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2016年5月22日

7773:網膜血管障害の血管内治療(門之園一明教授):TMDUフォーラム聴講印象記2

crao1(図CRAO)
○最近演者が開発した器具は外径50ミクロンで内腔が20ミクロンの針です。
血栓では直径100ミクロンの血管に血球が凝集しているので、この針を眼内で血管に刺込むことが可能になりました。
CRVOなどの治療について:CRVOは40歳以上なら0,2%。BRVOはCRVOの約10倍いる。
50歳以上でRVOの率が多い。

○診断にあたっては、まず虚血性か非虚血性(ノンイスケミー)かを別ける。
現状では、ルセンティスやアイーリアを硝子体に入れることが多い。

○ブライタースタディー:この対照群はPCされた症例
抗VEGFは投与回数が多いが、効かないのか?リバウンドか?、浮腫が引かないことが有る
虚血型にはIVRが効かない。VEGFが出続けるからである。黄班浮腫のある例にも抗VEGFは効かない。

網膜の血管は2階構造を持つ。FAで2階の部分は見えるが、1階部分の虚血は見逃す。
その点、アンギオOCTで表層と深い部分(ここが大事)を別けて見ると良い。

○血管閉塞を治すにはどうるか?
脳外科などのバスクラ―サージェリー(血管手術)は虚血を回復する。しかしかし網膜では血管が細すぎて手が出なかった。つまり血管内に入れるマイクロカニューラがなかった。
そこで、乳頭上の閉塞した静脈に上記の針を刺し、薬液を注入することができる。

顕微鏡を覗くのではなく、3D眼鏡で3Dモニターを見て手術を行う「3Dヘッドアップ手術」がある。これだと、少ない光量でも手術できる。(とても良い機械だが、まだ横浜市大では借り物だとのこと。)

手術の視認性をよくするには、明るいという事とコントラストがその要素であり、画像処理することで明るくしなくてもコントラストを良い視認性がえられる。
従来のSDシステムは30万ピクセルであり、HDではその6倍の画素数になるからHDが優れている。
実際の使用では各回にホワイトバランスを取ることも大事である。AEレベルセットで、テレビモニターの画像は改善する。

○tPAを注入するとVO(網膜静脈閉塞症の)80%で視力が改善する。

◎CRAO:従来の治療では治らなかったから、今までは大学まで送られては来なかったのだ。
このCRAOは、何もしなくても1割程度は再開通して視力が戻る。マッサージ、眼圧降下剤も使われる。血栓溶解が出来れば、その成績が良くなることは期待される。tPAを入れれば急性期には治るはずである。造影画像では、治療前には血液は網膜血管には流入してはいない。

○ 手術治療の実際は、まずコアビトレクトミーして、乳頭上の閉塞した血管に直接薬液を注入する。左手は吸入管を構えて、出血に備える。

◎BRVO:網膜では動脈が静脈を圧迫している。圧迫を解除するのがシースを切る手術(シーソトミー)である。演者は既に100例の手術を行った。
内境界膜を剥ぐだけでも、静脈に対する圧迫は解除され、有効と思われる。

レーザースペックルで乳頭近傍の血流を見ることも有用だろう。

○安全性:注入するtPAは、50マイクロであり、脳外科の10000分の一なので十分に安全だろう。
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質疑応答から:
○:CRAO,CRVOを送れば手術をしていただけるのでしょうか?: YES
◎CRA梗塞回復のゴールデンタイムは?:脳梗塞は6時間とされるが、網膜では48時間以内で機能の回復が期待できるだろう。

清澤のコメント:このような手術が実際に出来る時代になっていたというのには驚きました。先ずは、そのようなCRAOの症例が有れば、可及的速やかに連絡をして、都内からでも横浜市立大学まで行かせるという話もありかと思われます。

以下は、出て来た単語の復習です。皆さんご承知ではありましょうが:

tPA:組織プラスミノーゲン活性化因子(tissue plasminogen activator:略称 tPA または PLAT)は、線溶系に関与するセリンプロテアーゼの1種である。ウロキナーゼ(uPA)と同じく、プラスミノーゲンを活性化することでフィブリンを分解させ、血栓溶解剤として塞栓症および血栓性疾患(心筋梗塞・脳梗塞)の治療に使われる。組み換え型tPA(rtPA)も用いられている。

血管内皮細胞から分泌される。ウロキナーゼと同様に、1本鎖tPA(前駆体)として作られ、プラスミン等により開裂されて活性の高い2本鎖tPA(ジスルフィド結合でつながっている)となるが、1本鎖tPAも活性を有する。プラスミノーゲンを活性化し、活性型のプラスミンを生成する。プラスミンは血栓のフィブリンを溶解するセリンプロテアーゼであり、また細胞外基質の分解にも関与する。tPAは凝固線溶系において、1本鎖型のプラスミノーゲンを開裂し2本鎖型のプラスミンにする。このプラスミンがトロンビンを分解し血栓を溶解する。

Categorised in: 糖尿病網膜症・加齢黄斑変性 (網膜疾患)