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2017年2月12日

8577:糖尿病網膜治療の問題点(志村雅彦先生)を聴講しました。

DM
糖尿病網膜治療の問題点(志村雅彦先生)を聴講しました。
(日本眼科医会 第72回生涯教育講座第2日目です。)

眼科医清澤のコメント:

 今朝はまず、志村雅彦先生の糖尿病網膜治療の問題点を拝聴しました。志村先生は東北大学で一緒に仕事をさせていただいた方です。1991年御卒業なので、13年ほどの後輩です。以前から糖尿病網膜症の治療を理詰めに考える方で、本日もそんな組み立てのしっかりしたお話を聞くことが出来ました。現在の糖尿病性網膜症治療のホープです。

 当医院のDM治療ではまずそれなりの症例には汎網膜光凝固が行われ、硝子体注射にはアイーリアを使うことが多くなっています。年に数例以下の頻度で見かけるような極重症な例では、関連の大学病院などに加療をお願いするケースもあります。

 この演題終了後、私は、初期緑内障をアップデートするというシンポジウムに移動しました。その時に、遠方の県から見えていた先生とタクシーをご一緒させていただきました。この先生は、昨日からの聴講なのですが、連休なので土曜午前を休診にせずに来られて助かったという事でした。そのほかにも、その地の眼科事情を伺うことが出来て、それはそれで大変有用でした。

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Ⅰ、はじめに
糖尿病網膜症とは
〇内皮細胞と周細胞脱落に代表される組織虚血の進行
〇血管透過性の亢進

治療のポイントは
1、新生血管の誘導抑制
2、線維増殖膜の処理
3、血管透過性の抑制

Ⅱ、増殖糖尿病網膜症
糖尿病網膜症にはSDR, NPDR,PDRを含む。

1、予防的治療
PCは10%程度に視力低下がみられるから、特に術前に網膜肥厚のある例では危険である。有効というエビデンスはあるが、現在日本ではDDRには硝子体注射などの保険使用は認められていないそうです。

2、外科的治療
線維血管増殖膜の除去を行う。ここ10年で、手術装置の大幅な改良がおこなわれた。内境界膜の染色なども行われる。

Ⅲ、糖尿病黄斑浮腫
血管壁の選択透過性が障害され、血漿成分が漏出。漏出が黄斑部に及んだ状態を糖尿病黄斑浮腫(DME)と呼ぶ。

1、外科的治療
治療の対象となるのは中心窩を含む黄斑浮腫である。実臨床ではいくつかの治療手技を組み合わせる。

1)網膜光凝固
格子状光凝固など。

1-a)局所光凝固
血漿成分の漏出を起こし網膜浮腫を引き起こすす微小動脈瘤を選択的に照射する。

1-b)格子状光凝固
黄斑部に格子状に光凝固を置くが、機序の説明は不十分で、視野感度低下や経年的劣化なども有るので、慎重に。最近は、閾値下光凝固も行われる。

2)硝子体手術
増殖膜の除去から始まりDMEに対して広く用いられる。最終手段的。

2、保存的治療
硝子体サンプルでサイトカインやVEGFがDMEでは高かった。それで、抗炎症治療と抗VEGF治療という保存的治療が開発された。

1)抗炎症ステロイド
DME(糖尿病性黄斑浮腫)に対してTA(トリアムシノロン・アセトニド)を使用。

1-a)硝子体内投与
3-6月で再投与が必要。光凝固との有効性の差は少ない。

1-b)テノン嚢下投与:
トリアムシノロンTAの注射。浮腫抑制は硝子体内投与より弱いが、持続効果は良い。

2)VEGF阻害薬
ルセンティス(ラニビズマブ:抗VEGF抗体)とアイーリア(アフリベルセプト:融合タンパク受容体)が使える。生物学的活性は4-7週。循環器系疾患のある患者には慎重に。

Ⅳ、終わりに
VEGF阻害薬は外来で使える利点を持つが、糖尿病網膜症の基本病態を治療するものではない。

追記:何をしても視力が下がっていった症例を追加:この症例は腎機能がとても悪かったと。腎移植で腎機能を立直すことで浮腫も引き、視力も出たとのことでした。全身状態にも目を配ってとのことでした。

Categorised in: 糖尿病網膜症・加齢黄斑変性 (網膜疾患)