄斑変性症治療薬として米国での治験を準備してきたRBM-007(抗FGF2アプタマー)の治験申請が、FDAにPI/IIa試験の開始として許可された。

加齢黄斑変性症は、加齢に伴い網膜の黄斑部に障害がおこる疾患で、欧米では失明原因の第一位。疾患の要因の一つは異常な血管新生とされており、10年ほど前に治療薬として血管新生を阻害する医薬品(VEGF阻害剤)が開発された。しかし、臨床上の問題点が明らかになってきた。その一つは、相当数の患者に対して、有効性が乏しいこと。また、有効とみられた患者も2~3年程度経過すると薬効が低下し、再び失明のリスクにさらされる。これらの要因として、病変による網膜組織の瘢痕化(線維化)が関与している。既存薬には瘢痕化を抑制する作用はない。

RBM-007は、リボミック社独自のアプタマー創薬技術により創製された医薬候補品で、加齢黄斑変性症の誘因あるいは増悪因子と考えられるFGF2の機能を、特異的かつ強力に阻害する。RBM-007は血管新生のみならず瘢痕形成を抑制する作用を持つことが、疾患モデル動物での薬理試験から明らかになっている。二重作用は既存の製品にはない新規なメカニズムで、既存製品では奏功しない患者に対して新規な治療法を提供できる可能性がある。現在、臨床ステージにあるFGF2阻害剤の報告はない。

注:線維芽細胞増殖因子

FGF10とFGFR2bの細胞外ドメインの複合体の構造(図)

線維芽細胞増殖因子(英: Fibroblast growth factors、FGF[1])は、血管新生、創傷治癒、胚発生に関係する成長因子の一種。FGFはヘパリン結合性タンパク質で、細胞表面のプロテオグリカンの一種ヘパラン硫酸と相互作用を持つことがFGFのシグナル伝達に不可欠なことが明らかになっている。FGFは広範囲な細胞や組織の増殖や分化の過程において重要な役割を果たしている。FGFファミリーはヒトでは22種類のFGFが同定されており、その全てが構造類似性を持つシグナリング分子として知られている。 FGF1から10は、全て線維芽細胞増殖因子受容体(fibroblast growth factor receptor、FGFR)と結合する。酸性FGF2はFGF塩基性(またはbFGF)として知られる。

Categorised in: 糖尿病網膜症・加齢黄斑変性 (網膜疾患)